スペースインベーダーとは、タイトーが開発したシューティングゲームである。愛称として「インベーダーゲーム」などとも呼ばれる。
概要
タイトーの看板タイトルであり、アーケード版の第一作は1978年と、その歴史は非常に長いが、現在も○○周年の区切りなどに続編や派生作品が制作されている。アーケード版の発売当時は日本中に一ブームを巻き起こし、ゲームセンターやゲーム喫茶(テーブル型のゲーム筐体を客席テーブル代わりとした喫茶店)がたくさん開店した。ちなみにこれらは「インベーダーハウス」「インベーダー喫茶」と呼ばれた。また、インベーダーのおかげか日本中で100円玉が不足し、通常よりも多くの100円玉が鋳造された。なお、「インベーダーハウス」という営業形態を最初に確立したのはSNKである。
北米ではミッドウェイゲームズにライセンスされた。代わりにミッドウェイゲームズからタイトーにライセンスされたのが、(日本国内では)スペースインベーダーと同日発売の「ブルーシャーク」である。
ゲーム内容
全9面※のループゲーム。画面上の55匹のインベーダーを倒すとステージクリアとなり9面以降は2面からの繰り返しとなる。敵の攻撃に当たって残機が無くなるか、インベーダーが画面最下部まで降りてしまうとゲームオーバーとなる(こちらは占領扱いのため、残機がいくら残っていても関係ない)。
自機は左右にしか動けず、弾は1発ずつしか発できない。インベーダーを倒すごとに移動スピードが早くなり正確に狙わなければ倒すことは難しい。
本作の人気の理由はズバリ「敵が自機に向かって弾を撃ってくる」ということが一番の要因であろう。インベーダー以前のゲームといえばもっぱら「ブロック崩し」か「サーカス」がせいぜいであり、能動的に敵が攻撃してくるゲームは存在しなかった。また、レインボーや名古屋撃ちといったフューチャーが数多く存在したことも要因の一つといえるだろう。更に、「上達すれば長時間プレイできる」という要因もあった(当時のアーケードゲームはタイマー式が主流で、規定時間のプレイが終了して得点が規定以下ならゲームオーバー、規定以上なら再ゲーム(リプレイ)、景品払い出し、あるいはタイマー延長のいずれかが得られるというシステムがほとんどだった。ちなみに、近年では、再びタイマー式やそれに近い方式に回帰する傾向にある)。
ただ、「敵がプレイヤーを攻撃する」というのは開発段階では社内や内覧会においては不評だった。そのため、営業やAMショーでは同日発売の「ブルーシャーク」をメインとしてプッシュしており、本作は半ばオマケのような扱いだった。
※最初から全9面という設計だったわけではなく、本来は10面、11面と進むと更にインベーダーの初期位置が下がり、最終的にはクリア不可能な位置まで下がるように設計されていたものがバグによりループするようになった。なお、これは続編以降では仕様化され、パートIIでは最初から全9面ループとして設計されている。ちなみに、亜流の中には本当に最下段(侵略寸前の位置)まで初期位置が下がるものもある(該当作品では、名古屋撃ちも不可能という・・・)。
亜流ゲーム
当時のゲーム業界は本当にヒット作のパクりパクられが当たり前の世界で、各社からコピー品(プログラムはまんまコピーで、タイトル文字や社名、絵だけ変えたもの)や、模倣品(コピーではないが、内容をそのまんまパクったゲーム)が大量に発売された。セガのヘッドオン(1980年)なども、インベーダーほどではないがパクリがたくさん世に出回っており、タイトーも似たようなゲームを作っていた。
インベーダーブーム当時から存続するゲーム会社はほぼ全てインベーダーのコピーゲームを制作しており、任天堂やセガ、NBGIも例外ではない(任天堂は「スペースフィーバー」や「SFハイスプリッター」、セガは「セガ・スペースアタック」や「スペースインビンコ」、豊栄産業=コアランドテクノロジー=現在のバンダイナムコゲームスは「スペースストレンジャー」)。こういった状況に関して当時、任天堂の山内社長(2009年現在相談役)が「遊びにパテント(特許)は存在しないんです。」と発言したことは今でも一部で有名。ちなみにナムコだけは「ギャラクシアン」の開発に注力するためにインベーダーのコピーゲームを作らなかった…のだが、バンプレストを吸収したことにより「インベーダーのコピーゲームを作った会社」の仲間入りをしている。また、SNK、サミー、アイレムなどはタイトーに許可を得てライセンス生産を行っていた(事後承諾も含まれるが…というか、事後承諾でないのはサミーだけという説もある)。
亜流といってもその出来は千差万別であり、本当にタイトルとインストの表記を変更しただけのものから、独自設計で元の製品よりも高性能な基板を使用したもの(アイレム=当時のIPM、現在のアピエスなど)、独自のゲーム性を追加して「亜流」と呼ぶに相応しい出来のもの(任天堂など)、基本ルールこそ同じだが見た目にも全く別のゲームに思えるほど変更点が多いもの(データイーストなど)、独自設計でクローンを作ろうとしたはいいが「弾の処理とインベーダーの移動が同時に行えず弾を撃つ毎にインベーダーが一時停止する」「最下段のインベーダーしか表示されない」「筐体流用のために砲台がパッドによる移動」など、ハードウエアの制約で完全再現できず明らかに見劣りするもの(家庭用だがエポック社など)と、「亜流」で一くくりにすることは出来ない。
