スルーセブンシーズとは、2018年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。
概要
父ドリームジャーニー、母マイティースルー、母の父クロフネという血統。
父はグランプリ連覇などGⅠ3勝を挙げた名馬。種牡馬としては馬体の小柄さと短小さのために種付けに苦労したため産駒数は少ないものの産駒は堅実な走りを見せている。
母は中央競馬で4勝を挙げた馬。母の父は芝・ダートでGⅠを勝利し、種牡馬としても数々の活躍馬を輩出した。
半姉に紫苑ステークス(GⅢ)を勝利したパッシングスルーがいる。
2018年4月8日にノーザンファームにて誕生。馬主はリスグラシューやクリソベリルなどの名馬を所有していたクラブ法人であるキャロットファーム。所属はレッドファルクスやグローリーヴェイズを手掛けた美浦の尾関知人厩舎に預けられた。
馬名の意味は、『七つの海を越えて』。父と姉の名前より連想したもので、世界中での活躍を願って名付けられた。
航海と旅路の先に
2歳(2020年)
9月19日の中山の芝1800mの2歳新馬戦にクリストフ・ルメールを鞍上にデビューして後方から上がり最速の脚を使って差し切り、1番人気に応えでデビュー戦を制した。
3歳(2021年)
1月25日の中山芝2000mの3歳1勝クラスから始動。戸崎圭太を背に後方から追い込むも3着に敗れた。
続いて3月末のミモザ賞(1勝クラス)に出走。鞍上はルメール騎手に戻って1番人気の支持を受けた。重馬場の中、スイスイと伸び脚を見せて2馬身半差で2勝目を挙げた。
その後は優駿牝馬(オークス)に戸崎騎手を背に出走するも、いきなりのGⅠ戦では荷が重たかったのかユーバーレーベンの9着に敗れた。
秋は秋華賞トライアルの紫苑ステークスから始動。大野拓弥を背に後方内で脚を貯めながら待機し、直線馬群の中で進路を手間取るながらも前に迫るが、先に抜け出してたファインルージュを捕らえることはできずに1馬身3/4差の2着。秋華賞の優先出走権を確保するも、姉パッシングスルーとの姉妹制覇とはならなかった。
本番の秋華賞ではこれまでの競馬を違い3・4番手での競馬となるも脚質的に向いていなかったのか直線でズルズルと下がっていき11着に敗れた。
4歳(2022年)
3月上旬の湾岸ステークス(3勝クラス)より始動。横山武史騎手を背に2番人気で出走するも3着に敗れた。
その後は休養を挟んで6月のマーメイドステークスに出走。秋山真一郎を背に2番人気に支持れるも大外ぶん回しする羽目になりウインマイティーの10着。
8月の日本海ステークス(3勝クラス)では戸崎騎手を背に3番人気で出走。中団から末脚を伸ばすも重賞でも好走歴のあるロバートソンキーにアタマ差で交わせれて2着に敗れた。
5歳(2023年)
1月中旬の初富士ステークス(3勝クラス)から始動。短期免許で来日していたテオ・バシュロが鞍上となった。8番手を追走し、外を回しながら直線へ。鋭い伸び脚を発揮して前で粘る先行馬らを捕らえて勝利。ミモザ賞以来約1年10か月ぶりの勝利を挙げてオープン入りを果たした。
続いて中山牝馬ステークスに鞍上ルメールで出走。重賞2勝馬アートハウスに次ぐ2番人気の支持を受けた。道中は9番手を追走。最終コーナーで手応えよく位置を押し上げて直線に入ると、伸び脚を発揮して前の馬を交わし去ってゴール。オープン入りから一気に重賞初制覇を果たした。
その後はヴィクトリアマイルか中距離重賞を目標にすると思われたが、陣営はまさかの宝塚記念参戦、更にその結果次第では凱旋門賞への出走も検討していることを表明。しかしここまでのスルーセブンシーズのGⅠ戦績は惨敗もいいところで、しかも今まで出走してきた重賞は全て牝馬限定戦で、牡馬混合戦の宝塚記念や凱旋門賞への出走はあまりにも無謀すぎる判断ではないかと考える競馬ファンは少なくなかっただろう。ぶっちゃけ記事主もムチャだろと思った。
そして迎えた宝塚記念はGⅠ馬8頭を含む17頭が参戦。1番人気は昨年の年度代表馬でドバイシーマクラシックを逃げ切り圧勝でGⅠ3連勝を決めたイクイノックスが単勝オッズ1.3倍の圧倒的支持を集め、2番人気は天皇賞(春)を制してここに臨むジャスティンパレス、3番人気はジェラルディーナと続いて、スルーセブンシーズは10番人気の評価となった。鞍上はルメール騎手がイクイノックスに騎乗するため、父の主戦騎手であった池添健一が鞍上を務めた。
