スパイとは、秘密裏に敵対勢力から情報を盗んだり、工作したり、すり替えたりする諜報員のことである。他に間諜、密偵、工作員、情報機関員など様々な呼び方があるが意味合いは同じである。敵側の内通者のみを「スパイ」と呼び、友側を「ケースオフィサー」「協力者」と呼ぶ例もある。
これらスパイ(諜報員)をまとめた組織を情報機関、もしくは諜報機関と呼ぶ。
概要
フィクション作品などでは派手な活動や大袈裟な破壊工作などする場合も多い…が
現実では地味で地道な作業の繰り返しで、破壊工作などは本来は軍隊の特殊部隊の仕事とされる。何よりも目立たず対象の周囲や国・地域に違和感なく溶け込む社交性、警戒心、咄嗟の機転、想定外にも動じないメンタルも必要となる。
加えて、相手が敵対的か友好的かに関係なくスパイは相手を騙したり情報を盗んでいくという性質上、当然その仕事は公にするわけにいかず、スパイを送り込んでいたことが相手側にバレた場合は、その相手との関係が悪化したりする可能性がある。敵対的な国や勢力であった場合は攻撃的な行動(制裁、もしくは戦争など)の口実に使われてしまう危険性もある。
なので、そのスパイの正体が相手にバレた場合、身の安全は所属機関でも保証できない 。国家や組織にかかるリスクを抑えるためとの理由で見放されたり切り捨てられたり、最悪の場合は所属機関に口封じされてしまう可能性もある。そのため、スパイに志願する者は数少ないと言われている。[1]
もちろん相手側もスパイやそれによる工作・暗殺等を警戒するし、敵側のホームグラウンドでは様々な意味で圧倒的不利であるなど一筋縄では行かない。
スパイ大作戦(ミッション:インポッシブル)の名セリフ「君、もしくは君の部下が捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しない」も、あながち間違ってないかもしれない。
その他
監視・追跡・傍受・盗聴の可能性を考慮し、直接の接触や電話・メールではなく暗号によるやり取りなどもある。コソコソすればかえって目立ってしまうため一見すると暗号に見えないものや特定の符丁(合言葉)、特定の色や数・状態、乱数表や解読表・規則と照らし合わせ算出する、熱や紫外線で浮かび上がるなど多彩。
捕まれば凄惨な拷問などもありうるため、自殺用に青酸カリなどの毒薬を隠し持っている例もあるが、国や機関によって方針や道具は異なると思うので詳しいことは後述のスパイ機関に聞いてください。
広義には単純にその国の重要人物や企業関係者を買収・誘惑・脅迫しスパイとする場合もある。所属している組織に不満を持っている人間などは利用しやすい。
一部はスパイ道具、スパイグッズとして発売されているので興味のある方は検索してみると面白い。録音・録画装置などは単純にトラブルや犯罪の証拠収集にも役立つ。(スマホにもレコーダー機能はあるが)
女スパイ
創作などでは女性のスパイが描かれることもある。理由としてはそのシチュエーションから色仕掛けを使ったり、好意があるようなふりをしたり、また捕まえたらえっちな拷問が出来る、リョナ的な意味から、などR-18なことを連想できるからだろうか。その際には実際にそんな恰好をしたら目立って仕方なくてスパイなんかできないだろう、というような格好をしていることも多い。
なお、現実にも川島芳子のようにガチで実在していた(ひょっとしたら今現在も)存在でもある。色仕掛けやその後のアレ自体を録画することで相手の弱みとし操り人形としてしまう、用が済んだら口封じといったえげつない手口も。
スパイ機関の一覧
太字は個別の記事あり。
現実に存在する(した)スパイ機関
名称 | 国家 | その他 |
---|---|---|
CIA | アメリカ | アメリカ中央情報局。 ヒューミント(人的情報)がメインと言われる |
NSA | アメリカ | アメリカ国家安全保障局 情報通信がメインといわれる |
MI5 | イギリス | 英国情報局保安部。正式にはSS(Security Service) |
MI6 | イギリス | 英国情報局秘密情報部。 正式にはSIS(Secret Intelligence Service) |
