スーパーカー(Supercar)とは、特定の車の種類に付けられる呼称である。
曖昧さ回避
- SUPERCAR - 日本のロックバンド→SUPERCARの記事参照。
- アニメ「黄金バット」に登場する、ヤマトネ研究所所有の空飛ぶ円盤型ひみつメカ。
- 日本の競走馬であるマルゼンスキーの愛称。
- 京阪2000系電車の愛称。
- 超スーパーカー - 「ドラゴンクエストビルダーズ2」に登場する乗り物、
概要
- 池沢さとしが「サーキットの狼」に登場させそうな車
- 実用性を1ミリほども考えられていない性能と見た目(スパルタン、つまり質実剛健かどうかとはまた別)
- カタログスペックが高い
- 見た目が超速そう
- 値段が超高い
- でも欲しくなるくらい超カッコイイ
- 生産台数に限りがある
- 消しゴムにしたくなる車(ホンダ・シティなんかはもちろん別)
以上にまとめられないこともない。タイヤにセメダインを塗ることは禁止だ。
簡単な歴史
戦前からより高性能なクルマを作って市販する動きはあったが、それらは既存の2座席オープンスポーツカーに、恐竜的大馬力エンジンを無理やり搭載したもの(シェルビーのACコブラとか)、あるいはレーシングカーがそのまま公道を走っているレベルのもの(初代フェラーリ250テスタロッサとか)といった、情緒や官能性とは程遠い粗野なマシンが大半だった。
状況が変わるのは1960年代後半、イタリアにおいてフェラーリ・ディーノ246GTやランボルギーニ・ミウラといったマシンが登場してからだ。これらのクルマは、流麗なボディデザインと優れた動力性能を両立し、情緒や官能性といったこれまでなかった魅力を醸し出していた。そして、レーシングカーそのままの機械的なインテリアから、豪華でかつドライバーの気分を高めてやまないスポーティなものへと脱皮していた。
つまり、全ての面で「スーパーなクルマ」を表す「スーパーカー」という言葉が誕生した瞬間である。
1970年代に入ると、フェラーリ365GT4BB、そしてランボルギーニ・カウンタックが登場。この2車のライバル関係を中心に、一気にスーパーカー界は活況を呈することになる。両者のすさまじい最高速度アピール合戦(カウンタックが300Km/hなら365GT4BBは302Km/h…ガキの喧嘩ですか?)は現代に至るまで語り草だ(どっちも実際は250Km/hも出んかったけど)。さらに、マセラティがボーラ、デ・トマソがパンテーラを発売した。これらも280~290Km/hの最高速度を宣伝していた(もちろんカタログデータ)。
そして、そんなヨーロッパから遥か離れた日本で、1975年から突如「スーパーカーブーム」が盛り上がることになる。週刊少年ジャンプで連載された漫画「サーキットの狼」によって、これらスーパーカーの存在が当時の少年達に一気に知れ渡ることになったからだ。日本のクルマがまだスタイルも性能も平凡だった当時、ヨーロッパのスーパーカーはまさにエキゾチックな魅力をたたえた特別な存在に彼らの目には映った。
各所で催されたスーパーカーの展示会には本物をひと目見ようと少年達が列をなして集まり、テレビ東京(当時は東京12チャンネル)では「対決!スーパーカークイズ」が放映され、令和の現在では「笑点」の座布団係として知られる山田隆夫が出演していた。そして、商魂たくましい当時のメーカーの手によってプラモデル・文房具・ポスターなどが雨後の筍のように商品化されていった。特に、消しゴムはもっとも手軽でごっこ遊びもできるグッズとして大人気だった。
しかし、「サーキットの狼」が路線変更によってレーシングカートやフォーミュラカーといったプロレースの世界に移っていった結果、少年達の熱も急速に冷め、ブームは終焉することになる。
1980年代になると、日本国民全体の裕福化とバブル景気により、当時のスーパーカーを投機対象として興味を示す向きもあった。フェラーリ・テスタロッサやF40、ポルシェ959などが生まれ、より高性能への追求が進むことになる。
1990年代には、日本でも初のスーパーカー、ホンダNSXが発売され、イギリスのマクラーレン・カーズやドイツのメルセデスといった新勢力も勃興。当時のル・マン24時間レースを中心としたGT1クラスとの兼ね合いもあって、かつてはカタログデータで誇大表現が当たり前だった性能も、スーパーカーの名にふさわしい本物へと進化していくことになる。
