スーパーファミコンとは、1990年11月21日に任天堂から発売された家庭用ゲーム機である。 略称はSFC、SNES(海外版)、スーファミ。
概要
- ファミリーコンピュータの後継機として発売され、ファミコンのシェアを受け継ぎ大ヒットした。任天堂ハードの特徴であるハードの頑丈さも特徴。なお、正式名称が「スーパーファミコン」であり、「スーパーファミリーコンピュータ」は誤り。
- BG面のハードウェア拡大縮小回転機能を備える。スーパーファミコンのゲームで、タイトルがぐるぐる回ったりするのは、これを使って実現している。半透明処理機能やモザイク処理機能まで備えており、演出面では競合機種を圧倒していた。
- その一方で、CPUは凄まじく遅かった。仕様が変態で開発しにくかったこともあり、処理落ちが頻発するハードとなった。アクション、シューティングが作りにくいため、タイトルはRPGが中心となった。
- 後にライバル企業となるソニー製の16ビット ADPCM音源8音を標準搭載し、当時としては生演奏に近いリアルな音楽を再現することも可能であった(初期に「アクトレイザー」が実現し、ゲーム業界全体のサウンド制作に多大な影響を与えた)。ちなみにこの音源チップを設計したのはプレステの生みの親である久夛良木健氏である。
- 開発には当初ソニー製の32ビットワークステーション「NEWS」が用いられていたが、当時のワークステーションは高額で大手ソフトメーカー以外には手が出せず、中小ソフトハウスの参入が困難な時期が続いた。
- ソフトのメーカー希望小売価格(定価)がファミコン時代に比べ高かった。発売当時(1990~91年)は4~8メガビットROMカセットが主流で平均9000円くらいで推移していたが、大容量化するに従いソフトの定価が高騰し、24~32メガビットROMが主流になった1994-95年ごろ発売のソフトの定価は平均11000円前後までになった(ただし、当時シェアを拡大しつつあったセガサターン(SS)やプレイステーション(PS)のソフトの定価がSFCよりかなり安く設定※されていた影響もあってか、1996年春以降発売のソフトの定価はそれ以前に比べればかなり安価に設定されていた)。
※SSは1割引程度の値引率で6,800円、PSは定価販売で5,800円が相場であった。 - ちなみに、ACアダプターとRF出力装置はファミリーコンピュータと共用なので、ファミリーコンピュータの物を持っていれば、スーパーファミコンでも使用可能である。
海外でのスーパーファミコン
- 海外向けはSNES(Super Nintendo Entertainment System)という名称。日本国内版とはデザインがだいぶ異なり、カセットの互換性もない(アダプタをかませばほとんどはそのまま実行出来る)。北米市場においてはSNESより2年程前に出たセガのジェネシス(日本で言うメガドライブ)とのシェア争いが激しく、値下げ合戦が巻き起こった。
- 最終的なシェアもほぼ2分する形だったが、こういう消耗戦は任天堂が強い。この苦戦の中、任天堂は毎年常に1000億前後の経常利益を上げていたが、セガのほうは終わった頃にはボロボロだった。
スーパーファミコン内蔵テレビ
1990年12月5日、シャープが「スーパーファミコン内蔵テレビ 14G-SF1、21G-SF1」を発売。スピーカーはモノラルだった。
スーパーファミコンと「プレイステーション」
- ソニーと共同してスーパーファミコンの周辺機器である「スーパーファミコンCD-ROMアダプタ(仮称)」を開発しようとしていた時期があった。開発コードネームは「プレイステーション」。そう、後にゲーム機の覇権を握ることとなるプレイステーションの原型である。
- もし実現していれば、たとえ周辺機器とはいえPCエンジンのCD-ROM2・SUPER CD-ROM2、メガドライブのメガCDに並ぶ任天堂初のCD-ROM対応ゲーム機になるはずだった。
- 元々ファミコン・スーファミとROMカセットで勝負をかけていたこともあり、任天堂はCD-ROMによるゲームというものをそれほど重視していなかった。CD-ROMアダプタ開発も、ソニー側、特にプレイステーション計画の中心人物だった久夛良木健の粘り強い進言によるものであり、任天堂側は久夛良木の熱意に負けた格好だった。
- しかし、任天堂の米国法人Nintendo of America社長(当時)の荒川實は米国のコンピュータ業界におけるCD-ROMの大躍進を目の当たりにし、やがてCD-ROMこそがゲーム機の主流になり、ROMカセットに注力している任天堂は「このままではソニーの後塵を拝してしまう」と当時の任天堂社長である山内溥に警告した。
