「スーパーハングオン」とは、1987年にセガが発売したバイクレースゲームである。
概要
セガの体感ゲームシリーズ第5弾にして、第1弾「ハングオン」の続編。
バイク型の筐体を操ってゲーム中のバイクを操作し、他のバイクをかわしつつ制限時間内にチェックポイントを目指すというゲーム内容はそのままに、多くの要素が追加されている。
スーパーチャージャー(ターボ)
プレイヤーの操作するバイクは「ハングオン」と比べて劇的に高性能なものとなっている。
アクセルだけでも軽快に280km/hまで加速していくのだが、この速度に達すると速度数値が赤く点滅し、この状態でスーパーチャージャーボタンを押すと324km/hまで急加速する。
スーパーチャージャーによる加速は、挙動の変化が明確なのも特徴の一つ。
例えば280km/hでは余裕で曲がれるけど324km/hでは滑って外側に膨らむカーブの場合、スーパーチャージャーを連打して300km/h超を維持しながらインベタで曲がるというテクニックが存在する。
上級者のスーパーチャージャーの使い方は、プレイ動画を観る際に注目してみても良いだろう。
一方、初心者の中にはスーパーチャージャーの存在に気付かない人も少なくない。プレイ動画でも時折散見されるがアーケード版実機でも例外ではないらしく、かつて存在したあるゲーセンのTwitterがスーパーチャージャーの存在についてツイートしたこともある程。
コース
まず、1ステージの長さが「ハングオン」は勿論「エンデューロレーサー」や「アウトラン」でも"普通に走って1分程度"で大体共通していたが、本作ではその半分程度の長さになっている。その代わりステージの数が大幅に増加している他、2ステージ毎に景色も変化していくので「従来の1ステージを2つに分けた」ぐらいの認識で問題ない。
そして「ハングオン」には無かった高低差の概念が追加。「アウトラン」と同様走行に影響するものではないものの、変化に富んだコース構成に一役買っていて、場所によってはカーブや敵車が見えにくいブラインドコーナー的なところも…
そんな「スーパーハングオン」の進化したコースだが、難易度とステージ数の異なる4種類のコースが用意されており、ゲーム開始時に挑戦するコースを選択する事が出来る。それぞれに地域が設定されており、全世界を舞台にしている。
- ビギナーコース(アフリカ、全6ステージ)
- ジュニアコース(アジア、全10ステージ)
- シニアコース(アメリカ、全14ステージ)
- エキスパートコース(ヨーロッパ、全18ステージ)
- スペシャルコース(ワールド、全48ステージ) ※PS3、Xbox360、3DS限定
ジュニアコースは「ハングオン」のコースのリニューアル版で、レイアウトはそのままに高低差を追加し、景色を一新、ステージを2つに分割したものとなっている。
スペシャルコースは、ビギナー→ジュニア→シニア→エキスパートの順に全コースの走破を目指す。最近の移植作品での追加要素だが、実はアーケード版のデモプレイでも同様のコースの繋げ方が確認出来る(この場合、エキスパート18面の後はビギナー1面に戻る)。
BGM
「アウトラン」で好評を博したBGMセレクト機能を今作でも搭載し、「OUTRIDE A CRISIS」「SPRINTER」「WINNING RUN」「HARD ROAD」の4曲から選択出来るようになっている。名曲揃いであり、その評価は人によって様々。
気分に応じて選べるのは勿論、丁度4コースあるのでコース別に使い分けるような事も出来る。
3DS版のスペシャルコースでは、ステージ6、ステージ16、ステージ30の終わり際、つまりコースの切り替わりでBGMが順繰りで切り替わるようになっているので、選択したBGMを起点に全曲を堪能出来る。24分間の長丁場でも飽きさせない、スタッフの粋な計らいである。
「太鼓の達人 ドコドン!ミステリーアドベンチャー」に「OUTRIDE A CRISIS」が収録されている。
ゲームバージョン
ライドオンタイプ
真っ赤なバイクを傾けて操作する、初代「ハングオン」筐体の流用バージョン。ただし出回りは少なく、このバージョンの移植も存在していない。
この筐体のみスーパーチャージャーボタンが付いていないので、アクセルだけでトップスピード(ただし323km/h)が出るようになっている。旋回性能が高い(ミニライドオン・シットダウン280km/hで曲がれるコーナーはライドオン323km/hでも曲がりきれる)一方で280km/hからの急加速はできず、ゆっくりと最高速度に達していく様子は初代ハングオンのそれに近い。
シニアコースのステージ7~8と11~14、エキスパートコースのステージ7~12と17~18はミニライドオンタイプと共通だが、残りのステージはストレートやロングコーナーが中心のレイアウトとなっており、自車の性能も相俟って高速走行がしやすい。寧ろ最大の敵は筐体のサイズや重量とそれに伴う操作性。
