セ・パ交流戦とは、プロ野球セ・リーグの球団とパ・リーグの球団が対戦する交流戦である。単に「交流戦」と呼ばれることが多い。
概要
正式名称は「日本生命セ・パ交流戦」。毎年5月から6月にかけて開催される。
以前からパ・リーグの方が交流戦の開催を要望していたが、巨人戦の放映権料に頼っていたセ・リーグの球団が巨人戦の減少を理由に難色を示したため実現せずにいた。しかし2004年オフの球界再編騒動をきっかけに歩み寄りがなされ、2005年から開催されるようになった(とはいえ今でもセの各球団は交流戦の試合数減をことあるごとに要求しており、現状維持を求めるパが押し切られる格好で試合数減が続いている)。
交流戦の成績はそのままペナントレースの成績に組み込まれる。それとは別個に、2014年までは交流戦の成績のみで最も勝率が高かったチームが「交流戦優勝」として表彰された。
2015年からはリーグ対抗戦という形になり、勝ち越したリーグの全球団に賞金(上位ほど高額)が出る形となった。そのため、2018年はヤクルトが交流戦1位になったにも関わらず、パ・リーグが勝ち越したためMVPはパ1位のオリックス(2位)から選出され、賞金もヤクルトはオリックスの半額しか貰えないという結果に。これを受けて、2019年からは再び他球団の結果に関わらず、交流戦の1位球団を「交流戦優勝」として表彰、賞金も優勝球団のみ全額獲得という形に戻された。
2015年~2018年まではそれまでオールスターの勝敗で決定されていたドラフト会議の優先権(ウェーバーで先になる権利)が、交流戦で勝ち越したリーグに与えられていた(2019年からセ・リーグから交互に)。
交流戦で勢いに乗るチームもあれば、交流戦で一気に失速するチームもあり、ペナントレースに与える影響は大きい。リーグ全体の勝敗は2009年まではほぼ拮抗していたが、2010年代は10年間ずっとパ・リーグの勝ち越しが続いた。特に2010年は交流戦の上位6球団をパ・リーグ6球団が独占するなど、パ・リーグが大きく勝ち越すことが多かった。
2015年の交流戦では、セ・リーグの上位にいたDeNAと巨人がともに大きく負け越し貯金を吐き出したため、交流戦終了後にセ・リーグ全球団が勝率5割未満になるという前代未聞の珍事が起こった。→セ界の終わり
2021年からは再び両リーグが拮抗するようになったが、交流戦で1位になったセ・リーグの球団は現在も巨人(2012年・2014年)とヤクルト(2018年・2022年)だけである。
基本的にセ・リーグの主催試合では指名打者制は採用されないため、普段打席に立たないパ・リーグの投手が打席に立つ。ちなみに、2022年6月3日にヤクルトの小川泰弘がホームランを打つまで、交流戦で本塁打を打った投手は全てパ・リーグの投手だった(ジェレミー・パウエル(オリックス、2005年)、岩本勉(日本ハム、2005年)、松坂大輔(西武、2006年)、リック・ガトームソン(ソフトバンク、2007年)、大隣憲司(ソフトバンク、2007年)、アルフレッド・フィガロ(オリックス、2011年)、大谷翔平(日本ハム、2014年・2016年)、上原健太(日本ハム、2018年)の8人)。
試合数が少ない為、ペナントレースと比較して2チーム以上が同率順位で終わるというケースが珍しくない。2010年度以前は同率時は勝ち数も同じ場合は昨年度の交流戦順位で上位の球団が上になるルールであった(例:2008年度はソフトバンクと阪神が同勝率・同勝利数であった為、昨年2007年度の順位が上位であったソフトバンクが上位となり優勝となった)。
2011年度以降は細分化され、
- 勝ち数が多い球団が上位
- 同率チームが2チームかつ、セ・パ別リーグのチームの場合は直接対決の成績優秀チームが上位
- 3チーム以上同一・2チーム同率が同リーグまたは直接対決が五分五分の場合はTQB(1イニング平均得点から1イニング平均失点を減じた数値)の高いチームが上位
となった。この為、同率で並びそうな場合は直接対決で勝ち越したり、できるだけ得点を取りかつ失点を減らす事も要求されるようになった。
なお、3.が優勝チームに対して初めて適用されたのは2023年で、この時は11勝7敗でDeNA、ソフトバンク、巨人、オリックスの4チームが並んだ(優勝はDeNA)。
2020年は新型コロナウイルスの影響によるシーズン開幕の遅れにより中止となった。
2005~2006年(36試合制)
2005年の開始から2006年までは、1カード3試合×2カード×6球団の全36試合制。全試合予告先発なし、パ主催試合のみ指名打者制。
2年連続で千葉ロッテマリーンズが優勝。リーグ全体では2年連続でパ・リーグが1勝差で勝ち越した。
2007年~2014年(24試合制)
2007年からは1カード2試合×2カード×6球団の全24試合制になった。このため、交流戦期間中は2連戦が続く形となって日程に余裕が生まれ、各球団にとってはこの間先発投手の頭数が少なくて済んだ。
2011年までは予告先発はパ・リーグ主催試合でも行われていなかったが、2012年にセ・リーグが予告先発を導入したことにより、同年から交流戦でも全試合で予告先発が導入された。
2014年は交流戦10周年のとして選手会からの提案もあり、セ・リーグの主催試合では指名打者制度を採用、パ・リーグの主催試合では指名打者制度を採用しないという入れ替えを実施した。その為、パ・リーグのフライチャンズ球場で打席に立つ投手やセ・リーグの主催試合で指名打者選手の登場するという普段の試合では見られない光景が実現した。
