スペシネフ(SPECINEFF)とは、SEGAが発売したアーケード及び家庭用ゲーム『電脳戦記バーチャロン』シリーズにおける架空機動兵器、バーチャロイド(以下VR)の一種である。同シリーズ「オラトリオ・タングラム」から第二世代VRとして登場し、以降も第三世代として発展した。
この項目では初代スペシネフ、形式番号RVR-87及び第三世代型YZR-13について説明する。
RVR-87 怨恨呪詛的暗殺機体[スペシネフ]
時は電脳暦。VR製造を目的に設立された9つのプラントの中でも最も過激な第6プラント『サッチェル・マウス』に所属する、野心家にして最狂最悪のマッドサイエンティスト、アイザーマン博士が造り上げた禁断のバーチャロイド。刺々しいフォルムは悪魔を思い起こさせ、凶悪な表情と手にした武装は死神を連想させる…それがスペシネフである。
アイザーマン博士は自ら開発したRVR-42 サイファーよりも更に高性能なVRの開発に取りかかったのだが、その量産が始まって暫くすると第1プラント『ダンシング・アンダー』から強奪したV・クリスタル質が底を尽き始めた(詳しくはサイファー(バーチャロン)項目を参照)。V・クリスタル質はハイブリッドVコンバータ(リバース・コンバートを実行する装置)の製造に必要不可欠な物質であったが、各プラントが激しく対立する最中に再度強奪に向かうにはリスクが高い…さしものアイザーマン博士も、野心と現実との間で苦悩する日々が続いた。
そんな博士に「ある提案」を持ちかけたのが、電脳暦最狂最悪のワガママセレブ、overloadの一員であるディフューズ・アルフレート・ド・アンベルⅣ。あのフェイ・イェンを開発したプラジナー博士をライバル視し、彼以上の研究成果を成し遂げようとするアイザーマン博士にとって、アンベルⅣの提案はまさに悪魔の囁きだった…。
「パイロット殺し」
VR開発初期においてはMSBSの不備も相俟って、Vコンバータ内部にパイロットの精神が取り込まれてしまうという事故が相次いで発生していた。大抵の場合、取り込まれた精神は数分の内に発狂し自己崩壊していったのだが、その怨念や狂気はV-コンバータ内部のディスクに蓄積されていた。
RVR-87の開発者であるアイザーマン博士は、その悪性残留思念に侵されたディスクを再利用するプランを立案し、あろうことか実行に移してしまったのである。このプランの原案こそがアンベルⅣの「提案」である事は言うまでもない。
人々の精神を呑み込み、使用不可となったVコンバータ内ディスクは破砕細分化され、新たな構造材として再利用された。この構造材を充填して作られたのが、本機背部に装着された翼の様な部位、「EVL(イヴィル)・バインダー」である。
このEVL・バインダーにはパイロットの憎悪を増幅する機能があり、MSBSへの同期を高める事で機体の戦闘能力を大きく向上させた。だが、その対価としてEVL・バインダーを過度に使用した時、パイロットの精神は崩壊し、スペシネフ自体も修復不可能な程の激しい自壊現象を引き起こす。
しかも頭部内にあるコクピットを挟む様に角にも構造材が使用されており、Vコンバータからの余剰エネルギーによる制御系圧迫の影響を余計更に増幅し、MSBSの0.5秒信号カットを無効化している。(バイパーⅠの自壊現象を強制発動しているようなもの)これがスペシネフが「パイロット殺し」と呼ばれる所以となっている。
