セ界の終わり単語

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セ界の終わり（またはセ界恐慌）とは、2015年 6月23日に起きた歴史的大事件である。

概要

セ・パ交流戦（以下、交流戦）直前まで貯金10を抱えていた首位・横浜DeNAベイスターズであったが、交流戦を3勝14敗1分と大きく負け越し、6月3日からリーグ戦再開後の6月20日まで、1引き分けを挟んで12連敗を喫して貯金をあっという間にすり減らし、首位を読売ジャイアンツ（以下、巨人）に明け渡した。
といっても、交流戦で低迷したのは他のセントラル・リーグ球団も同様で、セ・リーグ球団の交流戦での勝敗は44勝61敗3分、最も勝率が高かった阪神タイガースでさえ交流戦順位は5位であった。

そのため、6月23日の試合前時点での首位巨人の貯金は1、阪神は貯金0、他の球団は借金を抱えている状態で、もし同日の試合で巨人が負け、阪神が負けるか引き分ければ、開幕直後以外で全チーム貯金無しという日本プロ野球史上初の出来事が起きるという事態に発展していた。

セ界の終わり

6月23日：セ・リーグの貯金、消滅

そして運命の日。
巨人は12連敗中であったDeNAに逆転負け、阪神は長野の地で5時間以上に及ぶ大激戦の末に延長12回表で無得点だったため引き分け以下が確定し（最終的には引き分け）、現実のことになってしまう。

セントラル・リーグ勝敗表（6月23日）
チーム名	勝	負	分	勝率	差
読売ジャイアンツ	35	35	0	.500	-
阪神タイガース	33	33	1	.500	0.0
横浜DeNAベイスターズ	33	35	1	.485	1.0
中日ドラゴンズ	32	37	1	.464	2.5
東京ヤクルトスワローズ	31	36	1	.463	2.5
広島東洋カープ	30	35	1	.462	2.5

プロ野球ファンはこの事態を、1929年に起きた世界的な経済危機『世界恐慌』と掛けて『セ界恐慌』、または昨年大ブレイクしたバンド『SEKAI NO OWARI』に掛けて『セ界の終わり』と名付けたのである。

なお、翌日の6月24日は巨人と阪神が共に負ければ全チーム借金という珍事更なる危機が迫っていたが、巨人は敗れたものの阪神は勝ったため免れた。
しかし単独首位に立った阪神は、得点数，失点数，本塁打数，盗塁数，防御率，打率，得失点差の全てが最下位であったため、得失点差が「-72」であったことも手伝ってなおさらネタにされてしまった。

その後は首位阪神がなんとか貯金を維持していたが、月が変わって7月2日の試合が終わり、ヤ戦病院に多数の患者を抱えている筈のヤクルトが勝率 5割丁度で首位に立ったところで状況は一変。
7月3日の試合でヤクルトと阪神が共に負ければ全チーム借金という危機が再び迫っていた。

7月3日：全球団借金

そして、恐れていた事は現実になってしまう。
ヤクルトは1-7の大差で広島に負け、阪神は2点リードの9回裏に呉昇桓が逆転サヨナラでDeNAに負け、順位は前日と変わらないながらも全チーム借金生活に突入した。
もう一度言うが、日本プロ野球史上初である。

セントラル・リーグ勝敗表（7月3日）
チーム名	勝	負	分	勝率	差
東京ヤクルトスワローズ	37	38	1	.4933	-
阪神タイガース	36	37	1	.4931	0.0
読売ジャイアンツ	37	39	0	.487	0.5
横浜DeNAベイスターズ	36	38	1	.4864	0.5
広島東洋カープ	35	37	1	.4861	0.5
中日ドラゴンズ	33	42	1	.440	4.0

加えて、1位から5位までのゲーム差は僅かに0.5という、“大混セん”の様相となった。

しかし、地上波テレビでは『サマーウォーズ』と『トイ・ストーリー3』が放送されており、そちらに夢中になっている者が大多数であったため、話題にしていたのは単なる野球好きのみなのであった…。

なお、翌日の試合は阪神が勝利し5割に復帰したため、1日でこの事態は解消した。

7月15日：前半戦終了

7月4日に5割復帰した阪神は次の試合も勝って貯金1を作るものの、その後2連敗でまた借金生活に。
一方の巨人は、7月5日から5連勝して貯金3とするが、その後3連敗し、7月7日に続いて7月14日に再び全チーム貯金ゼロとなった。
そして翌7月15日、巨人と阪神が共に敗れたため、全チーム貯金無しで前半戦を終えた。

