スバル・サンバーとは、富士重工業(スバル)が1961年から製造・販売する軽トラック&1BOXバン&1BOXワゴンである。軽自動車の中では、ダイハツ・ハイゼット(9代51年)に次ぐ(6代50年)長寿車種(日本車全体でも7番目)である。
平成24年2月28日、6代50年をもって自社開発・生産を終了。7代目よりダイハツ・ハイゼットのOEMモデルとなる。
概要
富士重工業が自社開発・生産を行っていた6代目までの特徴としては、リアエンジン・リアドライブの駆動方式(RR駆動)である。積空差の大きい軽トラックにとっては、荷台の床下にあるエンジンは格好のバラスト役を果たすことから、空車時でも充分なトラクションが確保され、安定した走行、登坂能力を得ている。さらに乗用車ですら導入が遅かった四輪独立懸架サスペンションも採用。この2つは軽トラックの中で未だにサンバーのみが持つ特徴であり、これらの組み合わせから通称「農道のポルシェ」と言われることもあり、その走行性の高さと積載量の大きさから固定客も多い。フルキャブオーバー型ボディによる前席保護性能の低さと、4気筒エンジン+スーパーチャージャーによる燃費の悪さが弱点か。
また全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会(以後・赤帽)でも、創立した1975年から当時現行モデルだった3代目サンバーを専用車として採用している。これは赤帽が、軽トラックを製造しているメーカーに問い合わせたところ、まともに対応したのが富士重工業だけだったということもあった。これ以後、一般的なサンバーよりも耐久性を向上させ、多数の専用部品を装備した「赤帽専用車」として独自のラインアップを持っている。
初代(1961年~1966年)
1961年に登場。軽乗用車・スバル360をベースに開発されている。軽トラックとしては早い時期にキャブオーバーレイアウトを採用したモデルである。当初はトラックのみだけであったが、すぐにバン仕様も登場する。デザインはバンパーからドア見切り線そしてホイールハウスに至るナックルラインが特徴で、その出っ張り具合から通称「クチビルサンバー」と呼ばれる。
2代目(1966年~1973年)
1966年に初のモデルチェンジ。通称「ニューサンバー」。初代よりもすっきりとしたフロントマスクを採用し、デザインが洗練されている。
1970年にマイナーチェンジ。ダミーグリルが装着されこのモデルは通称「ババーンサンバー」と呼ばれる。ドアの開き方もフロントドアが後ヒンジ・前開きという「スーサイドドア」から、通常の前ヒンジ・後ろ開きになったのもこのモデルから。
1972年に再度マイナーチェンジを受け、ダミーグリルが大型化。このモデルは通称「すとろんぐサンバー」と呼ばれる。
3代目(1973年~1982年)
1973年にモデルチェンジ。宣伝コピーから「剛力サンバー」という通称で呼ばれる。初代以来の空冷エンジンから水冷エンジンに転換される。
1974年にはナンバーを黄色ナンバーに対応した改良を実施する。なお、この代から赤帽に車両を供給するようになる。
1976年2月に長らく続いた2サイクルエンジンを捨て、水冷4サイクル2気筒エンジンに転換をする。同年5月にはスバルにとって550cc規格は急だったため、360cc用のボディにバンパーのみ延長させて500ccエンジンに積み替え、「サンバー5(ファイブ)」として生まれ変わる。
1977年には完全に新規格車体幅を拡大して550ccとなる。
1980年にはこれ以後のサンバーの定番となる、4WD仕様が登場。軽トラックおよび軽キャブバンとして初めて設定され、日常的に悪路や急勾配での走行を強いられる農業従事者から特に高い評価を受けた。後に他社でも設定されるようになる。
4代目(1982年~1990年)
1982年に登場。ワンボックスタイプが「サンバートライ」となる。4輪独立懸架というサスペンションはこれまでどおりだがこの4代目からは4WD車のフロントサスペンションがこれまでのセミトレーリング式からマクファーソン・ストラット式(2WD車はセミトレーリングアーム式を継続)に変更された。タイヤは2WD全車が10インチ、4WD全車は12インチ(ただしブレーキは全車、大径4輪ドラム)を採用する。軽トラックの4WDには超低速ギアのELが設定された。トラックにも2WD・4WDを問わずハイルーフが登場。
1987年のマイナーチェンジで「サンバートライ」からハイルーフ下級モデル及び標準ルーフ車が「サンバーバン」として分離。ここからは他社同様、RV志向の「トライ」、純商用のサンバーバンという構成になる。4WD車は全てフロントブレーキがこれまでの大径2リーディング・ドラム式からベンチレーテッド・ディスク式(当時、軽トラック、および軽キャブオーバーバンとしては史上初にして世界初)に変更される。
5代目(1990年~1998年)
