ソニック・ザ・ムービーとは、ゲーム作品「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」を基にした実写映画である。
概要
ソニック・ザ・ムービー SONIC THE HEDGEHOG |
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基本情報 | |
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原作 | 『ソニックシリーズ』 中裕司 大島直人 安原広和 |
監督 | ジェフ・ファウラー |
脚本 | パトリック・ケイシー ジョシュ・ミラー オーレン・ウジエル |
音楽 | ジャンキーXL |
製作 | ニール・H・モリッツ 伊藤武志 ミエ・オオニシ トオル・ナカハラ |
配給 | パラマウント映画(米国) 東和ピクチャーズ(日本) |
公開 | 2020年2月14日(米国) 2020年6月26日(日本) |
上映時間 | 99分 |
映画テンプレート |
「GODZZILA」「名探偵ピカチュウ」といったレジェンダリー・ピクチャーズなどによる日本発キャラクターを用いたハリウッド実写化作品の流れに、「トランスフォーマー」シリーズの配給であるパラマウント映画が乗った形で製作される実写作品。バレンタインデーの2020年2月14日全米公開。同年5月19日にはブルーレイ/デジタル配信もリリースされた。日本では同年3月27日に公開される予定であったが、新型コロナウィルス感染症の流行に伴い映画館での公開が困難になったため、ソニックの誕生日(6月23日)と同じ週である6月26日に公開が延期された。
製作担当に「ワイルド・スピード」シリーズ生みの親であるニール・H・モリッツや「ルパン三世 THE FIRST」の伊藤武志を迎え、監督は「かいじゅうたちのいるところ」でアニメーターとして参加、本作が劇場監督デビューとなるジェフ・ファウラー。音楽は「ターミネーター:ニュー・フェイト」のジャンキーXLが担当する。さらに、後述のソニックのリデザインには、長年ソニックのアメコミシリーズの作画を担当し、近年では「ソニックマニア」のオープニングアニメなどソニックの公式作品のアニメーターとしても活動することが多くなったソニックに造詣の深いアーティストのタイソン・ヘッセが起用された。
発表当初から特にソニックのキャラデザで話題を呼んだ作品。ソニックと地球出身の刑事であるトムとの交流がメインという、プロデューサー繋がりのワイスピシリーズを髣髴とさせるバディ系作品。他にも、ジム・キャリーがドクター・ロボトニック(国内でいうDr.エッグマン)役を担当。彼にとっては珍しいヴィラン役であり、エッグマンのビジュアルへのオリジンや、主演のジェームス・マースデン演じるトムとソニックとの攻防に注目。
登場人物
- ソニック・ザ・ヘッジホッグ 声:ベン・シュワルツ/中川大志(ベビーソニック:ベンジャミン・ヴァリック/寺嶋眞秀)
主人公のハリネズミ。超音速で走れるスーパーパワーの持ち主だが、そのパワーを狙うものに追われ、逃げるためにリングによるワープで様々な惑星を転々としていた。そうしてたどり着いた地球の田舎町グリーンヒルズは平和で、ソニックをねらうものはいないため人間に知られないように地球での生活を長いことエンジョイしていたが、人から隠れているため友達はできず寂しい思いもしていた。ところがふとしたきっかけで存在が政府やロボトニックにバレてしまい、さらに「安全なキノコの星」に逃げるためのリングも手違いでサンフランシスコに落としてしまったため、密かに気に入っていた人間であるトムに助けを求め、逃避行を始める。 - トム・ウォシャウスキー 演:ジェームズ・マースデン 声:中村悠一
もうひとりの主人公。平和な田舎町グリーンヒルズの警察官。動物にも優しく(ゴミを漁るアライグマは除く)ソニックからも気に入られていて好物のドーナツから「ドーナツ・キング」と呼ばれていた。街の皆から頼りにされているが、自身は田舎町を出て大都会で人の命を守る警察官になることを目標にしており、サンフランシスコ市警への内定を手に入れたが、ソニックを助けるために政府から送り込まれたロボトニックを殴り倒したことにより、ロボトニックに追われる身に。 - Dr.ロボトニック 演:ジム・キャリー 声:山寺宏一