なお初代ハングオンにあった「ステップに足を置いていないと旋回性能が落ちる」という仕様は本作には無いので、安心して地に足を付けてプレイすることができた。届きさえすれば。
ミニライドオンタイプ
モニターがバイク部分から分離され、バイク部分も最小限の形状でコンパクトにまとめた本作用の新筐体。
ライドオンタイプでは一応ステップに足を置く想定だったが、今回は最初から床に足を付ける前提の設計となっており、筐体の小型化もあって操作性が格段に改善されている。最もメジャーなバージョン。
ジュニアコースのレイアウトはライドオンではなくシットダウン準拠なので、本作のシットダウンタイプとは全ステージ共通コースになっている。
3DSのメインメニューで「3D スーパーハングオン」を選択した時に表示される3Dモデルはこれ。
シットダウンタイプ
バイクを模った座席に座り、ハンドル部分のみを回転させてバイクを操作するアップライト筐体。
体重移動が必要ないので操作はもっとも容易だが、コースレイアウトには急カーブやS字を積極的に用いているので難易度が高く、それでいて(最高難易度の場合を除き)制限時間もミニライドオンタイプより短くなっている。
ちなみに前述のジュニアコースの他、ビギナーコースのステージ5~6、シニアコースのステージ7~14、エキスパートコースのステージ5~6と9~14と17~18もレイアウトがミニライドオンタイプと同一。
制限時間一覧
ライドオンタイプ | |||||||||||||||||||
St. | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | |
※1 | 25 | 30 | 30 | 25 | 30 | 30 | 25 | 30 | 30 | 30 | ※2 | 30 | 30 | 30 | 30 | 25 | 30 |
※1…E:50、N:45、H:40、VH:35
※2…シニアコースは25、エキスパートコースは30
ミニライドオンタイプ | |||||||||||||||||||
St. | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | → |
VE | 60 | 30 | 38 | 38 | 35 | 38 | 38 | 38 | 38 | 35 | 38 | 38 | 38 | 38 | 35 | 38 | 38 | 38 | 38 |
E | 55 | 25 | 33 | 33 | 30 | 33 | 33 | 33 | 33 | 30 | 33 | 33 | 33 | 33 | 30 | 33 | 33 | 33 | 33 |
N | 50 | 25 | 32 | 32 | 30 | 32 | 32 | 32 | 32 | 30 | 32 | 32 | 32 | 32 | 30 | 32 | 32 | 32 | 32 |
H | 45 | 25 | 31 | 31 | 30 | 31 | 31 | 31 | 31 | 30 | 31 | 31 | 31 | 31 | 30 | 31 | 31 | 31 | 31 |
VH | 40 | 25 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 |
シットダウンタイプ | |||||||||||||||||||
St. | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | → |
VE | 55 | 30 | 37 | 37 | 35 | 37 | 40 | 37 | 37 | 35 | 37 | 37 | 40 | 37 | 35 | 37 | 37 | 37 | 35 |
E | 50 | 25 | 32 | 32 | 30 | 32 | 35 | 32 | 32 | 30 | 32 | 32 | 35 | 32 | 30 | 32 | 32 | 32 | 30 |
N | 45 | 25 | 31 | 31 | 30 | 31 | 34 | 31 | 31 | 30 | 31 | 31 | 34 | 31 | 30 | 31 | 31 | 31 | 30 |
H | 40 | 25 | 30 | 31 | 30 | 31 | 34 | 30 | 31 | 31 | 30 | 31 | 34 | 30 | 31 | 31 | 30 | 31 | 30 |
VH | 40 | 25 | 30 | 30 | 30 | 30 | 33 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 33 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 |