セントラル・リーグ勝敗表（7月15日）
チーム名	勝	負	分	勝率	差
横浜DeNAベイスターズ	42	42	1	.500	-
読売ジャイアンツ	42	43	1	.4941	0.5
阪神タイガース	41	42	1	.4939	0.5
東京ヤクルトスワローズ	40	43	1	.482	1.5
広島東洋カープ	38	42	1	.475	2.0
中日ドラゴンズ	38	46	2	.452	4.0

ちなみに、7月14日のDeNA対巨人戦で最後に投げた林昌範の登場曲が「Dragon Night」だったのは単なる偶然である。

10月7日：セ界の終わり、終幕

全チーム貯金無しの状態は7月22日まで続き、その間にDeNAは不調に陥ってあっという間に順位を落とした。
7月24日に阪神とヤクルトが貯金1を作って同率首位に浮上し、それ以降貯金のない状態は起こらず、9月24日にヤクルトがシーズン勝ち越しを確定させて“勝率 5割以下のチームが優勝”の可能性は消滅した。

優勝争いの方はというと、8月中旬頃には広島・中日・DeNAが優勝戦線から離脱し、ヤクルト・巨人・阪神の三つ巴決戦となった。
そして10月2日にヤクルトが勝利し、14年ぶりのリーグ優勝が確定。結果的に76勝65敗、貯金11でレギュラーシーズンを終えた。なお、貯金11というのは5月16日にDeNAが記録したのと同率でセ・リーグ最多である。

セ界大恐慌に陥り、大混戦を極めた2015年のセントラル・リーグは、昨年まで2年連続最下位を喫し、毎年恒例の離脱者続出で打撃投手を現役復帰させたりもした東京ヤクルトスワローズが他球団を1つずつ下に押し出し、昨年の1位 2位であった東西の球界最古参球団を制して幕を閉じるのであった。

セントラル・リーグ勝敗表（全日程終了）
チーム名	勝	負	分	勝率	差
東京ヤクルトスワローズ	76	65	2	.539	-
読売ジャイアンツ	75	67	2	.528	1.5
阪神タイガース	70	71	2	.496	4.5
広島東洋カープ	69	71	3	.493	0.5
中日ドラゴンズ	62	77	4	.446	6.5
横浜DeNAベイスターズ	62	80	1	.437	1.5

ちなみに、ヤクルトはクライマックスシリーズも制して14年ぶりに日本シリーズへ進出するのだが、圧倒的な強さを誇った福岡ソフトバンクホークスに（真中満監督のドラフト会議におけるハズレくじの誤認も災いして）1勝4敗の末日本一を逃し、「セ界の終わり」を象徴する結果となってしまった。
なお、日本シリーズ最後の試合の最終イニングに打席に立った今浪隆博の登場曲がSEKAI NO OWARIの楽曲「スターライトパレード」だったのは単なる偶然である。

その他

この事態が初めて起きた1つ前の日は2015年 6月22日であるが、この日は『新世紀エヴァンゲリオン』において“第3新東京市”こと箱根に使徒が襲来する（設定上の）年月日である。しかし、この日の現実の箱根では特に変わったことも無く、碇シンジ役の声優・緒方恵美は同地で急遽空いた時間を過ごしていた。
そのため、使徒が来なかったから因果律が狂ってセ・リーグの貯金が消滅したという意見もある。
最初に全チームが貯金ゼロになったのと同じ週の6月26日金曜日のセ・リーグ公式戦は雨のため3試合とも中止になったが、これもセ界の終わりの一種だとネタにされた。なお、同日のミュージックステーションにSEKAI NO OWARIとそのボーカルの交際相手が出演していたのは単なる偶然である。
ヤクルトは6月22日時点では最下位であり、そこから僅か11日で首位まで上がったことになるのだが、同日にMLBでは「ノリ・アオキ」こと青木宣親（元ヤクルト）が死球を受けて怪我をしヤ戦病院サンフランシスコ支院入りもとい戦線離脱している。これも何かの縁なのだろうか…。
全チーム借金となった7月3日は阪神の球界初となるチーム1万試合目の記念すべき日であった。にも関わらず、逆転サヨナラ負けで花を添えられないどころか、さらに全チーム借金のトリガーまで引いてしまった。
野球のプロリーグで全チームが借金持ちとなったのはNPBでは初だが、MLBでも2005年（セ・リーグと同じくDH制のない）ナショナル・リーグ西地区で同じ現象が発生していた。このときもサンディエゴ・パドレスが82勝80敗で地区優勝し、借金持ちが優勝という事態は免れている。