更に、バインダーの発するノイズは本機の周囲に近付く人間に有害な精神変調をもたらし、防護装備を持たない人間は最悪の場合発狂してしまう事すらあるとされる。スペシネフが出没していた宙域を航行していた船舶に乗り合わせていた人々は等しく発狂し、その宙域を脱出した後に回復できた者は1割にすら満たなかったとされる辺り、「近寄るとほぼ確実に発狂する」と言う表現のほうがより正しくも思えるが――うわ何をするやめ
無論、その「発狂宙域」とはスペシネフを開発していたアイザーマン博士のラボ及び、サテライト周辺の宙域に他ならない。
亙重郎氏のTwitterモーメントではSM-06を掌握したアイザーマン博士は使えそうな資産を捜している途中で閉鎖された0プラントの座標データを見つけ現地に赴き探索中に「ついさっきまで活動していたとしか思えない」ラボを発見、その中にあった廃棄V-ディスクを再利用してスペシネフを開発した。テスト結果を見たアンベルⅣは「これは使える」と
判断してSM-06にスペシネフの発注を行った、とされている。
なおアイザーマン博士が見つけたラボは非公式組織「シャドウ」のラボだった・・・。
その危険性故、後日なされた国際戦争公司の勧告に基づき、スペシネフを限定戦争で使用する際にはEVL・バインダーにリミッターが課せられるようになった。だがアイザーマン博士はこの勧告がお気に召さなかったようで「言われたから付けた」程度のリミット性能しかない代物をスペシネフに取り付けた。(要は『お飾り』)
尚、リミッターを解除したスペシネフは文字通りに「この世のものではない」状態となり、通常兵器での破壊は不可能になる。だが、その能力が維持出来るのは僅か13秒に過ぎず、その後は先述したような激しい自壊現象を引き起こす。つまりスペシネフがデスモードに移行した場合、パイロットは###お察し下さい###なので、乱用は控えた方が良さそうである。
ゲーム内でのスペシネフ
ゲーム内での本機は、“紙飛行機”サイファーに毛が生えた程度の(Vアーマーの跳弾性能含めて)低防御力な機体。死神ならぬ死紙である。ただしスペシネフは空中制御能力が鈍く、メインは地上戦となる。
更にRW、CW、LW全てが「単発」攻撃であり、武器ゲージ回復も遅い為、まずは敵の動きをしっかり捉えて撃つことを心がけよう。移動に関しては全機体中最高速度のダッシュ性能を発揮するが、移動距離は他の機体の半分程しかない。しかし歩行に関しては「漕ぎ」入力をすることでかつてのベルグドルかそれ以上の移動能力を誇る。要ツインスティック。ダッシュ旋回は速いので、敵捕捉には困らない筈だ。
敵機体をフワフワと追うLWの小玉を常に置いて相手を牽制しつつ、弾速の速いRWで追い詰める。CWの衝撃波は障害物を貫通して相手に向かっていく素敵性能。近接攻撃だと少々クセはあるものの範囲は広く、遠距離攻撃となると攻撃発生、速度共に速く、CW+Rターボ入力で追尾性能を追加すると相手はサイファー使用時並の高回避能力を要求される。スペシネフのお家芸として他バーチャロイドから最も警戒、対策される攻撃なので、ここぞという時にしっかり決めよう。
特徴的なのがターボショットによる「封印攻撃」。相殺効果があり、ゲージ回復も早いLT+RWの青玉(敵に当たれば各種RWを最大13カウント封印。近接も封印出来る)をメインに精神攻撃を仕掛けよう。一見使いどころが難しい同時押しのレーザー攻撃も、ターボ攻撃等の硬直キャンセルに使えるという美味しい特権がある。
13秒ダケ待ッテヤル!
