超快速「スノーラビット」とは、北越急行ほくほく線で運行していた超快速列車の愛称である。超怪速ではない。
概要
北越急行ほくほく線には1997年の開業から2015年3月13日まで特急「はくたか」が設定されていたが、北陸新幹線開業によるダイヤ改正で東京と北陸を結ぶ目的を新幹線に譲り、廃止になった。
この北越急行はもともと東京と北陸を短絡する目的で国鉄主導で建設された北越北線を前身としており、その目的で特急「はくたか」を運行していた。
しかし北越急行はこの「はくたか」に、総輸送人員の7割、営業利益ではなんと9割を依存しており[1]、新幹線開業後の経営はとても厳しいものとなる。
新幹線開業後の経営を見据え、北越急行では130億円にも上る積立金(内部留保金)を積み立てているが[2]、新幹線開業後は確実に赤字経営となり、この積立金を切り崩しながら経営を続けることとなり、将来の路線の存続に不安が残る。
そこで少しでも利用客の減少に歯止めをかけるために、現在の「はくたか」の利用客の22~25%程度は直江津駅~越後湯沢駅間の利用であることから[3]、東京直江津間の需要(特にビジネス需要)が新幹線開業後も北越急行経由で見込めると判断。また、北陸新幹線開業後はそのはくたかが廃止されることから、特急列車待ち合わせの解消とそれに伴う効率化により普通列車の所要時間が短縮できることになり、直江津駅~越後湯沢駅間を1時間で運行する「超快速列車」の運行が決定した。
使用車両が従来の普通列車で使用されているHK100形(最高速度110km/h)となること以外は未定であったが、2014年11月15日~11月30日に列車愛称の公募を行った上で、同年12月のダイヤ改正プレスリリースにてその停車駅と列車愛称を発表した。
停車駅は速達性を重視し、越後湯沢・十日町・直江津の3駅のみとなった。後に直江津行はさらにえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインの新井駅まで乗り入れることが発表され、妙高はねうまライン内は各駅停車になった。
なお、プレスリリースには当列車の表定速度は99km/hと発表されているが、これはほくほく線内のみの表定速度であり、実際の表定速度は越後湯沢~直江津間で88.6km/hとなる。とはいえほくほく線外を含めた表定速度も特別料金不要の普通列車としては非常に速い表定速度であり、超快速はダイヤ改正前のはくたか(最高速度160km/h)よりも最高速度は50km/h下がったが、そのはくたかと10分も違わない所要時間で直江津~越後湯沢間を結ぶ(改正前後のダイヤは後述)。
この表定速度88.6km/hはJR東海(豊橋~大垣)やJR西日本(長浜~姫路)が運行している「新快速」のそれよりも速い(最速となるJR西日本の新快速は85.1km/h)。
ただし、えちごトキめき鉄道区間内を含めた場合は表定速度は58.8km/hになるが、越後湯沢行に関しては直江津始発となり、こちらの表定速度が87.1km/hになるため、どっちにしろ速い部類であることには変わらない。
この「スノーラビット」の運行は、運行開始時には一日一往復となった。
2016年3月には下り1本が増発された。増発便は途中十日町駅のほかに六日町駅・まつだい駅・虫川大杉駅にも停車。超快速を名乗ってはいるが、事実上の特別快速に相当する列車として運転されている。
2023年3月のダイヤ改正にてほくほく線の全列車が普通列車となり、スノーラビットも惜しまれながら廃止となった。
運行開始前後のダイヤ
↓下り(直江津方面) | ↑上り(東京方面) | |
---|---|---|
新幹線 | MAXとき307号 | MAXとき344号 |
東 京 | 7:48 | 20:12 |
越後湯沢 | 9:04 | 19:01 |
9:14 | 18:53 | |
直江津 | 10:09 | 18:03 |
ほくほく線 | はくたか4号 | はくたか21号 |
所要時間 | 2時間21分 | 2時間9分 |
運 賃 | 自由席利用で計算→ | 8,550円 |
現在、ダイヤ改正後にスノーラビット号が運転される時間帯の所要時間は下り(直江津方面)が2時間21分、上り(東京方面)が2時間9分となっており、運賃は新幹線・はくたか共に自由席利用で8.550円となっている。
↓下り(直江津方面) | ↑上り(東京方面) | |||
---|---|---|---|---|
経由 | ほくほく線 | 北陸新幹線 | ほくほく線 | 北陸新幹線 |
新幹線 | MAXとき305号 | はくたか533号 | MAXとき342号 | はくたか572号 |
東 京 | 7:48 | 7:52 | 20:12 | 20:00 |
越後湯沢 | 9:08 | || | 19:00 | || |
9:17 | || | 18:53 | || | |
上越妙高 | || | 9:44 | || | 17:48 |
|| | 10:07 | || | 17:23 | |
直江津 | 10:14 | 10:22 | 17:55 | 17:07 |
在来線 | スノーラビット号 | 妙高はねうまライン | スノーラビット号 | 妙高はねうまライン |
所要時間 | 2時間26分 | 2時間30分 | 2時間17分 | 2時間53分 |
運 賃 | どちらも新幹線自由席利用で計算→ | 7,770円 | 9,000円 |
ダイヤ改正後、直江津駅から東京方面に向かうルートは北陸新幹線開業後は上越新幹線・北越急行経由と北陸新幹線・妙高はねうまライン経由の2ルートとなるが、同時間帯でスノーラビット号を利用する場合と北陸新幹線を利用する場合では、上りも下りもスノーラビット号を使用するほうが運賃も1,230円安く、所要時間も下りで4分、上りでは36分も短い。
ほくほく線経由の運賃がダイヤ改正前より安くなっているのは、はくたかの特急料金780円が無くなったためである。
北陸新幹線最速列車の「かがやき」が上越妙高駅に停車しないこともスノーラビット号利用のほうが早くなる要因である。
関連項目
脚注
- *北越急行:絶好調に影 2年切った北陸新幹線延伸、ドル箱「はくたか」廃止必至 沿線自治体、薄い危機感毎日新聞
- *新たに2路線開業予定の新幹線。その裏にある「負」の側面とは(ハーバービジネスオンライン)
- *鉄道ジャーナル2013年3月号参照
- 3
- 0pt