スプーナリズム(語音転換/頭音転換)とは、言葉の一部分、特に先頭をわざと入れ替えて作る言葉遊びである。
概要
この呼称はオックスフォード大学のニュー・カレッジで教鞭を務めた神学者のウィリアム・アーチボールド・スプーナー(1844~1930)に由来する。彼はこのような入れ替えを多用していたとされている。
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You have missed my history lectures; you have wasted a whole term. You will leave Oxford on the next down train
(意訳:お前は私の歴史学の講義を欠席し、学期丸ごと無駄に過ごしたのだ。お前はオックスフォードを次の下り列車で去ることになるだろう)
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You have hissed my mystery lectures; you have tasted a whole worm. You will leave Oxford on the next town drain
(意訳:お前は私の神秘学の講義に「シッ」と野次を飛ばし、芋虫を丸ごと食ったのだ。お前はオックスフォードから下水道で流されてどっかに行っちまうだろう)
実際にスプーナーは言い間違いが多かったようだが、これは半分くらい「伝説」のようなもので、後世の学生による作り話の部分も含まれているとみられている。ちなみにスプーナーはオックスフォード大学では「愛すべき奇人」として知られており、このような言い間違えは「頭の回転が速すぎたために発話が追いつかなかった」と解釈されている。
「なつはあつい」→「あつはなつい」など、日本語でもスプーナリズムは可能であり、お笑い番組やインターネットで日々新たな言葉が生み出されていった。すでに2000年代には、インターネットの個人サイト「スレッジハンマーウェブ」等でスプーナリズムによって新語が日々誕生していた。
「アカピッピミシミシガメ」のように、誤記から生まれる場合もあったり、部分的に新しい音節が追加されていたりすることもある。どこからどこまでがスプーナリズムかというものは定まっていないが、元の文字だけを使い(新しい文字を追加せず)、かつ元の語感があまり残っていないほど改変されている場合はアナグラムと呼ばれることが多い。
Twitter上では「5000兆円欲しい!」風の文字装飾でネタにされることが多い。
例
- ミシシッピアカミミガメ → アカピッピミシミシガメ
- ゲリラ豪雨 → ゴリラゲイ雨
- アツアツのゴハン → ゴツゴツのアハン
- ひきたてコーヒー → こきたてヒーヒー
- パラパラチャーハン → チャラチャラパーハン
- ハトポッポ → ポトハッハ
- ダンブルドア → ドンブルダア
- モロボシ・ダン → モロダシ・ボン
- オダギリジョー → オジョギリダー
- 松平健 → けつだいらまん
- おまわりさんこっちです → おさわりまんこっちです
- キティちゃんの間違い探し → マティちゃんのキチガイ探し
- それにつけてもおやつはカール → 俺につけてもそやつはカール
- 開けろ!デトロイト市警だ! → デトロ!開けろイト市警だ!
- ア○ルセッ○ス → セナルアックス
- ニコニコ超会議 → チコチコ尿会議
- アズールレーン → レズールアーン
- 堀江由衣 → ゆりえほい
- チキチキバンバン → バキバキチ〇チ〇
関連動画
関連リンク
- 安藤聡「スプーナーとスプーナリズム」, 愛知大学「Goken News 2004年12月」, p.13-15.(pdfファイル)
- 山田航「腹筋崩壊!スプーナリズム(1)どうしてこんなに可笑しいの?」, 文春オンライン, 2015/08/09.
関連項目
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