1990年に登場。新規格で660ccとなる。サンバートライの上位グレードとして「ディアス」が登場したが、後にサンバートライに替わる正式名称として「サンバーディアス」となる。バブル期に開発されたため、軽自動車唯一の4気筒エンジンを新開発。またスーパーチャージャー仕様も登場し、初のAT車・ECVTも起用される。ブレーキも2WD&4WD共に全グレードフロントディスクブレーキを起用する。
1995年のマイナーチェンジ以降、トラックの荷台が競合車種であるハイゼットと共通品(相互利用不可)に変更となった。1998年にはECVTも廃止され、燃費性能では不利になるものの、コンベンショナル且つ信頼性、耐久性に優れた3速ATに変更される。
1994年には乗用ワゴンのディアスシリーズに、1990年代の軽自動車におけるクラシックカー風デザインブームのさきがけとなった「ディアスクラッシック」が設定されている。このクラシック仕様は、のちにサンバートラックにも展開された。
6代目(1999年~2009年〈乗用〉・2012年〈商用〉)
1999年に1998年度の軽自動車規格変更に伴いモデルチェンジ。軽規格の変更によりボディサイズが拡大した。トラック、バン、ディアス(4ナンバー)、ディアスクラシック(5ナンバー)が登場した。ディアスクラシックは3速ATのみのラインナップで登場している。当初、ワゴンは独自のマーク、トラック&バンはフロントに「SUBARU」の文字が取り付けられた。
2002年にマイナーチェンジ。フロントマスクのデザインを変更し、六連星エンブレムを再び装着した。ディアスクラシックが消滅し、ディアスシリーズは4ナンバーから5ナンバーへ変更された。トラック&バンともにシート生地をビニールから布地となる。ただし、一部グレードではビニール地は残る。
2005年に灯火規制によりマイナーチェンジ。フロント部分が三代目モデルを彷彿とされる外観となる。同時にライトレベライザーが標準装備化と、ハザードランプスイッチをステアリングの根元からインパネ部分に変更をされる。
2007年6月に5ナンバーのディアスを一時生産停止。同年12月に保安基準に合わせてディアスが再生産される。
2008年にマイナーチェンジ。トラック&バンの廉価グレードのシート地が、ビニールに変更される。合わせてトラックの最上級グレードにはパワーウインドーとCDプレーヤーが標準装備化がされる。トラック&バン共にシルバーのボディカラーも追加されて、廉価グレードはホワイトのみだったのが、シルバーも選択できるようになる。
2009年9月にマイナーチェンジ。乗用グレードは、ダイハツからアトレーワゴンのベースでOEM供給となる(→ディアスワゴン)。バン&トラックはフロント部分とインパネを大幅に変更となった。なお、トヨタ自動車の出資比率強化に伴い、富士重工業は軽自動車の自主生産撤退を表明しており、このマイナーチェンジが事実上最終モデルになった。
2011年7月、サンバーシリーズ発売50周年記念として、1000台限定で特別仕様車「WRブルー・リミテッド」が発売されたが、生産終了直前という事もあり、あっという間に完売してしまった。
2012年2月28日、商用モデルが生産終了(ラインオフ)。総生産台数は約396万台。これによりスバル360から始まった富士重工業の軽自動車生産は54年の歴史に幕を閉じた。
なお、軽自動車を生産してきた群馬製作所本工場は登録車生産工場としてリニューアルされ、SUBARU BRZ/TOYOTA 86の生産が始まることとなった。
7代目(2012年~)
2012年4月2日、フルモデルチェンジ。トラックはハイゼットトラック、バンはハイゼットカーゴをベースとしたOEMモデルとなる。また、従来モデルに引き続き赤帽専用車も設定されている。
カスタムカー
サンバーをベースとしたカスタムカーも数多く存在する。
なかでも初代VWバス風に改造されたものは非常に有名であろう。
関連動画
関連サイト
- スバル・サンバー公式サイト
-
SUBARU : 車種紹介 > サンバー バン
https://www.subaru.jp/sambar/van/index.htmlSUBARU : 車種紹介 > サンバー トラック
https://www.subaru.jp/sambar/truck/index.html - 桐生工業株式会社公式サイト内の「スバル特装車公式サイト」
関連項目
- 富士重工業(スバル) / 富士重工業の車種一覧 / スバリスト
- アルシオーネ/レガシィ/インプレッサ/フォレスター/エクシーガ/ヴィヴィオ/レックス/ドミンゴ
- 自動車製造会社一覧
- 軽自動車/軽トラック
- ダイハツ・ハイゼット(7代目より姉妹車)
- 農道
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