セイウンコウセイとは、2013年生まれの日本の競走馬である。
概要
デビュー前
父はジャパンカップ、宝塚記念、ドバイデューティーフリーを制した名馬アドマイヤムーン、母は1996年NHKマイルカップの勝ち馬タイキフォーチュンの半妹のオブザーヴァント、母父は短距離種牡馬ボストンハーバー、日本では14戦連続1200mを走るなど根岸ステークスを制した短距離馬セレクトグリーンを輩出したCapote。父アドマイヤムーンの産駒は短距離で良く走り(ハクサンムーンとかレオアクティブとか)、母方の血統は短い方が向くといった感じで、血統からスプリンターなのかもしれない。生産牧場は桜井牧場。重賞勝ちが2006年ファルコンステークスの勝ち馬タガノバスティーユただ1頭という、決して大きな牧場ではなかった。馬主は「ニシノ」「セイウン」で有名な西山茂行氏。セイウンコウセイは、セレクトセールで西山氏に1,404万円で落札された。ダイワメジャーで有名な上原博之調教師に預託された。
2歳~3歳・・・短距離路線を歩む
2015年6月27日に東京競馬場でデビュー。初戦は8着だった。そのあとも、12着、6着と凡走を続けた。しかし1400mに距離を短縮し、ダートに転向したところ、2着と好成績を残す。年が明けて3歳になってダート1400mを2戦使ったが2戦連続2着。3月にようやく未勝利を脱出した。
5月となり、セイウンコウセイは再びダートから芝へと転向し、初戦は2着。(勝ったのはのちにスプリンターズステークス3着に入ったワンスインナムーン。)その後、500万下、さくらんぼ特別を連勝し、(さくらんぼ特別では、のちにオーシャンステークスを勝ち、高松宮記念に出走するメラグラーナを破っている。)3か月休んで、それまで多くの手綱を取っていた三浦皇成騎手が落馬し負傷したため、内田博幸騎手に乗り替わり出走した白秋ステークスは13着に大敗したが、松田大作騎手に乗り替わって挑んだ渡月橋ステークスで11番人気の低評価を覆し勝利。初勝利から8か月でオープンクラスに昇級した。
4歳春・・・1年で手にしたG1
4歳になり、年明け初戦は淀短距離ステークス。5番人気と、やや人気がなかったが、ここを2番手から押し切ってあっさりと勝利。徐々に短距離路線で注目を浴び始める。続く次走はシルクロードステークス。同じ馬主の実力馬ネロ、同じ4歳馬で昨年のスプリンターズステークス3着、函館スプリントステークス、フィリーズレビューを勝っているソルヴェイグ、強いのになかなか花開かない昨年のこのレースの勝ち馬ダンスディレクター。この3頭が1、2、3番人気でセイウンコウセイは4番人気だった。ネロとソルヴェイグが逃げ、その後ろにセイウンコウセイが控える展開に。直線に向いて楽な手ごたえで前2頭をかわし、初重賞制覇...と思ったが外から上がり最速の脚で追い込んできたダンスディレクターに差し切られ2着。負けたものの、初の重賞挑戦で、しっかりと力を示した。
2016年最優秀短距離馬のミッキーアイルが電撃引退、昨年の高松宮記念覇者ビッグアーサーも怪我で回避し、ダンスディレクターも故障で回避を表明して高松宮記念は混戦ムードが漂っていた。前哨戦の阪急杯は3連単100万馬券の大荒れとなり、ますます混戦になっていった。その中、セイウンコウセイは高松宮記念を目指して調整していた。が、ここで事件が起きる。
なんと渡月橋ステークス以降手綱を任されていた松田大作騎手が無免許運転と速度超過で摘発され、騎乗停止になってしまう。(松田大作騎手は娘を2歳の時に交通事故で亡くしている。それなのにこのような事件を起こしたことはとても許されることではないことで、馬主の西山氏も「バカ者」とブログ上で怒りをあらわにした。)乗れなくなった松田大作騎手に代わり、幸英明騎手に乗り替わりが決定した。