ステージ1が初期タイムで、2以降はそのステージに到達した際の加算時間となる。3DS版で途中開始した場合も初期タイムはステージ1の時間に準じ、開始した次のステージから参照していく。
難易度表記は一応Wii版準拠だが、VERY EASYはPS3/Xbox360版と3DS版のみ。
基本的に全コース共通であり、同一番号のステージなら加算時間は一緒である。
例外としてスペシャルコースは元となったコースに準じ、ビギナー以外のステージ1~2は「→」に差し替えられる。
コース全体の制限時間を算出したものは以下。実時間換算だが、実際はタイムバグ(後述)の影響でこれを下回るトータルタイムも普通に出る事と、制限時間が99秒を超える場合はその分が加算されずこの時間も縮む事に注意。
ライドオンタイプ | ||||
E | N | H | VH | |
ビギナー | 3'10" | 3'05" | 3'00" | 2'55" |
ジュニア | 5'05" | 5'00" | 4'55" | 4'50" |
シニア | 7'00" | 6'55" | 6'50" | 6'45" |
エキスパート | 9'00" | 8'55" | 8'50" | 8'45" |
ミニライドオンタイプ | シットダウンタイプ | |||||||||
VE | E | N | H | VH | VE | E | N | H | VH | |
ビギナー | 3'59" | 3'29" | 3'21" | 3'13" | 3'05" | 3'51" | 3'21" | 3'13" | 3'07" | 3'05" |
ジュニア | 6'28" | 5'38" | 5'27" | 5'16" | 5'05" | 6'20" | 5'30" | 5'19" | 5'13" | 5'08" |
シニア | 9'00" | 7'50" | 7'35" | 7'20" | 7'05" | 8'51" | 7'41" | 7'26" | 7'18" | 7'11" |
エキスパート | 11'29" | 9'59" | 9'41" | 9'23" | 9'05" | 11'17" | 9'49" | 9'29" | 9'21" | 9'11" |
スペシャル | 30'14" | 26'14" | 25'31" | 24'48" | 24'05" | 29'34" | 25'34" | 24'57" | 24'44" | 24'20" |
バグ
BGM消失
アーケード版に存在する、「縁石を長時間走り続けるとBGMが消える」というもの。
緩いコーナーの外側でスーパーチャージャーを押しっぱなしにすると、280km/hでコースアウトと復帰を高速で繰り返す状態になる。これを続けているとコース外走行音かスキール音が鳴り止まなくなり、次第に遠景がおかしくなったかと思うとBGMが途切れてそのゲーム中は一切流れなくなる。
アーケードに忠実な移植を目指した結果、Wii版以降でも健在(3DS版はBGMが消える所だけ修正されている)。
タイムバグ
実はこのゲームのステージ毎のラップタイム、ステージを跨いでも下2桁がリセットされていない。制限時間はきっちり1秒単位で加算される為、制限時間のそれとは完全に連動している事になる。プレイ動画を眺めていてピンと来た、或いは違和感を覚えた人も居るかも知れない。
ところが、全ステージ走破時のトータルタイムではこのように集計されたラップタイムをそのまま合計しているので、最終ステージ以外は事実上1秒未満のタイムが二重加算されてしまっていた。しかしその結果として「カウント減少直後のチェックポイント通過を狙い、下2桁を00に近づける」というテクニックが生まれ、このタイム調整がタイムアタックに不可欠でもある。
その為かGBA版以外の移植でもこの仕様は健在で、メガドライブ版に至ってはオリジナルモードでは正常だがアーケードモードには残されている(ただしタイム加算の度に残り時間の小数部分がリセットされるのでタイム合わせは難しい)。
PS3/Xbox360版のトライアルモードではトータルタイムが常に表示されているので、この仕様によって余計に増えるタイムを目視で確かめることも可能。
ちなみに、ゴール時の残時間のうち0.1秒の桁についてはこの仕様にも関わらずトータルタイムから算出している。
算出と言っても同じ桁を参照して10から引いてるだけなので、例えば残時間が.8であればトータルタイム下2桁は20~29であることが分かる。
アーケード版やWii版だと、トータルタイムが10分を超えるとランキングで↑分(↑'○○"○○)と表示される。
移植
メガドライブ版
コースはミニライドオンタイプ準拠。
グラフィックやサウンドでの制約が感じられるものの、メガドラ初期のソフトでありながらその移植度は高かった。