こうして「ブロックくずし」を作るために創業した星の数ほどのゲーム会社はインーダーのノウハウを生かし独自のゲームを作るようになっていった(一方で、SANKYOの様な「パチンコの技術を流用したエレメカ」を得意としていた古いゲームメーカーは世代交代するかのごとく業界から退場していった・・・)。
続編
- スペースインベーダーパートII(1979年)
続編というよりは改良版に近い。ネームエントリーが出来るようになった。
他社の亜流(SFハイスプリッターやカプセルインベーダーなど)の追加要素を取り入れたのか、
インベーダーが補充されたり分裂したりといった要素が追加されている。
また、ステージクリア時にインベーダーがUFOで敗走するデモがある。 - リターンオブザインベーダー(1985年)
開発はUPL。パワーアップ、ボーナスステージなどが追加。
敵が別物なのでインベーダーの続編という感じはあんまりしない。
真ん中が弱点で、弱点以外に命中しても弾を反射する敵が非常に強く、このためにかなり難易度が高い。 - マジェスティックトゥエルブ(1990年)
ステージの分岐、アイテムの充実が図られ、画面下に敵が到達しても即ゲームオーバーではなくなった。
牛を助けるボーナスステージはユニークだがこれにガンフロンティアの倍以上の制作費をかけたと思うと・・・。 - スペースインベーダーDX(1993年)
タイトー40周年もといスペースインベーダー15周年記念作品。初代を再現したオリジナルモード、対戦モードを搭載。また、タイトーの歴代キャラが出演するパロディモードには思わずニヤリとさせられる。 - あっかんべぇだぁ~(1995年)
タイトー版パロディウスとも言える内容で、奇々怪界の小夜ちゃんやダライアスのシルバーホークが使える。
舞台が月面ではなく地球に変更されている。 - スペースインベーダーアニバーサリー(2003年)
タイトー50周年もといスペースインベーダー25周年記念作品。アップライト筐体、テーブル筐体を3Dで再現するなどそれ何てセガの某アレ?と思うがアーカイブなどもあり資料的価値はある。
ちなみに、原作の単純再現であるアーケード版の方が遊びやすい(家庭用版ではフルスクリーン表示が出来ず、資料的価値はあるがかなり遊びにくい)。 - スペースインベーダーエクストリーム(2008年)
スペースインベーダー30周年記念作品。Rezのようにショットと音楽の同期が図られており、かなりスタイリッシュな仕上がりとなっている。2009年には続編のスペースンベーダーエクストリーム2も発売された。
ちなみに、本作よりアーケード版が作られなくなったため、これを「続編と認めない」プレイヤーも多い。 - 逆襲のスペースインベーダー(2008年)
インベーダーを操り地球を破壊する3DTPS風の作品。 - スペースインベーダーインフィニティジーン(2009年)
エクストリームの姉妹作。シューティングゲームの進化がテーマ。 - スペースインベーダー FRENZY(2017年)
アメリカのRAW THRILLS社との共同開発。108インチの巨大な薄型LEDモニターを使用し、ガンシューティングゲームの容量で直接インベーダーを攻撃する。この都合上敵の攻撃を受けることがないため、画面最下層までインベーダーが侵入してくるとアウトになる(本来のコンセプトではこの時点でゲームオーバーだが、この作品では残機が1つ減るだけ)。 - SPACE INVADERS EXTREME(2018年)
40周年記念作としてリリースされたエクストリームのSteam版。 - スペースインベーダー カウンターアタック(2020年)
unis社の企画・開発でタイトーは販売のみ。画面に物理的にボールを発射し、次々に画面に出現するインベーダーを倒していく。画面下部のトーチカが全て破壊されるとディフェンスモードに移行。画面前にいるインベーダーのフィギュアが手前に迫ってくる。一定数の弾を当てることで追い返すことができ、繰り返すことで撃退、ステージクリアとなる。追い返すことができず、ディフェンスラインまで侵入を許すとゲームオーバーとなる。
tips
- インベーダーといえばテーブル筐体のイメージが強いがアップライト筐体も存在する(というか、タイトー系列などインベーダー以前からあるゲーセンではアップライトを見かけることのほうが多かった。参考までに、同日発売の「ブルーシャーク」はアップライト筐体のみでテーブル筐体は存在しない)。ちなみにワイン持ちでプレイすると指が切れて血まみれになる可能性があるので注意。なお、アップライトの初期型では、操作がレバー+ボタンではなく3ボタン操作となっていた。
- タイトー製アーケード汎用筐体には「ミニベーダー」というテスト用基板が付属してた。インベーダーの目が2ドットになっており若干かわいい感じにアレンジされている。このテスト基板は「空(そのままでは稼動出来ない)の筐体を単体販売できない」という制約により付属させていたものである。ちなみに、セガの筐体は同様に「ドットリくん」というヘッドオンのミニ版というべきテスト用基板が付属してた。なお、現在はそのような制約はなくなっている(そのため、ゲームメーカー以外の会社が汎用筐体を製造販売している)。
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関連項目
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