マッハ、サリーゴー!!
スーパーロボット マッハバロンとは、1974年10月7日から1975年3月31日まで、日本テレビで放送された特撮番組、および作品に登場する巨大ロボットの名前である。製作は、今は無き日本現代企画。世界征服を企む悪の博士ゲオルク・ララーシュタイン、そのララーシュタインに家族を殺された嵐田陽が、祖父から託された巨大ロボット・マッハバロンを使い、国際科学救助隊KSSの仲間達と共に悪のロボット帝国のロボット軍団に立ち向かう!・・・という勧善懲悪のストーリー。ナレーターは岸田森氏。
概要!キッサー!!
前作の「スーパーロボット レッドバロン」(宣弘社)が好評を受けつつも不運の打ち切りを迎えてしまい、レッドバロンの制作協力だった日本現代企画が新たに巨大ロボット特撮の決定版を目指し、制作した特撮作品。レッドバロンとマッハバロンは主要スタッフに大きな違いが無いため同じ会社の作品と誤解されやすいが、レッドバロンは宣弘社、マッハバロンは日本現代企画、とそれぞれ別の会社である。マッハバロンの放送終了から2年後、創英舎製作の「小さなスーパーマン ガンバロン」が同じく日本テレビで放送される。これら3作品を合わせて「バロンシリーズ」とも呼ばれているが、3作品とも会社が異なるという珍しいパターンとなった。
特撮!キッサー!!
特撮シーンは、レッドバロンが巨大ロボット特撮の他に等身大の人間アクションのシーンが作品の見せ場となっていたのに対して、マッハバロンは巨大ロボットやメカの描写だけに見せ場を絞っており、等身大のアクションシーンはほとんど無くなっている。等身大のアクションが無くなった代わりにマッハバロン発進シーンやKSS基地の特撮には特に力が入れられており、その完成度の高さは今でも語り草となるほどである。レッドバロンのSSIに相当する本作品の防衛組織KSSが巨大メカを使ってマッハバロンを援護するのも、前作との違いを表していると言えよう。
マッハバロンが必殺技を放つ時に、頭部が回転する、体が反り返る等といった妙な動きをするのも本作の特徴だが、これらの描写は尺の都合なのか、不評だったのか、次第に抑えられていった。
作風!キッサー!!
レッドバロンが明朗快活なストーリーでハッピーエンドで話が終わるパターンが多かったのに対し、本作はレッドバロンと同じく基本的には明るい作風だが、後味の悪い話も多く、救いようのない結末で締めくくられるパターンも少なくなかった。
さらに、本作品の味方組織であるKSSは、レッドバロンのSSIよりも人間関係がギスギスしており、主人公と他のメンバー同士の対立するシーンが多い。特に序盤では主人公の軽薄さが目立ち、ミスを犯した後に周囲から責められるパターンが多かった。また、主人公が非科学的な現象(敵のロボット帝国の暗躍)に遭遇し、そのことをKSSメンバーに報告しても一笑に付されて相手にされない、などウルトラマンAでいう『本当です!信じてください!』といった状態になることもあった。
これらKSSのギスギスした雰囲気は2クール目に入ると無くなっていった。
その一方で、本作のコメディキャラの発明刑事こと花倉刑事の存在や、KSS基地のユニークな内装、敵のロボット帝国の仲が悪すぎる3兄弟の同士討ち・・・などといったコミカルな要素やツッコミ所も多い。
また、1クール目では視聴者の興味を引くためか、話の最後に次回登場する敵ロボットが出撃するシーンが挿入されていた。
マッハバロン!キッサー!!
嵐田陽一郎(主人公の父親)のマッハバロンの設計図を元に、村野博士が製作した身長50メートルの巨大ロボットであり、実は2号機。1号機は、ララーシュタインに悪用されることを恐れた陽一郎に爆破された。1号機とは違い村野博士によって独自の改造がなされており、最大の違いは村野博士が開発した超合金バロニウムが使用されている点である。
足にあるロケットエンジンによって飛行が可能。陽が運転する特殊な自動車「マッハトリガー」を収納、コクピットに移動することで起動する。
必殺技は、口から発射するミサイルの「カノンショッター」、銛を飛ばす「アイアンタイフーン」、炎を発射する「アトミックファイヤー」!
胸のミサイル「バロンスマッシュ」、拳をロケットで飛ばす「フライングナックル」、右の腕から刃を出す「メリコンパンチ」・・・
そして最大の必殺技は目から出す強力な光線「マッハコレダー」である!!
・・・なお、必殺技を放つ際に頭部が良く回転するのが特徴で、良くも悪くもインパクトが強い。
レッドバロンに比べると身長が10メートル高く、レッドバロンの100万馬力に対して倍の200万馬力の出力を誇る。
登場人物!キッサー!!