相手より体力が少ない状態で、立ち状態でスタート(スペシャル)ボタンを2回押しする事でデスモードに突入する。画面端に13秒のカウントが表示され、その間は無敵状態。 とはいえ、相手の攻撃によるノックバックやダウンは普通に食らってしまう。カウントがゼロになる前に相手を倒せなかったり、タイムアップで自爆(負け)。 相手に逃げ切られてしまう事も多々あるので、ぶっちゃけ鎌回しと並ぶロマン技である。
第三世代型では「EVLセルフクラッシャー」という名称がついた。
こちらもタイムオーバー、タイムアップで全体力が消失してしまう。一応チーム戦なので非リーダーであればレスキューで蘇生できる。
第三世代モデル YZR-13 スペシネフ13
前述の憎悪増幅装置「EVLバインダー」を更に推し進め、火星・木星におけるVコンバーター機能障害すらはねのける強烈なサイコノイズ発生システムの搭載に成功している。また、運用目的によって異なる機能を有したEVLバインダーを装備しており、それが機体バリエーションとなっている。
それを転用して敵機のVコンバーター機能を阻害する能力を有している。
サッチェルマウス系列を運用するマシュー艦隊は火星を跳梁しており、その中の特殊部隊に配備されている。
ゲーム中での性能
単発高威力な射撃群と優秀な近接を持った高い攻め能力を持つ機体であるのだが、相変わらずダッシュが短く、武器ゲージの消費率が大きく手数の少ないクセの強い機体。
オラタンの頃のような純然たる軽量級ではなく、若干装甲が強化され、その分ダッシュ速度は鈍くなり、全体的には中量級…チーム戦ではどちらかというとテムジンやアファームドとポジションを争う主戦機としての性格が強い。
挙動にクセがあるのは相変わらずだが援護に向いた攻撃力を満載しているため、主戦機だからと一対一に固執しない柔軟で狡猾な立ち回りが強い機体となった。
the sin “罪”
戦死者の残留精神波を集めて増幅、攻撃に転用する「アンデット・コンバーター」機能を搭載したEVLバインダーを搭載したモデル。
ちなみに“罪”というコードはその非人道的な機能が非難され、後付されたもの。
また、パイロットのみならず戦場の思念を回収する機能は後に景清系列を生む技術へと発展してゆく素地となった。
鎌を形成するアイフリーサーと背中のバインダーを手裏剣のように飛ばすCWによる自衛力の高い機体。
ともすれば堕天使のようにも見える大型のEVLバインダーから見た目性能は高いが、後述の“戦”ほどの強い特徴はないが、素直な挙動と安定した性能から愛用者も次いで多いいぶし銀機体。
the war “戦”
スペシネフ13の中で重量級に位置するモデル。
意図的に歪曲された真言回路「マントラ・ドライブ」による憎悪増幅によって高出力を発揮した単騎戦闘型。
普段はバインダーが畳まれて細いシルエットをしているが、滞空中に展開され、さながら蝙蝠のようなフォルムとなる。
CWが戦斧型アイフリーサーによる地形貫通型の縦ビームウェーブを放つ。
特にこの地形貫通効果はフォースにおいて希少な存在であり、地形によって射線を切って2体1の状況から免れることが重要な2on2ルールにおいて射線を切れないという性質は絶大な存在感を誇る。
ただこのCWが誘導は強いものの当たり判定が胡散臭いことで有名で、当てる方も当たる方もなぜかスカる(当たる)ためどうにも安定性に欠くことで評価が人によって食い違う。
とはいえ、いまだに対策必須の大物食い機体として十分な強さを誇る。
the end “終”
スペシネフ13の支援型モデル。
自分にかかる機能不全を解決するEVLバインダーの機能を転用し、敵のVコンバーター機能の妨害に応用した「ブードゥー・ベクター」を装備したモデル。
背中の星型のバインダー2枚が特徴であり、アイフリーサーがヘッジトリマー(草刈り機)型という威圧感ある見た目をしている。
CWが状態異常を発生させる球を2つ射出する。
ただし火力面では見るものが少なく、かといって状態異常自体はそこまで深刻ではないため、今一つシステムと噛み合ってない機体である。
怨恨呪詛的豆知識
- DC版のネット対戦及び5.66で利用できる「クイックメッセージ」という機能があるが(対戦時に画面に一言メッセージを表示、DCで編集したデータを持参すれば5.66で使用可能)スペシネフだけは「名前の一部がNGワードに該当するために」メッセージに使えない(スペ「シネ(死ね)」フ)。
- コトブキヤよりライデンのプラモデルが発売された事に端を発して付けられたタグ「祝!プラモ化」が、スペシネフの場合は時折「呪!プラモ化」になっていたりする。機体故致し方なし。
- 週刊ヤングジャンプ誌連載中の「週刊 はじめての初音ミク」(作:林健太郎)。作者のブログやウェブバナーなどで使用されているイラストのミクのポーズが、その表情と相俟ってどことなくスペシネフのパーフェクト勝ちポーズに似ているように見える。そういえばミクのカラーリングってスペシネフのDNAカラーに似て…うわなにをするやめr
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