セルとは、以下のものを指す。
- 英語におけるsellもしくはcellのカタカナ表記。
- セルロイドの略
- 初期の材質が2だったことから転じて、アニメの製作に使われていた透明のシートのこと。→セルアニメ
- 上と同じ理由から、パチンコの盤面に貼り付けられているシートのこと、またそこに描かれているイラストのこと。
- 漫画『DRAGON BALL』のキャラクター。
- ユーザー生放送配信者 → セル(生放送主)
- Janne Da Arcのオリジナルアルバム「GAIA」収録曲。
- セル・カーチゴルフ - アダルトゲーム・ランスシリーズに登場するシスター。 → ランスシリーズ主要キャラ
- ジョージ・セル - ハンガリー出身でアメリカのクリーブランド管弦楽団で常任指揮者を務めた指揮者、ピアニスト
本稿では5について記述する。
概要
漫画『DRAGON BALL』およびそれを原作とするアニメシリーズに登場する敵である。
ドクター・ゲロ開発の未来から来た人造人間で、セミのような姿かたちの化け物。
人造人間(セル)編のボスキャラクター。
名前の由来は細胞を意味する英語「cell」。
CVは若本規夫。
ドクター・ゲロの最高傑作であり、地球の名だたる武道家や、孫悟空・ベジータなどのサイヤ人、ナメック星人であるピッコロ、地球にやってきたフリーザなどの様々な細胞とデータから生み出された。
このため、かめはめ波や太陽拳などの技や、フリーザに似た技などを使ったり、ナメック星人の細胞のおかげで再生能力があったり、サイヤ人の細胞のおかげで瀕死から復活すると超パワーアップしたりと、いろいろとチート性能なお方。
フリーザ以上の強敵を、という概念で誕生させたキャラクターで、過去の達人の技の使用、再生による半永久的な復活、未来からの使者というそれまでの集大成的なボスキャラクターとされた。
当初はピッコロにも敵わなかったが、街を滅ぼし人間の生体エネルギーを吸収して力を増していった。
その後、人造人間17号を吸収して第2形態へと変身し強大な戦闘力を手に入れたが、精神と時の部屋での修行でパワーアップしたベジータに叩きのめされる。
しかし、「完全体になりさえすればお前など敵ではない」とベジータを挑発。
その挑発に乗ったベジータの協力もあり、18号を吸収して完全体となった。
ちなみに、セルの生まれた未来では人造人間17号・18号がすでに破壊されており、完全体となるためトランクスを殺しタイムマシンを奪って現代へやってきた。このタイムマシンを奪う過程は原作ではセリフで語られるのみだが、アニメでは尺稼ぎの為に詳細にこのくだりが映像化され、特に原作では伏線になっていながら結局形骸化した「中から開けたタイムマシンの穴」の謎がきちんと解明されている。
完全体になった後は世界の武道家を集めた武道大会である天下一武道会を模した「セルゲーム」を開催。
セルに誰も勝てなかった場合地球を滅ぼすと宣言し、地球を恐怖のどん底へ叩き落した。
『ドラゴンボール』の悪役としてはピッコロ大魔王、魔人ブウと同様作中世界的に名前が売れている人である。
セルゲームではミスター・サタンや、孫悟空、孫悟飯などと戦う。
悟飯との戦いの最中、悟飯の怒りによるパワーアップに興味を持ち、悟飯を怒らせようと画策する。
セルジュニアを生み出してZ戦士達を苦しめたり、人造人間16号を破壊することによって悟飯を怒らせることに成功するが、怒りによって悟飯は超サイヤ人2へ覚醒し、逆に追い詰められてしまう。
甚大なダメージを受けたセルは18号を吐き出し退化、逆上して地球ごと自爆を試みるが、悟空の瞬間移動により、界王星と運命を共にすることになってしまった。
しかし、運良く核が残っていたおかげで再生※でき、瀕死から蘇ったことでパワーアップ、さらには悟空の瞬間移動を習得し地球に帰還、お返しとばかりに、地球ごとかめはめ波でZ戦士達を消し飛ばそうとする。
(※この際、核が頭にあることを示唆していたが、悟空との戦闘において上半身を吹き飛ばされたにも関わらず再生していることから、矛盾が生じている。セルの全身で唯一、一度も破壊されなかった股間部分の頑丈そうな部分が核の本来の位置では?という説もある)
