セティ(ファイアーエムブレム)とは、ゲーム『ファイアーエムブレム』シリーズに登場するキャラクターである。
概要
『聖戦の系譜』と『トラキア776』に登場するキャラクター。どちらもクラスはセイジ。
『聖戦の系譜』では子世代のキャラクターになるため、後半に登場する。システム上、母親のフュリーに恋人がいないか前半で死亡しているとセティは登場せず、代替キャラのホークが登場する。
『覚醒』では『聖戦の系譜』からダウンロードコンテンツの追加キャラの一人に選ばれている。
聖戦の系譜
第8章で初登場。同盟軍として単独で城を守っている状態で登場し、セリスと会話することによって味方となる。妹のフィーは既に解放軍に加入済みである。
キャラクターとしてのセティ
病気にかかり余命いくばくもない母親のために行方不明になっていた父親を探して旅に出たが、故郷シレジアからほぼ大陸の反対側に位置するトラキア半島北部のマンスターまで来たところでグランベル帝国に虐げられていた人たちと出会い、彼らを放っておけず、その地にとどまることになる。
やがてトラキア半島北部の帝国軍はセリス率いる解放軍により駆逐されるが、その直後にセティの滞在していたマンスターに漁夫の利を狙って南方のトラキア王国が侵攻してくる。
セティはこの侵略から市民を逃がすため、たった一人でトラキアの竜騎士に立ち向かう。解放軍の助力もあり、トラキア軍を退けることに成功したセティはそのまま解放軍と行動を共にするのであった。
また、解放軍に参加していた妹のフィーとも再会を果たし、彼女から母がすでに他界していたことを知るのであった。
以上が大まかな汎用部分のセティのストーリーとなる。『聖戦の系譜』では父親が誰になるかや恋人をだれにするかはプレイヤー次第なため、エンディングで帰る国や恋人とのやりとりは多岐にわたる。
しかし、母親が通常数十ターンかかる恋愛システムを無視して会話ひとつで恋人関係が成立するなど制作陣が一押ししていると思われるレヴィン父ルートと、それまでのセティのイメージを覆すティニー恋人ルートに関しては若干ながら触れておく。
レヴィンという父親
まずはレヴィンというキャラクターにおいて少し解説が必要である。レヴィンはシレジア王国の王子でありながら王位継承の争いに嫌気がさし、国を出奔したという過去を持つキャラクターである。
その後、旅の踊り子にちょっかいをかけていたところをセティの母であるフュリーによってすったもんだの挙句に連れ戻され、そしてフュリーの姉のマーニャの犠牲を経たうえで、フュリーと恋人となり、そしてシレジアの王位を継ぐべく神器『フォルセティ』を継いだという、かなりフュリーに迷惑をかけた男である。
このレヴィン父ルートではほかのキャラが父親となった時と明確な違いが存在している。それは父親の存命が確定していることである。ほかのキャラクターが父親となった場合、生死は最後までわからないのである。
だが、レヴィン父ルートでは違う。レヴィンはバーハラの戦いを生き延び、プレイヤーの操るセリス軍の軍師としてともに行軍しているのである。
したがって、「父を探す」という彼の当初の旅の目的は達成してしまっている。母の死に目に間に合わなかったという負い目はあるものの、彼を連れ戻すことは正統なシレジアの王を帰還させることでもある。しかし、レヴィンとの会話を行うと、レヴィンはフュリーの死にもさほど動揺した様子を見せず、逆に「私には妻も子もいない」という絶縁宣言ともとれる発言を行う。
一体なぜこのような親子会話が用意されているのか、その答えはエンディングで知ることができる。エンディングにてセティはシレジアは任せたという父に別れを告げ、自らが王となって国を立て直すべくシレジアに帰っていくのであった。
おまけ フィン父ルート
父親との再会という意味では、このフィンとフュリーのカップリングでも成立は一応可能。
ただし、このカップリングを成立させるのはなかなか難しいうえに、子供たちの強化の面でも取り立てて優秀なものはない。
それよりもセティたちの行動に矛盾が生じるのであまりお勧めはしない。
ティニーという恋人
終章にて、恋人同士になったユニットの間では専用会話が用意されている。セティにも当然用意されているのだが、その相手がティニーだった場合、「ティニーはかわいいな、私の宝物だ・・・」という歯の浮くようなセリフを吐いてくれる。
それまで風の勇者と呼ばれ、弱い人々を見捨てられず、生真面目に戦ってきたと思われる彼がやっぱりプレイボーイだったレヴィンの息子であると感じさせられるような会話である。
ユニットとしてのセティ
魔法系最強ユニットのひとつ、セイジで登場する。上級職で登場するのでクラスチェンジによるステータスアップこそないものの、母親から受け継いだ「追撃」スキルと兵種スキルとして持つ「連続」があるため使いやすい。
子世代のため、父親によって強さに変動がある。魔法ユニットなので魔力が上がりやすい魔法ユニットを父親とした方がいいのは言うまでもないが、妹のフィーが貴重な飛行ユニットのため、そちら側を重視した場合戦士系ユニットが父親になる場合もある。
