スーパーロボット大戦IMPACTとは、2002年3月28日に発売されたPS2初のスーパーロボット大戦である。
概要
ワンダースワンで発売された『スーパーロボット大戦COMPACT2』三部作に参戦作品や各種要素を追加して1つにリメイクしたものであり、3部構成で99話(+隠しステージ2話)の超ボリュームとなっている。
何しろ99or101話をこなさなければならないため1周に要する時間は150時間とも言われ、1周するだけでも一苦労である。
ゲーム全体を通した難易度の高さに定評があり、第一話の洗礼は現在でも語り草になるほどである。
また、多くのステージで資金泥棒増援NPCとして登場する「飛影」もしばしばネタにされる。
ゲームシステム
- スキルコーディネート
各ステージのクリアターン数に応じてパイロット特殊技能を1つ選んで習得出来る。
5ターンでのクリアで「集中力(精神コマンドの消費SPを80%に低減させる)」。
以下、1ターン経過毎に一つずつ習得できるスキルが減っていく。
その他にも、特定のイベントを起こす事でステージクリア時に特殊技能を修得出来る場合もある。 - フリーオーダーシステム
全3部(地上激動編・宇宙激震編・銀河決戦編)のそれぞれが6つの「シーン」に分割されており、
さらにシーン内は任意の順番で攻略できる「選択ステージ」と、順番が固定された「固定ステージ」との計2~6ステージで構成されている(どちらかのみで構成されるシーンもある)。
「選択ステージ」はその選択順によって、ステージ内やそれ以降の展開・隠しユニットやイベントの存否・増援発生のタイミングや内容などに影響する。
なお、元々はコンパクトシリーズに設けられていたシステムである。
難易度について
上述の通り、本作は難易度の高さに定評がある。以下に、よく上げられる要因について羅列する。
- まず1話の難易度の高さは異常。初期配置の周りは全て海で、敵は海のスペシャリストゴッグがいるのに味方に海に強いユニットはゼロ、ユニットによってはほとんど何もできない。なおこういう時に限ってゲッター3はいない。
更に両崖から敵が来るのに、空を飛べるのはダンクーガとガンドールとメタスだけ。メタスは戦力としては期待できないし実質2機のみ。
なおIMPACTは当初初心者向けと謳っていた。どう考えても初心者向けではない。 - 早解きをする事で良いスキルを入手出来る為、基本的に早解きが推奨される。しかしIMPACTはスパロボ全体からしても難易度が高い作品であるため、慣れるまではターンが嵩んでいいスキルがもらえず、余計に難易度が上がってしまうことも。
- 撤退条件の厳しいボスや、初期配置の敵からかなり遠い増援など、初見ではベストの対応が難しい展開が豊富。同時攻撃が前提の撤退HPになっていることが多く、統率持ちキャラ+援護用ユニットを双方鍛えていないとかなり厳しい。
- 第1部と第2部は時間軸的に同時進行している物語である。このため第1部をクリアすると、資金と入手パーツを一旦リセットした状態で第2部が開始される。このため2部に入った直後は大幅な戦力ダウンを余儀なくされる。ただし1部で宇宙に行った味方勢は2部にて登場し、その場合は1部で離脱時の改造段階が引き継がれる。これを利用しないと全熟練度取得は不可能になるのでやりこみ勢は留意。
そもそも熟練度条件と隠し要素が2択になっていることが多々あり、当作の隠し最終話到達条件は3部クリア時熟練度50以上となっているため、熟練度全取得自体が縛りプレイの一種である。なお熟練度対象ユニットが1部で撃破すると2部で出なくなる関係で本作における最大熟練度は98である(3部ラストと真・最終話には熟練度条件はない)。 - 全体的に敵の攻撃力と耐久力が高く、味方の攻撃力・耐久力は抑えられており長期戦になりやすい&無双プレイがしにくい。大ダメージで一気に撃破ということがしづらい。
このためザコを削るのにHP・EN・残弾数・精神ポイントを消耗すると、ボス戦が厳しくなる。 - 味方もよく言えば個性的、悪く言えばピーキーなユニットが多く、他のスパロボ以上に弱点を補い長所を伸ばす運用が求められる。
以上のように、他の作品のような「お気に入りのロボットで無双する」スパロボと違い、「全軍を的確に運用しトライ&エラーを繰り返して最適解を導く」ゲーム調整になっている。
また、後のPS2のスパロボと比較すると各種エフェクトやセーブ&ロードがもっさりしている為、リセット・コンティニューを反復的に行うプレイをするには気持ちのゆとりが必要。
戦闘画面の途中カットや早送りが実装されていない時期の作品ではあるが、戦闘アニメ自体がシンプル・スピーディーであり時間も長くない為、そもそもそれら機能を必要とする事はあまり無いだろう。