あの世の悟空の言葉で奮起した孫悟飯とのかめはめ波の撃ち合いになっても余裕を保っていたが、ベジータに注意を逸らされた瞬間、親子かめはめ波を叩き込まれ、今度こそ細胞一つ残らず完全に消滅した。
なお、トランクスが帰還した未来でも、トランクスのタイムマシンを奪い取ろうとするセルが現れたが、現代で成長したトランクスの敵ではなかった。
究極の人造人間として全身緑の有機生物的でありながら、ドロイド調の機械的な造詣が特徴的だが、鳥山明曰く、デザインに失敗したキャラクターであり、身体中に付いた不気味な斑点はいちいちサインペンで書き込んでいくのがめんどくさかったらしい。それはアニメスタッフも同じことで、当時はCGなどなかった為、動画毎に一個一個斑点を付け、さらにそれを動かさなければならない上、超サイヤ人と同等のブラシ処理や透過光を用いた演出を行った為、その苦労は並大抵ではなかったらしい。おそらく、現代の絵師も彼を描く際には同じ苦労を体験していることであろう(とはいえ、デジタルなので大分楽にはなったが)。よって、次の魔人ブウはかなりシンプルなデザインとなった。
地獄に行ってからは、フリーザ一味と仲良く(?)暮らしていたのだが…。その死後については後述。
よくよく見ると結構間抜けな行動を取っている(ピッコロの腕の再生に気付かない、ギャリック砲で足元崩す、悟空の仙豆を何の疑いも無く口にするetc)。
セルジュニア
完全体となったセルの身体から産み落とされた、セルの息子。
セルゲームに居合わせたZ戦士(悟飯以外)の人数に合わせ、全部で7体が誕生している(アニメでは8体)。
水色と黒からなる体色で、上記の完全体セルを小型にデフォルメしたような容姿が特徴。
生まれたてにも関わらずいずれの個体も高い戦闘能力を持ち、さらに好戦的な性格である。
セルの持ちうる技や記憶などを受け継いでいるのか、セルが使える技をセルジュニア達も同様に使用可能という有様で、量産型という括りでは納まらないほどである。
ただし再生能力は持たないようだ。
作品中ではピッコロや天津飯はおろか、精神と時の部屋で修行を行ったベジータやトランクスですら互角の戦いができるという強さを見せつけ、(先のセルとの戦いで気力・体力共に消耗しきっていたとはいえ)悟空すらも追い詰めている。
しかし、16号を目の前で倒された怒りで超サイヤ人2へと覚醒を遂げた悟飯の前には流石に無力で、1人ずつはおろか数に物をいわせた集団戦法を取るも最後は1人残らず全滅させられた。
ちなみにこの時、原作の場合は悟飯の一撃で身体を引き裂かれセルジュニアの眼球や内臓が飛び散るという流石にアレな描写が多かったが、アニメ版の場合は霧のように消滅したり、身体を分断された後に爆発する、という描写でまとまっている。
MUGENキャラクターとしてのセル
完全体版の「パーフェクト・セル」が有名。
ドラゴンボールキャラクターとしてはバランスの良い強さと良いAIを持っており、ドラゴンボール勢としては最も動画登場回数が多い人気キャラクターである。
かめはめ波や魔貫光殺法などの弾速が極めて早い飛び道具の他、複数回敵を前から後ろから追尾するセルジュニアがAI殺しとして優秀。
また近距離全周囲に当たり判定のあるバリアを張る技が優秀で、これを多用すると「困った時にはバリア」「困って無くてもバリア」などと揶揄されたりもする。
ついでの知識
- 人造人間編のボスキャラとして認識されているが、当初は人造人間達がそれぞれボスキャラとして位置づけられていた。
しかし既に担当から外された編集者の鳥嶋和彦に後述するような経緯で「ボスに相応しくない」と次々批判を受けた結果、セルが誕生するに至る。
経緯は簡潔にまとめると、以下の通り。
→19号・20号登場 …「デブとジジイじゃないですか」
→17号・18号登場 …「ガキじゃないですか」 - しかし、そのセルすらも、
→第一形態 … 「カッコ悪い! 変身させろ!」
