ソルテ(Sorte)とは、2010年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
父に似て5歳から本格化し、2016年の地方年度代表馬に輝いた、タイムパラドックスの代表産駒。
主な勝ち鞍
2012年:ハイセイコー記念(SⅡ)
2013年:ニューイヤーカップ(SⅢ)
2015年:川崎マイラーズ(SⅢ)、京成盃グランドマイラーズ(SⅢ)、サンタアニタトロフィー(SⅢ)、マイルグランプリ(SⅡ)、ゴールドカップ(SⅢ)
2016年:さきたま杯(JpnⅡ)、フジノウェーブ記念(SⅢ)
2017年:ゴールドカップ(SⅢ)
概要
父タイムパラドックス、母ヒノデモンテローザ、母父マルゼンスキーという血統。
父は6歳から覚醒して交流GⅠ5勝を挙げた晩成のダートの名馬。自身は晩成の中距離馬だったが、産駒は仕上がり早めで短距離に適応し、地方向けの*ブライアンズタイム後継としてそこそこ活躍した。ソルテは3年目の産駒。
母は名古屋で走り34戦7勝。2戦のみでどちらも惨敗したが地方所属のまま中央(平場の500万下)にも挑戦した。ソルテは第5仔。
母父は言わずと知れた「スーパーカー」。種牡馬としても活躍し、母父としての産駒にもライスシャワー、ウイニングチケット、メジロブライト、スペシャルウィーク、ボンネビルレコードなどがいる。
1歳下の全弟に、2017年のかきつばた記念を勝ったトウケイタイガーがいる。
2010年5月30日、新ひだか町の下村繁正牧場という、繁殖牝馬が2~3頭しかいない家族経営の小さな牧場で誕生。牧場時代は大人しく人の言うことを聞く利口な馬だったという。なお、下村牧場は2016年産を最後に生産から撤退、その後は引退馬の養老牧場をしているようだ。
オーナーは㈱フロンティア・キリー。中央でネコパンチなどを所有した桐谷茂オーナー(繊維会社「㈱キリー」代表)の地方用の名義である。
幸運を掴め
いまいち勝ちきれない日々
大井競馬場の寺田新太郎厩舎に入厩したソルテは、2012年9月17日、大井1200mの新馬戦にて山崎誠士を鞍上にデビュー。6頭立ての最低人気だったが、上がり最速タイで3着に好走する。
金子正彦に乗り替わり、続く同条件のはつかり特別で初勝利を挙げると、1600mに距離延長したはくたか特別ではまた10番人気の低評価だったが、大混戦の中で勝ち馬から0.1秒差の4着。
3戦1勝で重賞のハイセイコー記念(SⅡ)に参戦。ここも22.8倍の9番人気と評価は高くなかったが、前目の好位から進出し、直線一気に突き抜けて3馬身差で完勝。
これで勇躍全日本2歳優駿(JpnⅠ)に挑戦したが、ここでは好位を取れず、サマリーズの逃げ切り圧勝の後ろで中団のまま見せ場なく7着に終わった。
明け3歳は南関東三冠を目指して浦和のニューイヤーカップ(SⅢ)から始動。雪の残る不良馬場の中で3番手の好位を取ると、3角でもう先頭を捕まえて4角で抜け出すと、あとは後続をぶっちぎって9馬身差で圧勝。続く京浜盃(SⅡ)では内枠から好位で進め、直線で前を捕まえにかかったが、そこからジェネラルグラントにちぎられて4着に敗れた。
迎えた本番の羽田盃(SⅠ)では真島大輔に乗り替わり。6.6倍の3番人気に支持され、2番手で進めて直線抜け出しを図ったものの、そこで京浜盃2着のアウトジェネラルにあっさりかわされ4馬身差で2着。
2000mの東京ダービー(SⅠ)は距離が長いと見られたか、大外枠もあって5番人気。枠なりに中団の外でレースを進め、直線では3頭での激しい追い比べとなったが、外からインサイドザパークにかわされて3着。
中央勢相手のジャパンダートダービー(JpnⅠ)ではさすがに人気せず単勝万馬券の10番人気。3番手の好位から3角で先頭に立つ積極的なレースを見せたが、クリソライトには持ったままであっさりかわされて6着。3戦とも見せ場は作ったものの、惜しくもと言うには完敗という感じで終わった。