2010年(パ81勝59敗4分)、2011年(パ78勝57敗9分)、2013年(パ80勝60敗4分)と、パ・リーグが大きく勝ち越す年が目立った。
2015年~(18試合制)
度重なるセ・リーグ側の試合減要望もあり、2015年からは1カード3試合×1カード×6球団の18試合となった。このため、ペナントレース全体の試合数も2014年までの144試合から1試合減って143試合に。
1カード3試合のため、3カードずつホームゲームのみとビジターゲームのみの3連戦が組まれ、翌年はその逆になる方式。たとえば2015年の巨人対ソフトバンクは東京ドームで3連戦が行われたので、2016年はヤフオクドームで3連戦が行われる。
順位変遷
歴代MVP
年度 | 選手 | 球団 | 成績 |
---|---|---|---|
2005年 | 小林宏之 | ロッテ | 5勝0敗 防御率2.74 |
2006年 | 小林雅英 | ロッテ | 3勝0敗13セーブ 防御率0.47 |
2007年 | ライアン・グリン | 日本ハム | 5勝0敗 防御率1.01 |
2008年 | 川崎宗則 | ソフトバンク | 打率.366 4打点 |
2009年 | 杉内俊哉 | ソフトバンク | 3勝0敗 防御率1.23 |
2010年 | T-岡田 | オリックス | 打率.317 6本塁打 24打点 |
2011年 | 内川聖一 | ソフトバンク | 打率.326 4本塁打 20打点 |
2012年 | 内海哲也 | 巨人 | 4勝0敗 防御率1.29 |
2013年 | 長谷川勇也 | ソフトバンク | 打率.418 3本塁打 18打点 |
2014年 | 亀井義行 | 巨人 | 打率.356 3本塁打 10打点 |
2015年 | 柳田悠岐 | ソフトバンク | 打率.429 5本塁打 10打点 |
2016年 | 城所龍磨 | ソフトバンク | 打率.415 5本塁打 12打点 |
2017年 | 柳田悠岐 | ソフトバンク | 打率.338 7本塁打 23打点 |
2018年 | 吉田正尚 | オリックス | 打率.397 3本塁打 10打点 |
2019年 | 松田宣浩 | ソフトバンク | 打率.348 7本塁打 14打点 |
2020年 | 開催中止 | ||
2021年 | 山本由伸 | オリックス | 3勝0敗 防御率1.23 33奪三振 |
2022年 | 村上宗隆 | ヤクルト | 打率.351 6本塁打 13打点 |
2023年 | 岡本和真 | 巨人 | 打率.383 8本塁打 19打点 |
通算成績
(2023年終了時点)
順位 | 球団名 | 勝利 | 敗戦 | 引分 | 勝率 | G差 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 福岡ソフトバンクホークス | 239 | 151 | 18 | .613 | ---- |
2 | 千葉ロッテマリーンズ | 209 | 182 | 17 | .535 | 30.5 |
3 | 北海道日本ハムファイターズ | 211 | 186 | 11 | .531 | 31.5 |
4 | 読売ジャイアンツ | 207 | 189 | 12 | .523 | 35.0 |
5 | オリックス・バファローズ | 204 | 193 | 11 | .514 | 38.5 |
6 | 埼玉西武ライオンズ | 199 | 198 | 11 | .501 | 43.5 |
7 | 阪神タイガース | 195 | 199 | 14 | .495 | 46.0 |
8 | 中日ドラゴンズ | 194 | 201 | 13 | .491 | 47.5 |
9 | 東京ヤクルトスワローズ | 192 | 208 | 8 | .480 | 52.0 |
10 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 191 | 212 | 5 | .474 | 54.5 |
11 | 横浜DeNAベイスターズ | 168 | 229 | 11 | .423 | 74.5 |
12 | 広島東洋カープ | 166 | 227 | 15 | .422 | 74.5 |
関連動画
交流戦の動画は、特に2007年以降、年度別リンクタグがつけられており、そこから交流戦の動画を辿ることができる。
→07交流戦リンク
→08交流戦リンク
→09交流戦リンク
→10交流戦リンク
→11交流戦リンク
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→17交流戦リンク
→18交流戦リンク
→19交流戦リンク
ドアラブームの火付け役である「ドアラ グッドウィルドームに立つ!」が2007年の交流戦(中日対西武)の際の映像だったこともあってか、交流戦でのマスコット同士の交流の動画も多い。最近はバファローベルがセ・リーグのマスコットのセクハラ被害に……。
関連項目
- 野球 / プロ野球
- セントラル・リーグ / パシフィック・リーグ
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