→第二形態 … 「バカっぽい! 早く完全体にしろ!」
と当時の担当者である近藤裕からデザイン段階で結構酷評されていた。最終形態がやたらと二枚目でいい男なのはそのため。 - アニメでは若本氏が各形態ごとに器用に演じ分けており、その熱演・怪演ぶりはご存知の通り。
ちなみに若本氏のお気に入りの形態は完全体のセルらしい。
氏曰く理由は、「最も自然に演じられるから」。
- また、アニメ放送当時に若本氏が自宅でセルの台詞を練習していたら近所の子供たちに「出てこい、セル!」と外から声を掛けられ、「俺に吸収されたい奴はどいつだあぁぁ!!」と叫び返したというエピソードもあるらしい。
ちなみに近所の子供たちは若本氏の返しに怯えて泣き出した、とのこと。 - PS2版ソフト『ドラゴンボールZ』では所謂IFストーリーの1つに、18号ではなく誤ってクリリンを吸収してしまった結果、セルジュニアとクリリンを混ぜ合わせたような外見を持つ形態「セルリン」が登場する。
夢オチでよかったね。 - 『Z』と『改』では、それぞれキャラクターソングが用意された。
セルゲーム開始までひたすら待ち続けるセル自身の心境を歌ったキャラクターソング『挑戦状』は、シリアスな曲調と歌詞、石原慎一氏のボーカルがマッチした良曲である。
一方、『ドラゴンボール改』に合わせて新規制作された、これからセルゲームの開始を宣言する時のセルの心境を歌った『セルゲームのお知らせ』はカッコいい曲調と大槻ケンヂ氏のボーカルに、「若本氏に歌ってもらった方が良かったんじゃね?」と呟きたくなるようなセルそのまんまかつ笑いを誘う歌詞が妙にマッチしており、『挑戦状』とは別ベクトルの良曲となっている。
死後の活躍
アニメオリジナルで、地獄でフリーザらと出会う。その姿は完全体を維持しており、フリーザ軍を率いて地獄の治安を乱していたが、早くもインフレに流されパイクーハンに一瞬で倒された(特にそういう描写はないのだが「吸収した生体エネルギー分の人間が全員生き返ったので弱体化した」説もあり)。
この頃から既にギャグ成分が入り始めていたが、ブウ編ではブウと悟空の戦いを見て、フリーザとは対照的に戦いっぷりに感心していた。
その後、『ドラゴンボールGT』で地獄に落とされた悟空にフリーザと共に挑む。素の戦闘力はフリーザ共々もはや悟空の敵ではなく完全なかませ、ザコ扱いだったが、新たに習得した謎の合体技ヘルズバスターでちょっと面倒な状況にまでは追いやった。
このフリーザとのコンビはGT終了後も継続、ゲームで専用セリフがあったり、『神と神』のテレビスポットで漫才していたりと、長いことかつてのアニオリを意識した関係を維持していたのだが……
『ドラゴンボール超』以降
『復活のF』で地獄の描写が変更された(というか、もとの地獄の描写は全てアニメオリジナルである)。これは『改』後半には反映されず『Z』のままだったものの、『超』では復活のFと全く同じものになっていた。地獄が仲間と会えるような場所ではなくなったことで、セルフリコンビが結成された歴史もなくなっている。
またセル本人が出ていない間にフリーザらが超強化されたため、相対的に一人だけGT時代の弱キャラ扱いを維持しているようにも思えて、出番が無いにもかかわらず妙に不遇な印象を強めている。
この影響は主にゲームに出ており、ゴールデンフリーザ参戦以降のゲームでセルはフリーザと面識がないのはもちろん、かつてフリーザを従えていた関係性も大きく変化している。
今でもよくコンビは組むが面識は持っておらず、フリーザより格上に扱われることもなくなった。ただしフリーザ同様にセルゲーム時よりパワーアップした扱いのこともあるようだ。また復活後のフリーザがギャグに対応できるポジションを得てきたのに対し、セルはかつて地獄で見せたギャグ要素が排除される傾向が強い。
セルX
ドラゴンボールオンラインでデザインされた「セルX」がヒーローズで強化形態として採用された。
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