レースはユニコーンライオンが逃げてイクイノックスは最後方から2番手、スルーセブンシーズは更にその後ろで殿からの競馬となった。イクイノックスがやや位置を上げるとそれに合わせて位置取りを上げ、最終コーナーでイクイノックスが捲り上げるとそれを見るようにスルーセブンシーズも進出を開始する。イクイノックスは大外を選択して、スルーセブンシーズはそれよりは内を選択。しかし、ジオグリフが伸びず前が壁となってしまった。それでも内の方に進路を見出すと馬群を捌きながら末脚を伸ばして順位を上げていくも、大外から伸びたイクイノックスを交わすことはできずクビ差の2着。不利がなければ先着できたかもしれないが、イクイノックスも大外ぶん回しのロスがあることから言い訳にはできないだろう。上がり最速の34秒6が彼女の本領を物語っている。
とはいえイクイノックスには敗れたものの並み居る強豪馬を倒したことは事実。この結果には競馬ファンを驚かせ、陣営の判断が正しかったことを証明した。
宝塚記念で好走したことから陣営は自信を持って凱旋門賞参戦を表明。事前に登録していたサリエラ・ドゥラエレーデは回避したため2023年の凱旋門賞に参戦する日本馬はスルーセブンシーズ1頭となった。鞍上は中山牝馬以来のルメールに戻り、体質が弱くて使い詰めできないことから直行となった。
凱旋門賞本番はトレヴ以来の無敗制覇を狙うエースインパクトが主役であり、国内馬繋がりだとハーツクライ産駒のコンティニュアスも追加登録からの参戦を表明。15頭立てながら非常に厳しい相手が揃う中、オークス以来の2400mとなった。
レースは後方の方でエースインパクトの内目に入れて待機。エースインパクトとほぼ同じような位置で追走して直線を向かえると馬群の間を縫うように追い上げて前に迫る。一瞬勝てるかもしれないと思ったファンも少なくなかっただろう。しかし凱旋門賞は欧州主要国の猛者が集う一戦、大外から伸びたエースインパクトとオネストに交わされ4着。
日本馬の凱旋門賞の掲示板入りはオルフェーヴルが2着・キズナが4着に入った2013年以来10年ぶり。日本競馬の悲願達成は今年も成すことは叶わなかったが、最後まで伸び続けて馬群から抜け出した雄姿に、人々は凱旋門賞制覇への夢へと再び近づくことができた。
管理する尾関師はレース後のインタビューに涙を浮かべながらも「たくさんの縁でこういう舞台に立つことができました。勝ちたいと思ってきたので悔しいけど、スルーセブンシーズを褒めてあげたい」と彼女の激走を労った。ルメール騎手も「直線ではだんだん伸びてくれた。スムーズな競馬ができた。よく頑張ったし、ハイレベルでいいパフォーマンスをしてくれました」とスルーセブンシーズを称えた。
帰国後は有馬記念への凱旋レースに挑む。クラブの規定上引退が近い彼女にとってはこれがGⅠ制覇のラストチャンスだろう。暮れの中山で父ドリームジャーニーとの親子制覇に挑む。
血統表
ドリームジャーニー 2004 鹿毛 |
ステイゴールド 1994 黒鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
ゴールデンサッシュ | *ディクタス | ||
ダイナサッシュ | |||
オリエンタルアート 1997 栗毛 |
メジロマックイーン | メジロティターン | |
メジロオーロラ | |||
エレクトロアート | *ノーザンテースト | ||
*グランマスティーブンス | |||
マイティスルー 2006 芦毛 FNo.8-h |
*クロフネ 1998 芦毛 |
*フレンチデピュティ | Deputy Minister |
Mitterand | |||
*ブルーアヴェニュー | Classic Go Go | ||
Eliza Blue | |||
*スルーオール 1990 鹿毛 |
Seattle Slew | Bold Reasoning | |
My Charmer | |||
Over All | Mr. Prospector | ||
Full Tigress |
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