アーケードモードの他に、バイクを強化しながらライバルと戦っていくオリジナルモードが用意されている。
アーケードモード用の難易度設定は裏技として実装されている。同じ324km/hでもアーケード版よりスピードが出ていないらしく、ステージ2以降の制限時間が5秒増えている。
X68000版
コースはシットダウンタイプ準拠。
キャラクターがすこし小さく描かれているが、それ以外はアーケードに忠実なグラフィックを実現している。
サイバースティックによるアナログ操作に対応していた。
ゲームボーイアドバンス版 (SEGA ARCADE GALLERY)
国内未発売。アウトラン、アフターバーナー1、スペースハリアーとの4本立てで収録。
コースはシットダウンタイプ準拠。
動画で見ても判るほど操作感のクセが強い他、チェンジギアスーパーチャージャー全開で走りきれる区間が妙に多かったり、走行中に入る得点が妙に少なくゴールしない限りデフォルト記録も更新出来ない、チェックポイントにぶつかってこける等、他機種のものが非常に忠実な移植である中で何かと相違点が目立つ。
Wii版 (バーチャルコンソールアーケード)
ミニライドオンタイプの完全移植。800Wiiポイント。
但し、タイヤのスキール音が途切れ途切れに再生されるという相違点がある模様。
ヌンチャクやクラシックコントローラは勿論、Wiiハンドルによるアナログ操作も可能となっている。
当初は起動出来るROMの確保の問題からシットダウンタイプの予定であったが、人気や知名度が高かったであろうミニライドオンタイプのROMが用意出来た(プロテクトの解除が間に合った)事で急遽切り替えたという経緯を持つ。
筐体設定は完備しているがシットダウンタイプはゲームチェッカーの人でも難しすぎてクリア出来なかったらしく、ミニライドオンタイプに切り替えた事で図らずも解決していたとか…
PS3/Xbox360版 (セガエイジスオンライン)
PS3は600円、Xbox360は「スーパー忍」「アレックスキッド」と3本立ての「セガクラシックコレクション」が800MSP。
どちらも内容は一緒で、ミニライドオンタイプとシットダウンタイプの両方を収録している。
筐体の難易度設定は難易度(敵車の数)と時間設定にそれぞれEASY~VERY HARDまで4段階の設定がついていたのだが、Wii版での反省点から時間設定にVERY EASYが新設された。これは制限時間と全てのチェックポイントのタイム増加がEASYから+5秒となり、従来の設定と比べてかなりクリアしやすくなる。
また「トライアルモード」として、ミニライドオンタイプのビギナー~エキスパートコースに加え、シットダウンタイプのスペシャルコースのタイムアタックが用意されている。トライアルモードのタイム増加はNORMALから+10秒という特別なもの。
3D立体視に対応しており、3Dテレビが無い場合も赤青眼鏡が使用可能。後の3DS版のきっかけともなった。
ニンテンドー3DS版 (3D スーパーハングオン)
3Dスペースハリアーに続く「セガ3D復刻プロジェクト」第2弾。600円。
メモリアルパッケージの「セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」にも収録される。
こちらもセガエイジスオンライン版と同様ミニライドオンとシットダウンの両収録。スペシャルコースも健在で、ある条件を満たせばミニライドオンタイプとシットダウンタイプの両方でプレイ可能。
ジャイロセンサーに対応し、本体を傾けての操作が可能。更にミニライドオン筐体を再現した視点回転(ムービング筐体モード)もあり、これらを併用すれば凄まじい臨場感が得られる。
実はこれこそが本作の真のウリだったりするのだが、敢えて使用せず3D立体視に徹するのもまた一興。ただしジャイロ操作の仕方にものすごく気を遣うか、New3DSで遊ぶことで両立できないこともない。
携帯機の特性を考慮し、コンティニュープレイを搭載。到達した事のある奇数ステージなら何処からでも開始する事ができ、途中開始ではちゃんと進行状況のメーターも途中からスタートする。ランキングでの不自然なロースコアや早すぎるトータルタイムはこの際御愛嬌で。
また、難易度の設定にVERY EASY・SUPER EASYが追加され6段階となった。このうち後者は敵車との当たり判定が消滅するというもので、つまるところタイムアタック用であり記録も個別に残る。
99,999,999点でカンストしていたスコアが、ひそかに1桁増えている。
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関連項目
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