ロボトニックとはクラシック時代におけるDr.エッグマンの英語版の呼称。IQ300の悪の天才科学者。ドローン研究の第一人者であり、オーパーツじみた様々なメカを作って所有している。プログラム通りに動く機械と比べて、間抜けで自分勝手な人間のことは見下している。政府からの依頼で調査した結果ソニックの存在を突き止め、その無限のパワーを手にするべくソニックを付け狙う。 - マディ・ウォシャウスキー 演:ティカ・サンプター 声:井上麻里奈
トムの妻で動物に優しい獣医。ソニックからは「プレッツェル・クイーン」と呼ばれている。 - エージェント・ストーン 演:リー・マジドゥブ 声:濱野大輝
ロボトニック直属のエージェント。変人のロボトニックからはきつくあたられる事が多いが、彼の淹れるラテはロボトニックも認めるほど美味いらしい。 - ウェイド・ウィップル 演:アダム・パリー 声:吉田ウーロン太
トムの同僚の警察官。抜けているが根は善良で、トムを頼りにしている人の一人。 - レイチェル 演:ナターシャ・ロスウェル 声:斉藤こず恵
サンフランシスコに住むマディの姉。トムを毛嫌いしており、事あるごとにマディにトムと分かれるように迫る。 - ジョジョ 演:メロディ・ノシフォ・ニーマン 声:ふじたまみ
レイチェルの娘。履いている靴がぼろぼろになったソニックに新しい赤い靴をプレゼントした。 - ロングクロー 声:ドナ・ジェイ・ファルクス/石塚理恵
リアルなフクロウの女性で、ソニックの故郷の星にいるソニックの育ての親。幼いソニックにリングを託し、誰にも狙われない安全な星へワープするように言いつけた。
ソニックのデザインについて
概要でも少し触れたように、本作は公開前に特にソニックのデザインに関して物議を醸した作品である。このソニックのデザインの原作からの変更に対する評判はあまりいいものとはいえず、結局ファンからの批判に制作がが折れ公開前にソニックのデザインが「作り直し」されることになった。この項では公開前の紆余曲折について記載する。
遡ること2018年12月、IGN独占で本作の主人公であるソニックのシルエットを配したムービングポスターが公開された。
そこに現れたシルエットは、毛むくじゃらで、まるで人間のように細長くて筋肉のついたアスリート体型の手足、これまた人間の子供のような身体、頭のトゲの形だけいつものソニックという、「いつものソニックがいつものビジュアルで現実世界に現れる」という映画を期待していたファンにとっては衝撃的なビジュアルだった。この時点では目はよく見えないが、よく見ると緑色のビーズのような目が確認できる。
公開されたソニックの新しい見た目について、制作陣はIGNのインタビューに対してこう答えた。
制作陣はソニックを描くうえで、これまでの漫画のようなバージョンとは違い、より現実的なアプローチ(キックもアップデートされている)を取ることにした。CGキャラクターをいかに現実世界に溶け込ませるかということに関しては、制作陣は『テッド』を例に挙げている。
(中略)
ソニックの見た目をアップデートするうえで最も難しかったのはティザーポスターに描かれていない――ソニックの目だ。ゲームの中の彼は横顔だけを見せているケースが多いので、どのようにソニックの目を描くかについては苦労したという。
「目の決断に関しては、セガは完全にハッピーではないと思います。ですが、こういったものは、そうしないとかえって変になってしまうのです。でもすべてにおいて対話していますし、我々のゴールは、必要なものだけ変え、残りは忠実に再現することです」とミラー。「ピクサーキャラクターのようにはなりません。現実世界に溶け込ませるうえで、それが正しい見た目とは思えませんから」
(実写版のソニック映画のタイトルが『ソニック・ザ・ムービー』に決定!IGN独占でポスター画像を入手 - IGN Japanより)