本当に問題なのは移動が遅く、戦闘アニメOFFにしても読み込みと演出が長く、バリア・シールド防御でその時間が何倍にも膨れ上がることである。そこに援護が入ると更に時間が嵩んでいく。このもっさり感こそが真の敵と言ってもいい。
個性的なユニット・キャラクター
IMPACTの特徴として、他シリーズとは方向性を異にする調整が行われており、非常に実験的なステータスとなっている。
- バーニィがレベル初期値で「奇襲」を修得。スキルを付ければ2話から2回使用可能。Ez-8と共に序盤の主力に。
他作品でもできるがリ・ガズィに乗って「ド根性」「自爆」で味方・敵のHP調整にも貢献できる。 - シロー・アマダがレベル初期値で「愛」を修得(IMPACTの「愛」は「味方全機のHP全回復」)。
なお愛が味方全員のHP全回復なのは本作が最後である(のちに登場するのは奇跡の下位種的な効果)。
愛の必要SPも60と破格の安さで、本作のゲームバランスを象徴している(被弾前提のバランスであること)。 - NT主人公級は誰も「魂」を修得しない一方、オールドタイプ主役級のキャラが修得。(それまで二軍に転落しがちだったオールドタイプ救済要素が豊富に)
なおアムロは魂もかかる「奇跡」を覚えるが、必要レベルは66と、覚えるのは終盤になってからである。 - ジャック・キングが「魂」修得。V-UPユニットの存在、二人乗りである事、武器改造の仕様、長射程、更にシールド持ち、ジャックは援護持ちとシステム上の恩恵をこれでもかと受けており、歴代テキサスマックで文句なしで最強。
- 明日香麗がLv29という非常に早いレベルで「覚醒」修得。サブパイロットなのにSPが90もあり優秀。
ブルーガーもパーツ数4、武器の改造費が安く攻撃力の伸びがいい、空Sに加えて戦闘機故の高い運動性による回避の鬼と化す。また神宮寺が援護Lv5まで成長するため援護要員としても最適であり、麗が「集中」も取得し、予知能力により「ひらめき」を無償でかけ生存率をさらに上げる。底力も高いレベルで取得するため味方MAP兵器で削って底力を発動し、単身敵陣に突っ込ませるだけでかなりの戦果を期待できる。
暴れるだけ暴れたら神宮寺の「自爆」でわざとやられ、他の「復活」で元通りとやりたい放題できる。 - ショウ・ザマの「熱血」修得がLV35とかなり遅い。但し妖精のベルが早期に「熱血」を使えるのでコンビを組ませよう。囮・切り込み・露払いとしては優秀。
- 破嵐万丈が「魂」ではなく「覚醒」を修得する。連続での同時援護攻撃など強いことは強いがユニットの特性と合わないかも。
- 本作のシールドは特殊技能:防御を持っていればシールド耐久値が0でない限り必ず発生、ダメージを軽減して0になればシールド回数が減らない、シールド回数が改造で増やせるとかなり凶悪なものになっている。実質回数制限付きのバリアに等しい。このため盾持ちのスーパー系であるダイターン3やライディーン、一部MSが異様に硬い。但し敵もその恩恵を受けている。
- これのせいか、本作のバリア系特殊能力はかなり効果が抑えられている。ただしナデシコ系のディストーション・フィールドだけは別。IMPACTでは全属性軽減、ビーム兵器や重力兵器にはより効果が高いとバリア系で最強の性能を持ち、エステバリス・ナデシコはもちろん木連の敵が見た目以上の硬さを発揮する。更にYユニット装備ナデシコはディストーションブロックも装備しており一度のダメージの上限値まで設けられて相当に硬くなる。
ただしEN消費もマッハなため、範囲内なら毎ターンEN全快するエステバリスはともかくナデシコのEN管理は難儀する。ガス欠になった途端ダメージが跳ね上がるため、攻撃のバランスは考えよう。 - リムル・ルフトが突出して弱い。SP初期値が30、他の能力も低め、性格「弱気」。精神コマンドは戦闘用と補助用が半端に混ざっており、LV1から「愛」を修得しているものの、ポイントが足りず使えないという有様。但し、聖戦士LVはニーやキーンより上がる。
- 主人公機が二機共にかなり援護向けの性能。また、アルトアイゼンが短射程・ヴァイスリッターが長射程と、それぞれ得意な距離が偏っている。後継機のライン・ヴァイスリッターは更に顕著で、最強武器の射程が5~9。
- 特にアルトアイゼンは避けない・ビームコートはあるが装甲高くない・クレイモアがP武器じゃない・切り札が射程1なのにP武器じゃないし弾数1で空攻撃不可と使い辛さが目立つ。ただし命中補正・クリティカル補正は異様に高く、クレイモアは脅威の+50補正である。
なおリーゼになれば使い勝手は大分よくなる。 - ライン・ヴァイスリッターは真・ゲッターとの2択に加え、合体攻撃「ランページ・ゴースト」が使えなくなるという致命的なデメリットもある。そのため図鑑埋めのために取ることが主となるだろう。ハウリングランチャーXは十分強いが。
