曖昧さ回避
セミとは、以下を表す。
- 蝉(蟬) - 昆虫の一種。オスは腹の空洞を利用して特長的な鳴き声を発する。この記事で記述。音読みではゼン。
- semi - 準~・半~という意味を表す接頭語。使用例としてセミファイナル、セミプロなど。
- 背美 - 背美鯨(セミクジラ)の略。
- 瀬見温泉 - 山形県最上郡最上町大堀にある温泉。
- 瀬見の小川 - 京都府京都市左京区下鴨を流れる小川。
- 韓国教育放送公社の教育コンテンツにおけるキャラクター。→セミ(EBS Math)
概要
人類、とりわけ日本を含むアジアにとっては、馴染みの深い昆虫の一つで、昆虫採集の対象とされることも多い。
卵から幼虫となり、地中でおよそ3年~17年に渡り過ごし、その後地上に出て木に登ってから羽化し、成虫となる。
ホタルと同様、儚い命の代名詞であるが、実際は1か月弱ほどを地上で過ごす。とはいえ、土の中で過ごす期間と比較して非常に短いのは言うまでもない。だが、地中で過ごす時間を考えると昆虫としては異例の長生きの部類である。
また、夏に鳴き声が聞こえることから、夏の風物詩としても知られているが、種によっては、春や晩秋になっても鳴き声を出すものもある。
ちなみに、ひぐらしは「○○ゼミ」と呼ばない数少ない蝉の一種である。
日本で見られる主なセミの種類
- アブラゼミ
日本を代表するセミの一つで、「ジー!」って鳴き声が特徴。その音が油が爆ぜる様や、あるいは翅が油を想像させる色となっていることから名付けられたとされる。比較的高温で、そして湿度は低めの場所を好むとされる。そのため、湿度の高い大阪や名古屋などではクマゼミに勢力を支配されている一方、北陸などではアブラゼミが主力だったりする。翅は茶色で透明じゃないので、一番見分けやすい。ちなみに、東京などでもミンミンゼミより個体数が多いのだが、音がそこまで高くないために、他のセミの方が多いと誤解されている。また、京都、神戸もアブラゼミの棲息数は依然として多く、回復しているエリアもある。なお、外敵が来たら鳴くのをやめて隠れる習性があるため、それが逃げ場のない都市部で数を減らしている原因じゃないかと指摘している学者もいる。また、夜鳴きするセミとしても知られ、突然夜中にけたたましい音で鳴く(周囲が寝静まった頃に鳴くため、昼間より五月蠅い)個体が多い。 - ミンミンゼミ
同じく日本を代表するセミの一つで、「ミーンミーン…」って鳴き声が特徴。アブラゼミやクマゼミと比較して高温と湿度を嫌い、本州東日本では最もメジャー。特に、関東地方では平野部に生息しているため、ドラマやアニメなどでは夏を演出する音として多用される…のだが、他のエリア、たとえば西日本では標高のある高地や山地が中心なので、その安易な演出には大いに違和感を抱いている(少ない個体数なら平野部にも存在し、少し涼しくなったらツクツクボウシと同じ時期に現れる)。胴は少し緑がかっており、翅は透明だが、少し黒い斑点がある。 - クマゼミ
