スペースX(SpaceX:Space Exploration Technologies Corp.)とは、宇宙ロケットの商業打ち上げや衛星通信(Starlink)、宇宙輸送インフラの開発などを手がける、アメリカの民間企業である。
宇宙ロケットの商業利用を目的とするベンチャー企業として始まり、米国政府との契約獲得、再利用ロケット「ファルコン9」の成功、スターリンク衛星網の大規模展開を通じて事業を拡大。現在ではベンチャーの枠を超え、世界的な宇宙輸送・通信インフラを担う企業としての評価を確立している。
概要
アメリカの起業家イーロン・マスクが2002年に設立した。本社はアメリカ合衆国カリフォルニア州のホーソーンにあるが、近年はテキサス州のスターベースを中心に事業活動が行われており、約13,000人の従業員がいる。
2018年2月6日に全高約70mの大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げを成功させた。大きな荷物を運べることをアピールするため、電気自動車テスラ・ロードスターを搭載するという演出も話題となった。テスラもイーロン・マスクが立ち上げた、電気自動車の開発から販売まで手がける企業である。
マスクはスペースXを立ち上げるにあたり、航空宇宙産業や物理学について何ヵ月も勉強し、ロシアまでミサイルを買いにいったそうである。ところが軽くあしらわれてアメリカへ戻る途中、すでに自腹でロケットを製造することを決めていた。簡単にあきらめず決断も早いところがベンチャー企業の経営者らしいのである。
インターネット決済の大手企業ペイパルは、マスクが立ち上げたXドットコムが前身となっていて、ペイパルの創業者や出身者はおなじみYoutubeやビジネス特化型のSNS・LinkedInの創設に関わっており、「ペイパル・マフィア」と呼ばれている。かのイーロン・マスクもそのひとりなのである。
イギリスのリチャード・ブランソンもヴァージン・ギャラクティックでロケットの商用利用に挑んでいるが、こちらは失敗続きで上手くいってない。しかし大きな夢を抱く米英の起業家がそれまでの成功に飽き足らず、共に宇宙を目指したのは、小さな失敗でクヨクヨしている日本のサラリーマンや経営者を勇気付ける、かもしれない。
事業
ロケット打ち上げ
- ファルコン9 - 2段式ロケットで、打ち上げ後に1段ブースターを回収し、再利用することで打ち上げコストを下げている。ファルコン9の実用化により商業衛星市場をほぼ制圧し、世界各国の政府や企業がファルコン9を使用するようになった。世界で最も多く打ち上げられている商業ロケットであり、年間打ち上げ回数は100回を超えている。
- ファルコンヘビー - ファルコン9の第1段を3本重ねたような構造になっている大型ロケット。両サイドのブースターは再利用可能。スターシップ完成までの大型輸送を担う存在である。
宇宙船
- ドラゴン … 国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を輸送する役割を担う宇宙船。2020年に退役。
- クルードラゴン(Crew Dragon) … ドラゴンの後継として開発された有人宇宙船。NASAと契約を結び、アメリカの宇宙開発で運用されている唯一の有人宇宙船である。2020年5月に宇宙飛行士を乗せて打ち上げられた後にISSへのドッキングに成功。同年8月にメキシコ湾に着水し、帰還した。アメリカの有人宇宙船が着水したのは45年ぶりになる。[1]
衛星通信
Starlink(スターリンク)は、独自の衛星ブロードバンドネットワークを立ち上げて、高速ネット接続が難しかった地域を含む世界中へブロードバンド接続を提供するサービス。2020年にアメリカでベータ版サービスが開始され、2022年頃から本格展開されている。高速通信には専用アンテナが必要であるが、アンテナ無しで直接通信が可能な技術の開発も進められており、日本では2025年に「au Starlink Direct」として開始された。
2026年時点で、スターリンクは契約者数が700万人を突破している。現在のスペースXの収益の柱になっており、今後も世界的なインフラに育っていくことが予想される。これはスペースXが通信インフラ企業と呼ばれる理由でもある。
スターシップ計画(開発中)
- スターシップ(スペースX) - 開発中の完全再利用型巨大宇宙船。月や火星の探査を視野に入れており、超大容量輸送を担う。NASAの月探査(アルテミス計画)にも使用される予定。
- スーパーヘビー - 宇宙船「スターシップ」を打ち上げるために開発されている超大型ロケットで、全高70mの単段式。スターシップ(全高50m)を組み合わせると全高120mになり、アポロを打ち上げたサターンV(アポロ込みで全高110.6m)を超える。[2]2024年10月に、発射台のロボットアームでのキャッチ(ロケットの回収)に初めて成功した。
関連動画
関連項目
脚注
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