KGB | ロシア | ソ連国家保安委員会。 1991年に解体、FSBやSVRに引き継がれる。 |
FSB | ロシア | ロシア連邦保安庁。KGBの後身 |
SVR | ロシア | ロシア対外情報庁。KGBの対外情報部署の後身 |
DGSE | フランス | フランス対外治安総局。国外専門。 |
DST | フランス | フランス国土保安局。国内専門。 |
モサド | イスラエル | イスラエル諜報特務庁の通称。 "モサド"とはヘブライ語で"組織・機関"などを意味する。 |
国家安全部 | 中国 | 中国の情報機関の名称。 軍事系の情報機関(人民解放軍総参謀部情報部)とは分けている。 |
国家情報院 | 韓国 | 韓国の情報機関の名称。 英語略称はNIS (National Intelligence Service)。 |
公安調査庁 | 日本 | 英語略称はPSIA (Public Security Intelligence Agency)。 |
内閣情報調査室 | 日本 | 略称は内調(ないちょう) 英語表記はCIRO (サイロ) (Cabinet Intelligence and Research Office)。 |
公安警察 | 日本 | 警察庁と都道府県警察の公安部門を指す俗称。 [2] |
東機関 | 日本 | 第二次世界大戦のころにあった日本の諜報機関。 暗号解読で存在を把握したアメリカにより1944年に壊滅した。[3] |
架空のスパイ機関
名称 | 作品 | その他 |
---|---|---|
J機関 | 秘密探偵JA | マンガ作品『秘密探偵JA』に登場する日本の諜報機関。 |
情報局対東課”WISE(ワイズ)” | SPY×FAMILY | 遠藤達哉のマンガ作品『SPY×FAMILY』に登場する、西国〈ウェスタリス〉の諜報機関。 |
サイファー | メタルギアシリーズ | KONAMIのゲーム「メタルギアシリーズ」に登場する、アメリカの非政府諜報機関。 |
人狼局 | 血界戦線 | 内藤泰弘のマンガ作品『血界戦線』に登場する諜報機関 |
スパイを扱った作品
映画・小説
- 「007」シリーズ
- 「裏切りのサーカス」
- 「スパイキッズ」シリーズ
- 「ジェイソン・ボーン」シリーズ
- 「ミッション:インポッシブル」シリーズ
- 「Mr.&Mrs. スミス」
- 「ブラック・ウィドウ」
- 「スパイ教室」
ドラマ
ゲーム
アニメ・漫画
- 「攻殻機動隊」シリーズ
- 「プリンセス・プリンシパル」
- 「ヨルムンガンド」シリーズ
- 「SPY×FAMILY」
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *下手にかばえば国家ぐるみで行われていたと認めるようなものであるが、逆に個人に関するスパイ情報を徹底して抹消あるいは偽造しておき、一般国民であると強弁して帰還を要求するケースもある。証拠さえなければ「個人が勝手にやったこと」ということにもでき、「我々の国民がスパイ疑惑で不法に監禁されている」「一般人を不当に拘束する異常な相手だ」との相手へのレッテル貼りや対外アピールなどにも使えるからである。
- *各警察の公安部門の公安警察官をひとまとめにした呼び方なので、正確には一つの機関というわけではない。
- *スペインの日本公使館を拠点に活動(日本公使も絡んでいる)していた諜報組織。アメリカの主要都市にスパイ網を構築したうえ、収集した情報を他国経由でスペイン日本公使館に届けて日本に打電するルートを確立しているという現在の日本からは想像もつかないようなことをやってのけ、アメリカ反攻作戦やマンハッタン計画(原爆の開発計画)などの情報も収集するなどの多大な成果を挙げた。……が、当の本国(外務省や大本営)が信憑性の低い情報と判断して活用してくれなかったため、情報を送った意味がまるでなかった。
- *Netflixのドラマシリーズ。映画のエリ・コーヘン(エリ・コーエン)は実在したイスラエルのスパイ。
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