ゼロアワー(Zero Hour)とは2022年生まれの門別競馬場所属の競走馬。鹿毛の牝馬。馬名の意味はゼロ時、予定開始時刻。
日高の牧場、新生ファームが生んだ小さな奇跡である。
曖昧さ回避
- 第二次世界大戦中の日本によるプロパガンダラジオ放送の番組名。アナウンサー達は東京ローズと通称された。
- 情報セキュリティにおいてゼロデイとほぼ同じ意味で使われる用語。脆弱性が発見されたばかりで修正パッチや対処法が存在しない状態を表す。
血統 未完の大器と未勝利の母
血統は父はステッペンウルフ、母ステップフォード、母父フリオーソという血統であり、筆者が小さな奇跡と書いたのはこれが要因である。
まず父ステッペンウルフはサウスヴィグラス産駒[1]で現役時代は門別と南関で走って12戦5勝、京浜盃では後にかしわ記念と川崎記念を勝つカジノフォンテンやその年の東京ダービーを勝ち川崎記念でも2着に入るヒカリオーソなどの強豪[2]を倒すなど才能を見せていたが故障により引退してしまった未完の大器。
母ステップフォードは門別と金沢で5戦して未勝利に終わった馬だが半兄に皐月賞3着のジェネラーレウーノがいる。母父フリオーソは長きに渡りスマートファルコンやエスポワールシチーなどの中央の強豪と戦い続けた船橋の英雄で種牡馬としてステッペンウルフの同期の東京ダービー馬ヒカリオーソを出している。こうしてみると所々光るところはあるし奇跡というほどでも無い…と思うかもしれないがこちらから父の種付け頭数を見てほしい。ステッペンウルフ - JBISサーチ
…そう、ステッペンウルフはステップフォードにしか種付けをしておらず2024年現在、ゼロアワーは文字通り唯一無二の産駒なのである[3] 。競走馬はまず無事に産まれて事故も無く育つかどうかがわからないし能力や体質的な問題でデビューすらできないかもしれない事を考えれば凄い事であると分かるだろう。他に初年度産駒僅か1頭で重賞を勝った種牡馬は北海道三冠馬クラキンコを出したクラキングオー[4]位しかいない。
誕生〜2歳(2024年)
2022年2月4日に日高町の新生ファームに母の初仔として生まれ、そのまま牧場の所有馬となり門別競馬場の佐々木国明厩舎に入厩。4月11日の能力試験を800m49.9という好タイムを出して合格した。
デビュー戦にはJRA認定新馬戦(新種牡馬限定)を選択し、逃げて上がり最速を繰り出してソルジャーフィルド[5]に8馬身差を付けて圧勝する。この勝利によりステッペンウルフは2024年デビュー種牡馬の産駒初勝利を一番乗りで手に入れた。
孝行娘の快進撃
この快勝で自信を持ったのか陣営は牡馬混合重賞の栄冠賞に出走させる。ここでは勝ちっぷりを評価されたか認定OP1、2着のベラジオゼロとウィルオレオールに続く3番人気に支持されるが2頭に差されての3着。とはいえ牝馬の中ではトップであり力は示した。続いて牝馬限定の重賞リリーカップに出走するがここでは距離短縮が合わなかったのか直線伸び切らず5着に敗れてしまう。
しかし陣営は重賞勝利を諦めず、ゼロアワーを牝馬限定重賞フルールカップに出走させる。ここにはリリーカップの上位馬(勝ち馬リオンダリーナは除く)や認定OP3着のレディーティアラなどがいたが2番手に付けて先行すると最後方から突っ込んできたトレヴェナを振り切り重賞初勝利。この勝利によりステッペンウルフは2024年デビュー種牡馬の中で最初に重賞勝利を飾った。
陣営はその勢いに乗ってゼロアワーを牝馬重賞フローラルカップに出走させ、サッポロクラシックカップ勝ち馬イイデマイヒメや認定OPの上位馬を相手に2番手追走から上がり最速の脚を繰り出し6馬身差圧勝。重賞2連勝を果たした。
陣営は更に牝馬重賞ブロッサムカップに出走を決める。ここにはフルールカップで勝負付けが済んだ馬と条件戦レベルの馬しかいなかったのもあって他馬より斤量が重いにも拘らず先行策から上がり最速を出して4馬身差圧勝。重賞3連勝を達成した。
ブロッサムカップの後陣営は移籍を決断。川崎の高月賢一厩舎[6]に移籍する事となった。
当初は一つ使う予定だったが調整が間に合わず回避、年末の東京2歳優駿牝馬に直行することとなった。
ここには無敗でローレル賞を勝ったウィルシャインやエーデルワイス賞2着のエイシンマジョリカなどの門別南関重賞クラスがおり、移籍初戦でもあったが1番人気に支持される。
しかしレースではゲートでつんのめって出遅れてしまい、そこから内側を先行して直線で大外一気で勝負をするも内側を突いてきたローレル賞3着馬のプラウドフレールを捉えきれず2着に敗れてしまう。しかし上がり3Fでは0.2秒の差しか無くエイシンマジョリカなどのの実力馬に2馬身差以上つけていたので負けて強しと言える内容だった。
血統表
ステッペンウルフ 2016 栗毛 |
*サウスヴィグラス 1996 栗毛 |
*エンドスウィープ | *フォーティナイナー |
Broom Dance | |||
*ダーケストスター | Star de Naskra | ||
Minnie Riperton | |||
ディープキッス 2005 鹿毛 |
アグネスタキオン | *サンデーサイレンス | |
アグネスフローラ | |||
メジロカンムリ | *バドスール | ||
メジロクラウン | |||
ステップフォード 2018 鹿毛 FNo.2-f |
フリオーソ 2004 栗毛 |
*ブライアンズタイム | Roberto |
Kelley's Day | |||
*ファーザ | Mr. Prospector | ||
Baya | |||
シャンハイロック 2008 黒鹿毛 |
*ロックオブジブラルタル | *デインヒル | |
Offshore Boom | |||
*ニシノローズ | Storm Cat | ||
Barmistress |
クロス:Mr. Prospector 5×4(9.38%)
関連リンク
関連項目
脚注
- *祖母にエリザベス女王杯2着のメジロカンムリがいる。
- *他にもグリードパルフェやヤマショウブラックを条件戦やフリオーソメモリアルで倒し、羽田盃では後にJBCクラシックを勝つミューチャリーと対戦している。
- *スタッドブックによると2024年は4頭に種付けをしている。全頭5月以降の種付けであることを考えるとゼロアワーの調子の良さを見て種付けしたのかもしれない。
- *マルゼンスキーの直系でもあり、後継種牡馬にクラグオー。
- *後に門別の2歳重賞で2回2着、またJBC2歳優駿を勝利した有力馬
- *川崎生え抜きヴァケーションで2019年の全日本2歳優駿を勝ち、6年連続で川崎のリーディングトレーナーになった名伯楽である。
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アドマイヤズーム
- アドマイヤデイトナ
- アメリカンビキニ
- アルマヴェローチェ
- エリキング
- エンブロイダリー
- クラスペディア(競走馬)
- クロワデュノール
- ゴージャス(競走馬)
- サトノシャイニング
- ソヴリンティ
- テリオスララ
- ナチュラルライズ
- ハッピーマン
- パンジャタワー
- ビップデイジー
- ピコチャンブラック
- ファウストラーゼン
- ミュージアムマイル(競走馬)
- ミリアッドラヴ
- ルクソールカフェ
- ヴァンディヴェール
▶もっと見る
- 1
- 0pt