スーパーモタードとは、
本項はその両方について説明する。
レースとしてのスーパーモタード
1970年代のアメリカで「ロードレースとダートラとモトクロスのライダーの中では、どれが一番速いんだ?」
という最強厨の発想から「スーパーバイカーズ」という企画が生まれた。
レースの舞台となったのは典型的なサーキットの中に、途中で工事予算でも尽きたんじゃねーのかと言いたくなるようにダートセクションが存在する珍妙なコースだった。
そこに挑むバイクもまた珍妙なもので「どうせ8割方は舗装路なんだから、ダート部分は気合でなんとかすりゃいいんじゃね?」とオフロード向けバイクにオンロードタイヤを履かせたものになった。
厨の発想も100やれば1は当たるようなもので、このバイクレースのK1とも言うべき異種格闘技戦は人気を博し、ヨーロッパにて「スーパーモタード」の名を与えられバイクレースの一大ジャンルを確立した。
ご覧の通り、コーナーを派手なドリフトで抜けたかと思いきやそのままスリックタイヤでダートに突入、実写版エキサイトバイクとでも言うべきアクションを披露する。
頭のネジが抜けてるんじゃないか、とかコイツら脳味噌までスリックなんじゃねえのか、という「狂気の沙汰ほど面白い」を地で行くレースである。
バイクとしてのスーパーモタード
このようにレースとして人気が出てくると、当然そのマシンを欲しがるライダーも出てくるものである。
ヨーロッパのオフロードバイク二大巨頭メーカー、KTMとハスクバーナはいち早くこの流れに乗り、それまでは個人レベルの改造でしか存在しなかったスーパーモタードを市販車として発売。BMWやドカティといった他のメーカーもスーパーモタードを模したモデルをラインナップに加えている。
日本では「スーパーバイカーズ」の流れとしてヤマハ・TDRやカワサキ・KSRといった、スーパーモタードの性格を持ったモデルも存在したが「オンロードタイヤを履いたオフロードバイク」という形のものとしては、1998年にカワサキが発売したDトラッカーが最初といえる。
このモデルを皮切りに日本のメーカーでもスーパーモタードのラインナップが並ぶようになり、主にジムカーナで競技用マシンとしての地位を築いた。また、軽量で振り回しやすいことからウィリーやストッピーといったアクションを楽しむエクストリーム用マシンとしても人気が高い。
こう書いてしまうと用途の限られたバイクという印象を持たれるかもしれない。或いは「オフロードを走れないオフロードって何さ?」ということも思われるかもしれない。
しかしがながら、オフロード車特有のパワフルかつ扱いやすい低燃費エンジンとリラックスした乗車姿勢、タイヤの小径化による足付き性の向上とハイグリップ、デザインのカッコよさといった特性からストリートバイクとしての面も持っているといえよう。
速さを求めるも良し、振り回して遊ぶも良し、トコトコ乗り回すもよし。
ライダー次第で様々なキャラクターを演出できるバイクである。
代表的なモデル
- ホンダ・XR230モタード
使いやすいエンジンと低いシート高による足付き性、何よりホンダ製という安心モタード。
身長でモタードを諦める前に一度は跨っておくべし。
XRモタードとしては50や100のミニモトや前身の250、400などと兄弟が多いことで有名。 - ヤマハ・WR250X
同クラスの他社モデルよりも1.5倍増しの値段とハイオク指定エンジン。
国産モタードのみならず現行の国内250ccモデル最速と名高いヤマハの放つ本気のモタード。 - ヤマハ・XT250X
WRの影に隠れてパッとしない印象があるが、名車セローがベースというある意味最強の保障つき。
レースやエクストリームはしないけどモタードに乗りたい!というヤマ派のためのバイク。 - スズキ・DR-Z400SM
競技用モデルをベースにしたスズキの本気モタード。ワインディングでならリッターもチギる。
しかし硬いシートとモデル名の「SM」から「走る三角木馬」と揶揄されることも。
「SM器具を公道で走らせるな」とクレームが来たので排ガス規制ということにして生産は終了してしまった。 - カワサキ・Dトラッカー
日本の元祖スーパーモタード。最近「X」を付けて見た目もロボっぽくなった(黒のモデルはユニオンフラッグそっくり)。
KLX250と同じエンジンを搭載しておきながら、公式のカタログで「コンセプトとかスペックとかどうでもいい」とか言ってのけるお気楽モタード。2009年12月には弟分のDトラッカー125も登場。 - KTM・SMシリーズ
オーストリアのやりたい放題メーカーが放つモタード。市販車としては最大クラスの690cc単気筒エンジンを搭載した690SMと999ccVツイン搭載の990SMが代表的。いつからモタードが小排気量・単気筒だけだと錯覚していた? - ドゥカティ ハイパーモタード
イタリアの楽しければおk!のノリで昼から酒引っかけて昼寝しながら仕事してる(推定)人間が考え出した、ある意味ターマック(舗装路)最強最速のモタードマシン。(ダートは知らんが、パイクスピークヒルクライムで優勝してたりもするのでタイヤ含め足回りさえ替えれば冗談でなく速いのかも・・・。)1100なんかでオフいったらまっすぐ走らせるだけで冷や汗もの。見た目が鳥っぽいだけでなく、オフの崖に純正タイヤで行こうものなら本気で崖から飛べるような気が・・・。よい子でなく悪い子でもやらないように。(誰がエンジン1100ccもあってフロントブレーキがブレンボWディスクのブレーキの乗り物で山に行くか・・・。)796は湿式クラッチだったり、足つきよかったりで意外なほど街乗りしやすかったりする、排気量によってかなり異なる特性を持ってたりする。根本的にオンロードって感じな乗り物。
関連動画
関連項目
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