- そして迎えた1991年6月、シカゴで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)。会場ではソニー謹製のスーパーファミコン用CD-ROMアダプタ「プレイステーション」の試作機が堂々発表された。が、任天堂はそのCES会場で「スーパーファミコン用CD-ROMアダプタをフィリップスと開発します!」と、まさかの裏切り。
- フィリップスとは共同で周辺機器を手掛けるほか、当時フィリップスが注力していたマルチメディア機「CD-i」に自社版権ソフトを提供すると発表。ソニーは完全に足元を掬われる格好となってしまった。(・・・と報道されたが、実はソニーもフィリップスと提携して携帯型CD-iのハード開発を担当している)
- 発表の数日前に任天堂からソニーにこの「裏切り」は通知されていたものの、ソニー側の中心人物だった久夛良木には知らされず、彼が「裏切り」を知ったのは新聞での報道からだったという。
- しかし、ソニー側には明確な落ち度があった。契約上は「ソニーはハードウェアのみ提供する。ソフト開発への手出しはまかりならん」という話だったにも関わらず、任天堂の了承を得ずに久夛良木がスタッフを集めてソフト開発チームを結成、勝手に試作ソフトを作り、あまつさえデモまでやっていたのである。「ハードを作るためにはそれで動かすソフトが必要だ」という理屈の上ではあったものの、これを聞いた山内溥は激怒したという。
- また、ソニー・ミュージック元社長の丸山茂雄
は、「ところが久夛良木があまりに強引な交渉をしたものだから、任天堂との提携が決裂してしまった。」と、関係者からも久夛良木の交渉に原因があったと証言している。ただし、丸山氏は久夛良木氏を中傷するような発言が以前から多いことも事実であり、この証言を全て鵜呑みにすることは危険である。
- 契約を反故にされてしまったソニーは勿論任天堂に抗議。しかし、これらのソニー側の行動にや久夛良木の言動に問題があったためか、この抗議に対し任天堂は「別にソニーがスーパーファミコン用CD-ROMアダプタを勝手に作るのはいいよ?ただしうちは別の規格を採用するけどね」と完全に、久夛良木の舐めくさった態度を跳ね返す形で対応。その後も幾度と無く交渉が練られたものの結局まとまることはなく、両者は決裂した。
- こうしてある意味「最悪」のスタートを切ったプレイステーションがこの後どういう運命を辿ったかは御存知の通り。世の中なかなかわからないものである。
- スーパーファミコンとプレイステーションのボタン配置が酷似しているのはこのため。結果的に、スーファミ向けに出ていた作品の続編やリメイクが出やすくなったともいわれている。
- ちなみにその後フィリップスとのCD-ROMアダプタ開発計画がどうなったかというと、その後発売されたメガCDの商業的失敗を見た任天堂があっさり取り下げ、結局「スーパーファミコン用CD-ROMアダプタ」は幻と消えた。
- 一方で、CD-i用任天堂版権ゲームは無事発売された(マリオゲーム1本・ゼルダゲーム3本)。が、こちらは外注製作である上に任天堂が殆ど開発に協力しなかった結果、計4本のゲーム全てがクソゲーの烙印を押されてしまっている。
こんなことがありました
- 1994年6月14日には、ゲームボーイソフトが遊べる「スーパーゲームボーイ」が発売。ポケモンなどの通信機能の需要の増加で、1998年には他のゲームボーイや周辺機器との通信ケーブル接続を可能にした「スーパーゲームボーイ2」が出る。
- 1995年4月23日には、「サテラビュー」という衛星データ放送受信システムが出る。それを配信していた「セント・ギガ」の衛星ラジオ放送の番組「スーパーファミコンアワー」にあの浜崎あゆみが出演していた。現在はほぼ黒歴史扱いとなっているらしい。同じ年にスーパーファミコンの主力ソフトに「スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券」が付くようになる。言うまでもなくセガとソニーの次世代機に対抗するため。
- 1997年7月には、「ニンテンドウパワー」という、ローソンなどでソフトを書き換えできるサービスが始まり、2000年までこのニンテンドウパワーで新作が出た。最後の新作ソフトは「メタルスレイダーグローリー デイレクターズカット」。ローソン以外のコンビニでは行わなかった経緯としてスクウェア+ソニーとの確執が?