この一連のティザー発表のうち、特に人間のような体型のソニックの姿と制作陣による「目の決断に関しては、セガは完全にハッピーではないと思います」という原作サイドの意思を軽視しているとも取れる発言は特に批判され、ファンからの否定的な意見だけではなく、原作第一作目の生みの親であるプログラマーの中裕司氏はファンの反応に触れソニックのデザイン変更に否定的なコメントを残し、またオリジナルのデザイナーである大島直人氏も「ソニックを実写にしてもハリネズミに寄せる必要はない」と否定的な意見を残した。
更にティザーポスター発表の一週間後には、映画の米公式ツイッターアカウントが#RespectTheLegs (脚をリスペクトせよ)というタグを付け、「映画版のソニックが『Can't a guy work out? Be Back Next Year ♡Sonic(筋トレしちゃいかんのか? また来年 ―ソニック)』と書かれた札を持ち、耳と手、そしてムキムキな脚のみを出している」というネタ画像を投稿。映画版ソニックの脚に対して批判していたファンを挑発しているとも取れる投稿にまたしてもファンの強い怒りを買ってしまった。後述の通り、現在このツイートは削除されている。
次なる動きがあったのは翌年の2019年3月。長いことソニックの姿はシルエットしか判明していない状態が続いていたが、マーケティング会社が映画版ソニックのグッズに用いられると推測されるアートワークなどの資料を流出させてしまった(参考:GIGAZINEの記事)。流出元のサイトはすぐに閲覧不可に設定され直したが、そのアートワーク類はインターネット上で拡散され、中裕司氏の目にも届きこのソニックの姿に強く否定的なツイートを投稿した。
そして2019年4月末日、ついに最初の予告編映像が公開され、ソニックの全身像(及びジム・キャリーのロボトニック姿など映画全体のビジュアル)が正式に初お披露目された。
(各種米公式アカウントの最初の予告は削除済みなので削除されてない日本のアカウントのものを引用)
肝心のソニックの姿はというと、人間的なアスリート体型はそのまま、顔は流出したマーケティング資料と大差なく、小さくて離れた目に手袋はしておらず手の毛だけ白くなっている、靴下も履いていない,三角の短い鼻、人間のような口と歯という原作のソニックとは似ても似つかない顔つきと姿だった。これに対するネット上の反応は言うまでもなく、Youtubeに公開された予告編には高評価よりも圧倒的に多くの低評価が付いた。ソニックがトムに見つかって驚く姿はネットミームと化し、このシーンを「描き直した」画像や動画も数多く投稿された。
その3日後の5月3日。度重なる批判についに制作サイドが折れ、ジェフ監督がソニックのデザインを変更することを約束するツイートを投稿。なお、デザインの変更に伴い全米公開日は当初予定されていた2019年11月8日から2020年2月14日に延期された。
そして2019年11月にはソニックのリデザインが完成し、「新」予告編が公開された。リデザインにおいて大きな役割を果たしたのは前述の通りこれまでもソニックに携わってきたアーティストのタイソン・ヘッセ氏である。なお、新予告解禁に伴い米公式の各種ソーシャルメディアでは以前のデザインのソニックが写っている予告類はすべて削除された。
新しいデザインのソニックは旧デザインと比べて圧倒的に原作の(モダン)ソニックに近くなっている。太くて比較的短いカートゥーンキャラクター的な腕と脚に大きな手足と白くて大きな手袋と赤い大きな靴、逆卵型の胴体とシルエットは完全に原作ソニックのものになっており、顔に関しても鼻は細長くなり、原作ソニックと同じくらい大きくなった目はつながっていないものの目と目の間の毛を白くすることによって遠目ではつながっているように見えるというリアリティと原作再現を両立したデザインになっている。新デザインのソニックと原作モダンソニックで大きく違うところといえばこの目の他に本来は肌色の腕が青い(CGアニメ「ソニックトゥーン」のソニックも同様に腕が青かった)ところくらいである。このデザインのソニックはファンに好意的に受け入れられ、米国における大ヒットへとつながった。
関連動画
関連リンク
関連項目
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