後者の場合、若干成長率が厳しくなるのは否めない。スキルの「追撃」「連続」で頑張るしかないだろう。
セティを優先した場合、おすすめされる父親はキャラクターの欄でも述べたレヴィン、もしくは魔力の成長率に期待が持て、杖レベルにもボーナスがつくクロードになる。
- レヴィン父の場合、素早さと技が高くなりスキル「必殺」も継承されるが、フォルセティを受け継ぐのがなによりも強力である。ゲーム中でも最強の神器の一つであるフォルセティを継承したセティは使用回数がもつ限り無双の活躍が約束されている。
- クロード父の場合、高魔力に加えて死者を蘇生させるバルキリーの杖も継承できる。もっとも、バルキリー自体はリセットという名の神のご加護がある以上さほど出番はないだろう。しかし、武器レベルAの杖が使えるのは魅力的である。魔法防御も最も高くなる。
- アゼル父の場合、スキルがフュリーとかぶる「追撃」しかないが魔力の期待値はレヴィンより高くなる。炎の魔法は総じて重いので扱いにくく、炎レベルAは持ち腐れになりやすいが、光の魔道書「ライトニング」さえあれば十分だろう。
トラキア776
『聖戦の系譜』のサイドストーリーという位置付の本作では父親がレヴィンで固定されている。
初登場は第4章外伝。正式な加入は第23章まで待つことになる。
フォルセティの脅威は今作でも健在であるが、リーフ軍への加入は別のキャラクターとの二択になる。もっとも、二択の相手よりもセティの方が何かと強いので彼を選んだプレイヤーの方が多かったのではないだろうか。
キャラクターとしてのセティ
今作でのセティのストーリーは『聖戦の系譜』でのマンスターの人たちを見捨てられなかったというエピソードの詳細を追っている。セティの具体的な活動として、レジスタンス『マギ団』という組織のリーダーとなり、帝国の圧政に立ち向かっていたということにされ、マギ団を率いて囚われの身になってしまった今作主人公のリーフの脱獄を手伝った救出を行ったりする。
リーフ救出の際にはフォルセティで並み居る敵をなぎ倒し、経験値泥棒をしてくれた。リーフ強盗団のうわまえをはねるたぁ、なんてやつだ。道を切り開いてくれる。その後、セティを除くマギ団はリーフの指揮下に入り、彼は単身マンスターに潜伏して街を解放する機会を待つことになる。
放浪の王子
前作『聖戦の系譜』でも触れられていたが、彼が父親を探してシレジアを出ている間に彼の母親は亡くなってしまう。
今作でもフィーの付き人という設定の新キャラカリンに母の死を聞かされ動揺するシーンが見られる(時系列上、今作が『聖戦』の前なのに『聖戦』で初めて聞いたように見えるのは気にしないこと。このゲームにはもっと大きな矛盾が存在している)。カリンはセティにシレジアへの帰還を促すものの、セティはマンスターの人々のことを見捨てられず今は帰れないと断るのだった。
さて、このシーン、どこかで見覚えがないだろうか。出奔した王子をペガサスナイトが探しに来るも帰還を断る、というシチュエーションにデジャヴを感じないだろうか。
前作『聖戦の系譜』をプレイした人ならピンとくるだろう。何を隠そう父親であるレヴィンが母親であるフュリーにした行動をそっくりなぞっているのである。
何かと大切なときに国を空けてしまう親子。やはり、血は争えないのかもしれない。
ナチュラル女たらしの王子様
さて、前述のカリンとの会話だが、話はこれで終わらない。
セティはカリンを説得するにあたって、「今は帰れない、だが、いつかは必ず帰る」という約束をする。その証として、セティは聖戦士の家に代々伝わる「セティの書」をカリンに渡す。
このセティの書は成長率アップ効果かつ敵の必殺を防ぐという重要アイテムなのだが、その説明として「本当は王妃を迎えるときに与えるもの」、さらに受け取りを拒否するカリンに対し「これは私の気持ちなんだ 受け取ってほしい」と追撃の勘違いさせるようなセリフを言ってくれる。
それでいて、『聖戦の系譜』ではああも歯の浮くようなセリフを言ってのけるあたり、いつか背中から刺されても文句は言えないだろう。ただし、前述したとおり『聖戦の系譜』と『トラキア776』の間には大きな矛盾点が多数存在しており、パラレルに近いものであるため、問題はないのかもしれない。
そもそも『聖戦』で恋人ができると決まっているわけでもないので、あるいは『トラキア』の正史では違った流れとなっているのかもしれない。それ以前に、フォルセティ持ちに攻撃が当たるわけがないのだが。
ちなみに、父親であるレヴィンも『聖戦の系譜』にてシルヴィアとフュリーの二人の女性との関係をこじらせあわや刃傷沙汰に発展しかけたことがある(OPデモ)。
複数の女性にアプローチしてこじれさせてしまう親子。やはり、血は争えないのかもしれない。
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