西日本を代表するセミの一つで、メジャーなセミでは一番胴体が大きく、名の由来もそれに因む。「シャワシャワシャワ…」という音を鳴らす。高温で湿ったところを好む(ただし、幼虫は乾燥した土を好む)ので、近畿~東海では今日こいつが主流となっており、徐々に関東でも増えてきている。とにかく音が五月蠅いため、仮に個体数としてはそこまで多いわけでもなく、アブラゼミやミンミンゼミらも一緒にいたとしても、全てこいつの音に掻き消されてしまう。胴は黒、翅は透明だが、少し緑色がかっている。ちなみに、ケーブル回線の色が枯れ枝とよく似ていたため、ケーブル回線に卵を生み断線させる事故が過去に多発していた。外敵が来たら飛んで逃げる習性があるため、捕食されにくい。 - ツクツクボウシ
比較的冷涼な気候を好むセミ。そのため、寒蝉と書く。鳴き声は「ツクツクボーシ…」という特徴的であり、晩夏を象徴し、初秋にかけて鳴き、10月ぐらいまでは声が聞こえることもある。そのため、夏休みの宿題に追い込まれるトラウマを想起させるセミだったりする…そうな。なお、成虫は7月ぐらいから存在するが、他のセミの音と勢力に負けて目立っていないため、晩夏からでないと羽化しないと思われがちである。胴は黒、翅は透明で、黒色の筋が特徴。非常に警戒心の強い蝉であり、素手で捕まえるのは一番難しい上、少しでも気配を感じるとすぐに鳴くのを止めてしまう。 - ニイニイゼミ
個体の小さいセミで、胴体は少し緑の部分もあり透明でまだらの翅が特徴。鳴き声は「チー・ジー・チー・ジー」と二音を何度か繰り返した後、「チチチチチ…」と鳴く。乾燥に弱く、都市部では雑木林などに棲息していたが宅地開発によって個体数を大きく減らしていた。…が、環境変化に強いのか、乾燥した場所でも棲息するようになった。蛻は丸っこくなり見分けやすい。 - ヒグラシ
◯◯ゼミと名乗らないセミだが、「カナカナカナ…」って鳴き声からカナカナゼミという愛称もある。比較的冷涼な場所を好むため、高原、山間部や都市部などでも涼しくなってきた頃に鳴く。そのため、独特の寂寥感と風趣を感じさせる蝉として愛されてきたため、独自に蜩という漢字もあり、晩蝉と書き、日本では田舎や夕暮れの演出に用いられることが多い。だが、実際は高い木々や遠い山中からでも音が響く(2キロ離れた場所からも音が届く)ほど、その寂しげな音と裏腹に間近で聴くと相当に煩く、風流とはほど遠い存在であり、また群体で棲息するため、その合唱はもはや騒音となる。胴は赤茶色で、また翅も透明だが、少し茶色がかった筋がある。 - エゾハルゼミ
名前はエゾだが、全国各地の山間部に棲息。特徴的な鳴き声を持っており、ヒグラシに紛れてノコギリを挽いたような、「オーギィオーギィ」とか聞こえてくるのがこいつである。冷涼な気候と広葉樹林を好むので、自然のバロメーターとも言われるセミであり、都道府県によっては絶滅危惧種となっているところも。肢体は茶色、翅は透明で茶色の筋がある。なお、ハルゼミと違い、初夏にかけて鳴く。
なお、ヨーロッパなどセミが馴染みがないエリアもあり、「なぜ木から鳴き声が聞こえるのか」「日本から映画を輸入したらノイズが入っていた」などというエピソードもある。英語ではcicada(シケイダ)という。五月蠅いセミは死刑だ。
セミは素数を知っている?