21世紀に入ると、フェラーリやランボルギーニといったイタリアメーカーは大手メーカーの傘下に入り、工業製品としての質は大幅に向上。完全にセレブたちの裕福さを象徴する乗り物として定着していく。性能面も最高速度300Km/h超えは当然になるのみならず、空力面の研究も進んでスーパーカーを超えた「ハイパーカー」の領域に突入していく。そして、エコを求める世論に影響されてスーパーカーでもハイブリッド化やEV化が進みつつある。
代表的なスーパーカー
- フェラーリ全般
- ランボルギーニ全般
- マクラーレン・オートモーティブ全般
- シェルビー・スーパーカーズ(SSC)全般
- パガーニ・ゾンダ
- ブガッティ・ヴェイロン 16.4 スーパースポーツ
- アウディ・R8
- フォード・GT
- メルセデス・ベンツ SLSAMG
- レクサス・LFA
- ホンダ・NSX(2代目)
- ケーニグセグ全般
- ジャガー・XJ220
- 日産・GT-R NISMO
スーパーカーは富裕層向けであり、性能とスタイルさえよければいくらでも単価をつり上げることができるので、大量生産する必要がない。つまり、大規模な工場設備がいらないということであり、設計と組み立て工場に徹し、組み立ては手作業で行うのであれば小規模な会社でもスーパーカーを生産することができる。意外と手が出しやすいジャンルともいえるがもちろん、会社運営とは別なので潰れるメーカーも存在する。…しかしこのような手が通用したのは精々1980年代までの話。やはり富裕層も信頼性や品質を強く求めるようになってゆき、スーパーカーメーカーといえども大企業や裕福な出資者の後ろ盾が無くてはなかなか成り立たなくなってきている。もはや背の低い旧来のスーパーカーだけでは売上が十分ではなく、いわゆるSUVを作ったり、ヨットなどのより贅沢品を作ったりと多角化は当たり前となりつつある。
スーパーカーであるかどうか議論の余地がありそうなもの。
- ランチア・ストラトス
- ランチア・デルタS4
以上2車種はコンペティションカーと言う方が正確。つまり上で言うスパルタンなクルマだ。 - ポルシェ911ターボ
実用性はしっかりあるのでスポーツカーの色が濃いが、性能面や上記「サーキットの狼」での活躍、オンリーワンのエンジンレイアウトなどを加味すればスーパーカーを名乗る資格はある。 - ロータス・ヨーロッパ
あくまでも軽量とコーナーリングスピードを武器にする「ブリティッシュスポーツカー」。しかし、上記「サーキットの狼」の主人公車のイメージは大きい。 - ホンダNSX(初代)
今となっては性能的にも普通のスポーツカーの域を出ない。だが、出た当時の日本では(値段も含めて)十分にスーパーカーであった。
スーパーカーみたいなもの??
- ポンティアック・フィエロ
アメ車には珍しいミッドシップ車でプラ系の外版なことから、パチモノフェラーリの素材として使われている。 - 光岡・オロチ
メーカー自らファッションスーパーカーだと公言している。このクルマのキモはあくまで「名は体を表す」を地で行く爬虫類系デザインにつきる。
グランドツアラー(グランツーリズモ)
スーパーカーのルックスと性能に加えて、居住性や長距離のドライブも重視するとグランドツアラーという車種になる。ミッドシップでも4人乗りは可能であるが、お世辞にも居住性がいいとは言えないのでフロントエンジンが基本になる。いわゆるGTカーと呼ばれるもの。
高級セダンと区別が曖昧だが、クーペーであるかどうかが目安だろう。
ハイパーカー
スーパーカーの強化バージョンになるとハイパーカーという車種になる。1台1億円は当たり前のハンドメイド品で、走る姿は普通の車というよりはレースカー。まさに億万長者でしか所持できない車である。
2021年現在、ル・マン24時間レースが新たに導入した最高峰クラス、LMH(ル・マン・ハイパーカー)規格により、これによる新たなハイパーカーの出現が期待されている。
- パガーニ全般
- ケーニグセグ全般
- ブガッティ・ヴェイロン
- ランボルギーニ・ヴェネーノ
- フェラーリの特別モデル(エンツォ・ラ・フェラーリなど)
- マクラーレン・P1
- マクラーレン・セナ
- グリッケンハウス・SCG007S(未発売)
- トヨタGRスーパースポーツ(仮称:未発売)
関連動画
関連項目
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