KSS
Kokusai Scientific Salvage・・・すなわち国際科学救助隊の略称。読み方は「キス」。
海底に基地を持ち、他にもレーダー基地、燃料基地といった地上施設を持つ。
KSSの隊員は指をピースにして「キッサー(KSS SAR)」と返事をする。
KSSバード、KSSマリンといったメカでマッハバロンを援護する。
KSSのメンバー
嵐田陽(あらしだ よう)
本作の主人公で、マッハバロンの操縦者。20歳。怒りっぽい性格でKSSのメンバーとも良く衝突するが、基本的には子供好きで心優しい性格。花倉刑事からは「陽坊」、小杉隊員の弟・健一からは「陽兄ちゃん」と呼ばれる。子供の頃に両親をロボット帝国に殺され、KSSの会長であり祖父である嵐田竜之介をロボット帝国に射殺される。そして、祖父・竜之介から死ぬ間際に託された巨大ロボット・マッハバロンで、陽は憎きロボット帝国の敵ロボットを迎え撃つのだった・・・。
小杉愛(こすぎ あい)
KSSの女性隊員で、ヒロイン的存在。18歳。陽と喧嘩することが多いが、内心では陽に思いを寄せている。15歳の頃、海難事故で友人を救えず死なせてしまった過去があり、そのため救助活動には強い使命感を持っていた。健一という弟がおり、弟と一緒にロボット帝国の罠にかかることも多かった。
そして、最終回では・・・。
岩井明(いわい あきら)
KSSの副隊長ポジション。愛称は「ガンさん」。陽に厳しく接することもあるが、根は優しい性格。
白坂譲司(しらさか じょうじ)
クールな性格の隊員。中の人は前作のレッドバロンのSSI隊員の坂井哲也を演じた。レッドバロンの哲也に比べると冷たい印象があり、陽に対してきつく当たる事が多かったが、戦いを通して次第に打ち解けていく。
村野博士(むらの)
ロボット工学者で、マッハバロンを製造したKSSのリーダー的存在。冷静な判断力と勇敢な行動力を兼ね備えており、皆から慕われている。
中の人は「帰ってきたウルトラマン」の郷秀樹役で有名な団次郎(現:団時朗)氏。
花倉刑事(はなくら)
本作のコメディリリーフ的な存在。前作レッドバロンの熊野警部に相当するキャラ。
KSSに協力するベテランの刑事で、様々な発明をすることから「発明刑事」と呼ばれる。彼の発明がKSSの勝利に貢献したこともある。
中の人はガンバロンでは磯間署長を演じている。
ロボット帝国
世界征服を目指すドイツの科学者ララーシュタインが結成した悪の組織。3人の息子を部下として従えている。3兄弟は「アンドロイド」の説もあるが、真偽は不明。3兄弟は巨大ロボットを操り作戦を行い、マッハバロンと戦う。兄弟達の仲は非常に悪く、作戦の妨害を平気で行うほどである。ただし、兄弟がKSSに倒されていった時には戸惑いを見せたり仇を討とうとするなど、全く兄弟愛が無かったわけではない。部下の敬礼の掛け声は「ララー!」。
ロボット帝国の構成員
ゲオルク・ララーシュタイン
ロボット帝国の総統。元々高名なロボット工学者で、陽の父・陽一郎の師でもあった。世界征服の野望に目覚め、陽一郎の開発した1号機のマッハバロンを侵略兵器にしようとした。特徴的な髪型は、放射線を浴びた後遺症という設定がある。KSSの村野博士を敵視しているが、一方で「殺すには惜しい」と彼の実力を認めている。また、罠によって捕らえた村野博士が一時的に死んだ時には、「遺体はKSSに返してやれ、人間には心の支えが必要だ、KSSにとって博士は神である」・・・とそのまま博士の遺体をKSSに返してあげるなど、悪のボスにしては妙に紳士的なところがある。
中の人はレッドバロンではデビラー総統を演じた。
タンツ
3兄弟の長男で、陸軍参謀。服装の色は黒。ララーシュタインへの忠誠心は兄弟の中で一番強い。
タンツを演じた麿のぼる氏は嵐田陽役の下塚誠氏と仲が良く、タンツの役に麿氏を推薦したのも下塚氏である。
スーカン
次男で、海軍参謀。服の色は緑。三男のゲラーとは仲が悪く、彼に足を引っ張られることが多い。
作戦基地でウイスキーを飲んでいたことがある。こいつ本当に機械か・・・?
ゲラー
三男で、空軍参謀。服の色は青。味方であるスーカンを罠に陥れたことがきっかけで1カ月の動力源抜き取りの罰を受けたことがある。
9話から中の人が変わっているが、交代理由は不明。
戦闘員
アメフト選手のような格好をしているが、サイボーグである。胸にロボット帝国のマークがある。
花倉刑事によって戦闘員の1人が捕らえられたことがあり、取り調べ室で刑事にカツ丼を振舞われた時に、「本当の人間に生まれたかった、刑事さんにカツ丼を食べさせてもらいたかった・・・」と嘆くシーンが印象的。
主題歌!キッサー!!
OPは当時の子供向け番組としては非常に珍しいロックンロールの曲となっており、特撮の名曲として非常に高く評価されている。OP冒頭でのぐにゃぐにゃした映像からマッハバロンに変わる、といった表現も斬新である。また、映像でマッハバロンやKSSのメカがシルエットで登場する点は円谷のウルトラシリーズに影響を受けていると言える。
EDの「眠れマッハバロン」は、ヒーローソングにしては珍しく反戦を謳っているのが特徴で、こちらの曲もなかなか評価が高い。
悲劇の打ち切り・・・キッサー!!
本作品は、レッドバロンほどではないがそこそこの視聴率を維持し、玩具売り上げも好評だった・・・にもかかわらず打ち切りを迎えてしまった悲劇の作品である。
当初はレッドバロンと同じ3クールの40話を予定していたが、半年の26話で番組終了となった。
打ち切りの理由は、局の番組編成の都合だとか、前年のオイルショックが原因だとも言われているが未だにはっきりしない。
3クール目からはロボット帝国の新幹部ゲシュター警部が登場する予定だったという。
途中で打ち切られたため、ララーシュタインとの決着もつかず、まるで次回に続くかのような終わり方を見せた。さらに、実質最終回となった26話自体もショッキングな展開を迎えており、本作は昭和特撮でも1、2を争うほどの後味の悪い結末で物語が終了している。
どんな最終回なのかは・・・DVDを購入して確認すべし。
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