- スーパー系の主役機を筆頭に、P属性を持たない短射程武器や必殺技を持つ機体が他のシリーズより多め。
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改造段階制度により、主役機と脇役機で最大攻撃力が逆転する事態が発生。
具体例を挙げると、「聖戦士ダンバイン」の主人公であるショウ・ザマの後継機ビルバインは、機体性能・武器の汎用性はそれこそトップクラスの強さを誇るものの、武器フル改造時には、攻撃力がダンバインに劣るどころか、なんと自軍オーラバトラーの中でも最底辺に位置してしまう。因みに携帯機やスパロボ64においても、同様の仕様が採用されている。
【一部機体のハイパーオーラ斬り】 ※余談であるが特定の条件を満たして、ビルバインを夜間迷彩仕様にすると、攻撃力が一律200上昇する。それでもボチューンには届かないのだが…。 - 装備可能パーツ数が多い程効果が強力になる強化パーツ「V-UPユニットU・V-UPユニットW」の存在が、上記の逆転現象に拍車をかけている。
- 隠しユニットではあるが、フルアーマー百式改の炸裂ボルトとメガ粒子砲の攻撃力が、燃費に比して特出している。攻撃力-500~-1000が適正威力。多分。
- ストナーサンシャインが移動後に使用できない射程5の攻撃に。なお、パイロットの3人は誰も「突撃」や「覚醒」を覚えない。
- 経験値泥棒こと飛影の性能が異常である。ユニット・武器共にフル改造した状態で仲間になり、その運動性はνガンダム・ビルバイン(夜間迷彩)・零影等、他の一線級の回避ユニットを50前後上回る203。
ジョウの特殊技能「忍者」の補正も加わり、ボスクラスの敵の攻撃でも先ず当たらない。
移動後使用可能なマップ兵器を持ち、その他の武器も豊富で射程に隙が無いが、攻撃力自体はやや低め。
仲間になるまでは頻繁に増援NPCとして現れ、その性能を遠慮なく発揮してくれる…資金泥棒したり、撤退条件ギリギリまで削ったボスにちょっかいを出して帰らせたり。
NPC時の飛影は「二回行動」まで持っており、それですばやく移動し、敵陣に空気を読まず切り込んでいく。なお前述のとおりMAP兵器もあり、範囲内に敵が大勢いれば味方が入っててもお構いなしにぶっ放し味方が爆発四散する危険性がある。なお第1部最終話でも登場しアインストレジセイア(1部ラスボス)や東方不敗にすら圧倒してみせる。ただしマスターは底力持ちなためHPが減ってくると飛影すら命中率0%にできず撃墜されることもある。
忍者戦士(黒獅子・鳳雷鷹・爆竜)の何れかが出撃しており気力が110以上あれば強制的に飛影との合体イベントが発生するので、それを利用して邪魔をされないようにすると良いだろう。自軍の戦力も増す。
精神コマンド各種
他のシリーズとは多少効果の違うものがいくつか。
- 熱血:ダメージ1.5倍。クリティカルと重複し、その場合は1.8倍。習得するパイロットが一番多い精神コマンドでもある。
- 鉄壁:装甲2倍。以降のシリーズはダメージ1/4。素の装甲次第では無双し易く、脆い機体で使っても効果は薄い。
- 愛:全体回復。ゲーム開始直後から使用可能で、実際に使用する機会も多々。
- 補給:ENと残弾回復に加え気力-15。大体のシリーズは気力-10。
- 献身:指定ユニットに乗る全パイロットのSP+10。複数のパイロットが乗る機体に使うのが効率的だが、そういった機体は「献身」を持つキャラが乗っていることが多く、自機が一番の投資先だったりする。
特にナデシコのハルカ・ミナトやダンガイオーのミア・アリス等が挙げられる。こうすれば実質消費30。 - 鼓舞:全味方ユニットの気力+5。「激励」と同じ消費SP70だが、普通はこちらの方が効率が良い。
- かく乱:消費SP40。「集中力」を付ければ32で使え、α外伝等の消費SP70とは大違い。
終盤では頻用するだろう。万難排すならば毎ターン使えるようにすべき。上記の「献身」と合わせナデシコの常套戦術。 - 奇跡:据え置き機ではシリーズ最後の登場。
- 誘爆:シリーズ中唯一の登場。MAP兵器以外の攻撃で敵機を撃墜した際、撃破したユニットの最大HPの50%を周囲4マスに与えるというもの。使いどころが限られるが、うまく使えるときっと楽しい。
尚、味方どころか自機もダメージ対象であり、誘爆を使っての近接攻撃はご法度である。敵の援護陣形を逆手に取ってやろう。
参戦作品
追加参戦は「Gガンダム」「ナデシコ」の2作品。代わりに『COMPACT2』から「New Story of Aura Battler DUNBINE」が抜けている。
関連動画
▼500ターン以内クリアを目指す、『シャアを総ターン500で宇宙に還す旅』
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関連項目
- 8
- 0pt