いろいろあったが、高松宮記念の時が来た。昨年のスプリンターズステークスを制したレッドファルクス、京都牝馬ステークスで久々に勝利した桜花賞馬レッツゴードンキ。他にもスノードラゴン、新星メラグラーナ、巻き返しを狙うソルヴェイグ、シュウジが出走した。1番人気はレッドファルクス、2番人気はレッツゴードンキ、セイウンコウセイは5番人気だった。レースは、シュウジが好スタートを決め先手を奪い、セイウンコウセイも先団につき、4番手でレースを進めた。前半の3Fは33.8と平均的なペースに思われた。しかし、直線に入ってシュウジの手ごたえは怪しくなり、他に前につけていた馬も後方に後退していく、内をすくったレッツゴードンキ、レッドファルクスが後方から伸びてくる。これは前の馬が全滅かと思われたが、セイウンコウセイだけが、直線の入り口でも余裕の手ごたえで、追い出すと一気に先頭に立ち、1、2番人気のG1馬を振り切って高松宮記念を制した。初勝利から実に約1年。まさにスプリンターらしい、上り詰めである。
桜井牧場はうれしいG1 初勝利。重賞も2006年以来2勝目となった。馬主の西山茂行氏は、父の正行氏から馬主業を引き継いでからG1初勝利。「セイウン」「ニシノ」で有名なこの勝負服がG1の舞台で1番最初に駆け抜けたのは1998年のセイウンスカイの菊花賞以来。調教師の上原氏も2007年のダイワメジャーのマイルチャンピオンシップ以来のG1勝利。鞍上の幸騎手は中央のG1は2014年以来、高松宮記念は2008年のファイングレイン以来となり(芝のG1勝利もこの時以来)、父のアドマイヤムーンにとっても初のGI産駒という陣営そろって嬉しいG1勝利であった。
4歳夏~4歳終わりまで・・・不調な日々
GIを勝ち、少しの休みを経て夏の始動は函館スプリントステークスからとなった。もちろん1番人気である。しかしこのレースは武騎手騎乗の2番人気シュウジについていく展開となったが前半の3Fが32.2(11.7-10.1-10.4)という超ハイペースとなり、さすがにきつかったか4着。勝ちタイムも1.06.8という函館競馬場の1200mコースレコードであり、その中での4着は力を見せたほうであった。
そのあと直行でスプリンターズステークスへ向かうがまったく良いところなしで11着。スワンステークスも3番人気に推されるが14着。騎手が松田大作騎手に戻った京阪杯も7着と、秋は散々な成績で終えてしまった。
5歳~6歳 シルクロードステークスまで
再起をかけ、5歳はシルクロードステークスから始動した。このレースでは久々にハナを切ってしぶとい粘りでファインニードルの2着。昨年の好調期を思わせるような逃げは復調の気配を見せた。
このままの勢いで復活…とはなかなかいかないのである。高松宮記念では道中先頭に立つものの粘り切れずに6着。勝ったのはシルクロードステークスで後塵を拝したファインニードルであった。その後の京王杯では大怪我から復帰した三浦皇成騎手に乗り替わるものの12着と大敗。次走は昨年超ハイペースに苦しめられた函館スプリントステークス。新コンビの池添騎手とともに臨んだ。
スタートして何が何でも行くという体制を見せた池添騎手。スプリンターズステークスでも先行して好走したワンスインナムーンとの先頭争いを制して先頭に立ち、前半3F33.1という少し早めのペースで進んだが、気持ちよく逃げれればやはり実力はGI馬である。ヒルノデイバロー、1番人気のナックビーナスを振り切って1年3か月ぶりの勝利。うまく逃げれば簡単には差されない、GI馬らしいしぶとさが見れたレースだった。
ちなみにこのレース後、上原調教師が暑さに弱いとコメントしていたが、確かに涼しい気候だとこの馬は良く走るイメージがある。(11月~3月だと(4-5-0-2)、この時の函館は6月にしては寒い気温が続いた。)
その後、苦手の夏をスキップしスプリンターズステークスに直行したが12着。久々のダートに戻りJBCスプリントに挑むが14着。得意のシルクロードステークスでも15着と不調の時期が続いた。さすがにもう6歳。衰えたと思われたのだが...