セミは限られた期間に大量発生することで、交尾の成功率を高め、外敵から狙われる確率を下げている。
地中にいるセミは合図を出せないため、時期を合わせて成虫になるには遺伝子に組み込まれた体内時計を頼ることになる。
違う周期のセミ同士が交配するとその体内時計が狂い、少ない個体で出現することになる。
それは例えば、10年周期のセミと15年周期のセミは30年で交雑し、40年目で15周期のセミの血が混じった種と交配すると55年に出現するグループが出来てしまう。このグループが次に現れるのは65年と70年。
生物は一定の個体数を保てないと加速度的に絶滅へ向かうため、周期のズレたグループは自然界に淘汰される。
10、11、12、13、14、15周期のセミが221年以内にカチ合う回数は、10年が11回、15年が9回、12年と14年が7回、
素数年である11年と13年が最小の6回となる。
15年眠っていたセミより、11年眠っていたセミのほうが少ないリスクで種を残すことができる。
さらに始めに周期が重なる年数は10周期と15周期が30年。12周期が60年、14周期が70年。11周期が110年、
13周期が130年となり、素数の年数とぶつかるまでにかなり淘汰される。
実際にアメリカには13周期と17周期の「周期ゼミ」あるいは「素数ゼミ」と呼ばれるセミがいる。
同じ地域にいるわけではなく、絶滅したグループもいるため全くセミがいない年が数年続くことがある。
一度大量発生すると、捕食者も食べきれないといわれる程出現すると言われている。
小学生の自由研究としてもよく捕まえられるセミだが、幼虫のセミは研究対象として極めて難易度が高いためわからないことが多いという。
アブラゼミの卵は翌年の夏に孵化して、6年後に成虫に羽化する7年ゼミといわれているが、5年、7年で成虫になるものもいる。
12、14、15、16、18周期のセミの化石が発見されているが、素数である11年と19年の周期ゼミは発見されていない。
創作の中のセミ
季節が夏の作品では雰囲気作りの一環としてセミの鳴き声が挿入されることが多い。また、特撮などでは怪人や怪獣のモチーフとなることもある。
- イリヤの空、UFOの夏 - 秋山瑞人によるライトノベル。劇中、セミの鳴き声が情景描写の中で多用されており、クライマックスに近付くにつれて移り変わっていく季節を示唆する大きな材料となっている。
- ジャイアンシチュー(ドラえもん) - ジャイアンの作る毒物。主な材料のひとつにセミのぬけがらが入っている。
- 新世紀エヴァンゲリオン - 旧版ではセカンドインパクトの影響で日本が一年中夏の気候になっており、それを表現するため屋外のシーンではセミの鳴き声が流されている。
- セミ人間(ウルトラQ) - 地球の侵略をたくらむ宇宙人。声にセミの鳴き声が使われている。バルタン星人の原型。
- セミンガ(天体戦士サンレッド) - セミをモチーフにしたフロシャイムの怪人。何度も脱皮しているが、いまだに幼虫のままである。
- ツチニン・テッカニン・ヌケニン(ポケットモンスター) - ポケットモンスター第3世代から登場したセミをモチーフにしたポケモン。それぞれ幼虫・成虫・抜け殻をモチーフにしており、能力は大幅に異なる。
- バルタン星人(ウルトラマン) - 特撮「ウルトラマン」シリーズを代表する宇宙人。もともとは前番組「ウルトラQ」の「セミ人間」のスーツを改造して作られた。
- ひぐらしのなく頃に - 竜騎士07による同人サウンドノベルソフト。アニメ化やコンシューマー化もされた。セミの一種であるひぐらしの声がキーワードのひとつになっている。
- 東方香霖堂 - 東方シリーズの書籍。絶滅した11年周期の「奇跡の蝉」をモチーフにした、輪廻転生について書かれたエピソードがある。
セミの名がつく記事
※蝉がつくもの、または元の単語が昆虫の蝉の意味である「セミ」のみを扱う。
- 巌蝉秋 - 男性声優。
- イヤホンと蝉時雨 - Orangestar(蜜柑星P)によるIAオリジナル曲。
- 空蝉 - 蝉の抜け殻。転じて、複数の意味を持つ。
- 空蝉ノ影 - kikuiの楽曲。アニメ「ローゼンメイデン オーベルテューレ」のED曲。
- かわせみ(IME) - Mac OS X用の日本語入力ソフトウェア。
- 地面に落ちたセミ
- セミ兄貴
- 蝉しぐれ - 蝉が一斉に鳴くこと。記事は藤沢周平の小説について。
- 蝉ドン - 壁ドンから派生した囲い込み手段の1つ。
- セミの鳴き声シリーズ
- 蝉丸P - ニコニコユーザー、僧侶。
- 貂蝉 - 小説「三国志演義」の登場人物。チョウセンと読む。
- はなカワセミ - ドラゴンクエストシリーズに登場するモンスター。
- 夕暮れ蝉日記 - まふまふによるVOCALOIDオリジナル曲。
- 夕暮蟬日記 - 上記「夕暮れ蝉日記」の中国語記事。
セミ○○
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関連項目
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