夏休みを挟み、秋は新たに和田譲治を迎えて初の古馬相手となるマイルグランプリ(SⅡ)から始動、先に抜け出したトーセンアドミラルを猛追したものの3着。続く1800mの勝島王冠(SⅢ)は見せ場なく6着に敗れ、以降は1600m以下に絞ることになった。
というわけで大晦日のおおとりオープンにて中団から上がり最速で差し切り快勝。4勝目を挙げて3歳を終えた。
続く4歳初戦の多摩川オープンも好位から抜け出して2馬身差で完勝。連勝で再び重賞戦線に乗りこんだが、ここからのソルテはシルコレ街道に突入してしまう。フジノウェーブ記念(SⅢ)はジェネラルグラントを上がり最速で追いかけたものの3/4馬身届かず2着。なにげに初めての1番人気に支持された船橋の柏の葉オープンはスマートジョーカーにアタマ差差しきられて2着。川崎マイラーズ(SⅢ)は逃げたサトノタイガーを2番手で追ったがそのまま3馬身ちぎられて2着。京成盃グランドマイラーズ(SⅢ)はトーセンアドミラルに1馬身半届かず2着。4戦連続2着であえなく和田騎手は降板となった。
しかし張田京に乗り替わったサンタアニタトロフィー(SⅢ)は見せ場なく10着に撃沈してしまう。
実力はあるのだが、脚質もいまいち定まらず、なかなか勝ちきれない馬。4歳夏までのソルテはそんな存在であった。
運命の相棒・吉原寛人
一休みして、秋はまたマイルグランプリ(SⅡ)から始動したソルテ。ここで彼は運命の相棒と出会う。所属は金沢だが日本全国を飛び回る男・吉原寛人である。ここは不良馬場の中で積極的にハナを狙いに行き、2番手で進めて4着。続くゴールドカップ(SⅢ)も逃げるリアライズリンクスを2番手で追走、そのまま直線で熾烈な叩き合いとなったがアタマ差振り切られて2着。
以降、1戦を除いて吉原が騎乗、今まで以上に積極的な先行策に活路を見出すことになった。デビュー当初は450kg程度だった馬体重がこの頃に500kgに到達、馬体が完成したことも大きかっただろう。
明けて5歳初戦は昨年勝利した多摩川オープン。単勝1.5倍の1番人気に支持されると逃げ馬の真後ろで進め、直線入口で抜け出すとあとはぶっちぎって5馬身差で圧勝。1年ぶりの勝利で連覇を飾る。
続くフジノウェーブ記念(SⅢ)は大外枠からポジションを取れず、終始後方のまま12着に撃沈してしまったが、吉原が黒船賞のために高知に行っていたので矢野貴之が代打騎乗した隅田川オープンを好位から押し切って快勝。この勝利を皮切りに、破竹の快進撃が始まる。
まずは吉原が戻っての川崎マイラーズ(SⅢ)を2番手追走から3角で持ったまま先頭に立って5馬身差で圧勝すると、続く京成盃グランドマイラーズ(SⅢ)も2番手追走から4角で持ったまま抜け出して独走、8馬身差で大圧勝。サンタアニタトロフィー(SⅢ)も全く同じ展開で2馬身半差で完勝すると、夏休みを挟んでのマイルグランプリ(SⅡ)はハナを奪って悠々と後続を突き放し3馬身半差で楽勝。年末のゴールドカップ(SⅢ)は外枠から押してハナを取りに行き、後続を歯牙にもかけず5馬身差で余裕綽々の勝利。
怒濤の6連勝、重賞5連勝で文句なく南関東最強マイラーの地位に就いた。なおこの年のNARグランプリ最優秀短距離馬は交流重賞2着2回のポアゾンブラック(北海道)に持っていかれた。残念。
いざ掴みとれ幸運を
明け6歳初戦のフジノウェーブ記念(SⅢ)も番手から3角先頭の黄金パターンで危なげなく2馬身半差で完勝し、重賞6連勝を飾ったソルテは、満を持してJDD以来の3年ぶりの交流重賞に参戦。
その舞台は、なんといきなりかしわ記念(JpnⅠ)であった。フェブラリーSワンツーの*モーニンとノンコノユメに、ここ3戦不調とはいえGⅠ級5勝のコパノリッキー、さらにサウンドトゥルーとベストウォーリアというJpnⅠに相応しい面子が揃い、いくら南関東では敵無しとはいえこの中央勢相手では……と30.0倍の6番人気に留まった。しかし好スタートから積極的に逃げを打つと、淀みのないペースでレースを引っぱり、4角で復活のコパノリッキーに捕まって3馬身ちぎられたものの食い下がり、ベストウォーリア以下の中央勢はそのまま寄せ付けず2着。破竹の勢いは交流重賞でも十二分に通用することを示す。