2019高松宮記念
春秋スプリントGIを制した王者ファインニードルが引退し、王者不在の中迎えた高松宮記念。1番人気は京阪杯、前が詰まりながらもシルクロードステークスを勝ったロードカナロア産駒のダノンスマッシュ。2番人気はオーシャンステークスを高速ラップで逃げ切ったモズスーパーフレア。その中、2年前このレースを制し、その時と同じ鞍上の幸騎手に戻った本馬は12番人気と、終わったと思われているような人気だった。
しかし、レースではGI馬の底力を見せつける。2番人気のモズスーパーフレアが先頭に立つのに苦労し、前走ほどの調子がうかがえない中、セイウンコウセイはスムーズにゲートを出て、内ラチピッタリに3番手あたりで前に馬を置くという理想的な展開でレースを進める。
直線でモズスーパーフレアが早々に失速し、先頭に立つセイウンコウセイ。ダノンスマッシュも思ったより伸びることが出来ず、セイウンコウセイも好調期をうかがわせる粘りこみ。2年ぶりのGI制覇も見えてきたところだったが、3番人気のミスターメロディがこのレースは強かった。残り200m付近で交わされ、惜しくも2着。久々のGI制覇はならなかった。
このレースでは本馬の強さと、幸騎手の好騎乗も特筆に値するのだがそれ以上に配当の驚きも大きかった。12番人気(108.0倍)の本馬が2着に入った時点でそこそこの高配当になるのだが、3着のショウナンアンセムは何と17番人気(358.9倍)!3連単449万(GI歴代5位の配当)という大波乱を演出した。
7~8歳 ラストラン
7歳から8歳になっても現役を続行したがその後は凡走続きで、得意の高松宮記念も2020年7着、2021年9着と、さすがに今度こそ衰えたかに見えた。
しかし、2021年キーンランドカップでは、レイハリア・エイティーンガールと競り合いベテランの意地を見せた3着。久々に馬券に絡む活躍となった。
次走はスワンステークス。好スタートを決め先頭から4番手ほどの先行策を執るが、内で粘っている間に大外からの追い込み勢に次々抜かれていき、ダノンファンタジーの9着となった。
次は年内最後の短距離GⅡ・阪神カップ。これを最後に引退が発表された。
向こう正面では中段後ろの内側を走っていたが、3コーナー少し前で内によろけたベストアクターの不利を受けてバランスを崩し、[1]最終直線では馬群に包まれることに。それでも懸命に内をつき2番手まで粘るものの、やはり大外追い込み勢に抜かれていき、最後はグレナディアガーズがぶっ飛んできて1着。セイウンコウセイは6着。不利を受けながらも健闘したが、掲示板に載ることは出来なかった。
その後アロースタッドにて種牡馬入り。彼のように、そして大先輩ニシノフラワーのように短距離戦線で活躍できる名馬を輩出できるか、はたまたかつてのフラワーのライバルサクラバクシンオーがそうであったように、子孫からなぜか最強ステイヤーが出てきてファンをあっと言わせるかに注目である。
馬名について
冠名「セイウン」に「コ」で始まる馬名であることがネタにされており、ニコニコ大百科でも「珍名馬」の記事に名を連ねる。しかし、「セイウン+コ◯◯」という名前の競走馬は彼に始まったことではない。2002年産のセイウンココロザシにはじまり、セイウンコウセイは5頭目である。
彼以外の「セイウン+コ」軍団も馬柱に名前が載るたびにネット上で若干話題になっていたのだが、彼は初のGI馬で、現役時代も長いため話題に上る回数で言えばダントツである。
西山オーナーはあまり気にしていないのか、その後も「コ」で始まるセイウン冠名の競走馬を登録しており、2021年にデビューしたセイウンコチョウで通算7頭目となった。
なお、「セイウン」の後に「チ」で始まる競走馬も2頭いる。このうち「セイウンチカラ」も現役が長く、一部コウセイと時期が重なるため、セットでネタになることがあった。今でも「セイウンコウセイ」でGoogle検索をすると「他のキーワード」に名前が載ることがある。
関連動画
関連商品
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関連項目
脚注
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