ローソン店頭での書き換えサービスは2002年に終了したが、その後も任天堂各支店において2007年2月いっぱいまでサービスは継続された。 - 1998年3月27日には、スーパーファミコンの新デザイン「スーパーファミコン ジュニア」が発売。
- 2008年4月には、クラブニンテンドーの2007年度プラチナ会員特典として、SFCコントローラ復刻版Wiiのクラシックコントローラが2007年度のプラチナ会員にプレゼントされた。ちなみに他の2007年度プラチナ特典との選択で、希望者は全員貰えた。
- 2014年1月には、14年ぶりの新作ソフトとして「ナイトメア・バスターズ」が発売された。この作品は元々ニチブツから発売予定だったが、開発中止となったものをアメリカで復活させたもの。
- さらに3年後の2017年4月8日には「The Darkness Hunter -Unholy Night- 魔界狩人」が、同年6月30日には「改造町人シュビビンマン零」がそれぞれ新作として発売されている。前者は元SNKスタッフが開発に携わっており、元々は2011年に携帯アプリ向けに配信されたゲームのスーパーファミコン移植版。後者はかつてサテラビューのみで配信された作品のROMカセット化にあたる。
- 2017年はこの他にも後述のミニスーファミに発売中止となった「スターフォックス2」が正式収録されるなど、にわかにスーファミ界隈が賑わった年であった。
- 2020年には完全な新規開発ソフトとして同人サークルPA GAMES製作による「ねこたこ」が発売。前年に試験販売として一部イベントで少量販売も行われていた。ROMカートリッジ版とパソコン向けのCD-ROM版(中身は.smc形式の生ロムファイルと説明書のpdfファイル、特典画像)が一部ゲームショップにてインターネットを通じての通信販売が行われたが、同人ベースのため大量生産ができず、少数製作→少数入荷という経緯があるため、店舗によっては先着順のほか抽選制にしての販売が行われた。
SFCの終焉・Wiiで名作が復活
- 一時代を築いたスーパーファミコンだが、ファミコンやゲームボーイ、NINTENDO64とともに2003年10月で生産を打ち切っている。受注生産に切り替わっても毎年10万台近く出荷していたらしい。販売台数は日本1717万台、海外3193万台。海外ではセガ・ジェネシス(海外版メガドラ)の影響か、ファミコンより伸び悩んだ感がある。
- 公式発売の新作ソフトは、カートリッジが2000年1月21日の「ファイアーエムブレム トラキア776」、書き換え専売を含めると2000年12月1日発売のニンテンドーパワー用書き換えソフト「メタルスレイダーグローリー ディレクターズ・カット」をもって終焉となった。以降のものは全て動作保証の無い非公式作品。
- Wiiのバーチャルコンソールでは、任天堂を中心としたSFCソフトが遊べる。任天堂の作品なら、前述のニンテンドウパワー専用タイトルを含め、すでにこれだという作品は一通り出ている。興味があったら、ググるか「VC配信ソフト」のタグで動画を探してみるといい。
ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン
- 前年に発売されたニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータの発売時からスーパーファミコンも発売して欲しいという要望があったが、2017年6月に正式に発表。9月16日から予約を開始し、10月5日に発売された。企画自体はミニファミコンと同時に進んでいたとの事である。
- ミニファミコン同様、手のひらサイズに縮小し、スーパーマリオワールドを始めとする任天堂タイトルとファイナルファンタジーVIなどのサード製タイトルを合計21本収録(一覧は公式サイトに記載
)。目玉として当時未発売に終わった幻のソフト「スターフォックス2」を収録している。ソフトの追加やカセットを差すことは出来ない。
- 基本的なデザインに変更はないが映像・音声端子をHDMIに変更(画質は720p or 480p)、電源はmicroUSB接続になっている。また、コントローラー端子は外見だけで、蓋を開くことでWiiリモコンと共通のコントローラー端子が露出する。公式にWiiクラシックコントローラーとも互換性がある。
- ミニファミコンは本体にコントローラーを収納するギミックを再現するため、コントローラーもサイズダウンされていたが、元々差し替え可能な事もありオリジナルと同じ大きさになっている。前述のクラブニンテンドー特典とほぼ同じものが2人プレイ用に2つ付属する。
- 新たな機能としてリセットボタンを押すとゲーム選択画面に戻れる機能が追加され、ひとつのゲームに4つまでの中断セーブを残せるようになった。また、「マイプレイデモ」として中断した時よりも少し前に戻って、中断前に何をやっていたかを見られるようになっている他、プレイ自体を巻き戻して再開出来るリプレイ機能がある。
- ホーム画面で放置するとマイプレイデモやオートデモが流れるためアーケードゲームのアトラクトや店頭展示のような雰囲気がある。開発者も店頭で展示してもらえた場合を想定してこの機能を入れたとの事。
- 他のオプションとして画面サイズを4:3を変更したり、当時のテレビの画質を再現したアナログテレビモードを選択出来る他、左右の何も表示されていない部分用のフレームが用意されている。フレームの中にはプレイに合わせて色が変化するといったものもある。スーパーゲームボーイのフレームを思い出す機能である。
- 同日に電源をコンセントから取るためのACアダプターも発売されたが、基本的にはパッケージが違うだけでミニファミコンの時と同様のものである。ただし、新たに任天堂のロゴが追加されているため公式商品らしさが増している。
- 非公式な所では、既に改造方法が確立しており、自分の手持ちゲームを追加する者もいるようだ。
ニコニコ動画におけるスーパーファミコン
改造やMADを含むプレイ動画が多く配信されている(2011年12月現在、タグ「スーパーファミコン」で約14000件、「SFC」で約10000件、ハード名で登録されていない動画も多いためプレイ動画の実数は不明)。
動画数が多い背景には、やはりニコニコユーザーの多くが子供時代や学生時代に熱中してたゲームハードだったという理由があげられるだろう。エミュレータ以外にも、未だ実機でプレイ、それをソースに動画作製をおこなっているプレイヤーも多く、根強い人気(とそれに応えられる耐久年数)を持ったハードである。
関連動画
関連静画
関連コミュニティ
関連商品
関連項目
- スーパーファミコン全ソフトカタログ
- サテラビュー
- SNES(海外版スーファミ)
- スーパーファミコン ジュニア
- スーパーゲームボーイ
- スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券
- SFC(マイナー)
- スーパーファミコン Nintendo Switch Online
- Nintendo PlayStation
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