というわけで向かったのはさきたま杯(JpnⅡ)。ここも中央勢4頭全てJpnⅠ勝ち馬という顔ぶれとなったが、前走の内容からベストウォーリアと人気を分け合い、堂々2番人気に支持される。
そしてレースはJBCスプリント勝ち馬コーリンベリーを制して逃げを打つと、コーリンベリーは4角で力尽き、ベストウォーリアがじわりと迫ってくる。しかし余裕の手応えで直線を向いたソルテは、吉原騎手の追い出しに応えてベストウォーリアを悠々と振り切り、1馬身半差をつけて完勝。並み居る中央のGⅠ級ホースを返り討ちにして、見事ダートグレードウィナーとなった。
これでJBCスプリントを大目標に定め、夏休みを挟んで秋はさきたま杯と同条件のオーバルスプリント(JpnⅢ)から始動。中央勢を抑えて堂々1番人気に支持されたが、ここはトップハンデ57kgに加えて終始レガルスイに絡まれたのも響き、前年覇者レーザーバレットに差し切られて2着。
迎えた本番のJBCスプリント(JpnⅠ)は、交流重賞がないので中央勢は誰も経験がない川崎1400mという特殊なコースもあってか、ベストウォーリアに次ぐ2番人気に支持された。実はソルテも川崎1400を走ったことは一度もないんだけどなあ。ここでももちろんハナを奪いにいったが、内のダノンレジェンドに制されて2番手追走になると、あえなく4角で力尽き6着撃沈。無念。
結局この年は地方勢で交流重賞を勝ったのはソルテと2歳馬ローズジュレップだけだったため、ソルテは堂々のNARグランプリ年度代表馬、および最優秀4歳以上牡馬と最優秀短距離馬の三冠に輝いた。
その後
明け7歳もフジノウェーブ記念(SⅢ)から始動したソルテだったが、断然人気に支持されながら直線力尽きてまさかの10着に撃沈。しかもこの後怪我で長めの休養となってしまう。
9ヶ月以上休み、ゴールドカップ(SⅡ)で復帰したソルテは、いつも通りの2番手追走から抜け出す堂々たる競馬で、ケイアイレオーネとキタサンミカヅキの猛追を凌ぎきり勝利。重賞10勝目を挙げて健在をアピールした。
しかし8歳となった2018年も現役続行したものの、また怪我があったようで結局この年はレースに出走することなく、10月に現役引退が決定。
12月に大井で引退式が行われたが、そこに桐谷オーナーの姿はなかった。11月に急逝してしまったのである。引退式で吉原騎手は泣きじゃくりながら「今日、オーナーと一緒にこの日を迎えることが出来ればよかったんですけど…」「ソルテと一緒に夢を見れたことが一生の宝物です」と語り、ソルテは亡きオーナーへの最後の挨拶だったのか、馬場入りの途中に大きく雄叫びをあげていた。
引退後は2019年から新冠町のクラックステーブルで種牡馬入り。2021年からは太平洋ナショナルスタッドに移って種牡馬を続けている。……のだが、毎年1~3頭に種付けしているものの、2023年までの5年間でのべ11頭に種付けをして受胎0。父タイムパラドックスは2022年に死亡してしまい、せっかく種牡馬入りしたのに父に直孫の姿を見せることができなかった。
2024年、6年目にしてついに1頭受胎。2025年に待望の産駒ローザレーヌの2025が誕生した。太平洋ナショナルスタッドに移ってからの種付け相手は全てスタッドの代表の所有する牝馬で、ローザレーヌもわざわざソルテに種付けするために余所の牧場から買ってきた牝馬なので、現オーナーの執念がようやく実った形だろう。無事に産駒がデビューする日を楽しみにしたいところである。
余談
- 2015年のはじめ、桐谷オーナーの夢枕に白蛇が現れた。オーナーがこれを受けて東京の蛇窪神社にお参りして祈願すると、そこからソルテの怒濤の連勝街道が始まったという。ソルテの引退時には蛇窪神社の公式Twitterがコメントを寄せていた
。 - 2024年にフリオーソとロードバリオスが種牡馬引退したことにより、2025年からはソルテが唯一の*ブライアンズタイム系現役種牡馬になっている。90年代に一時代を築いた大種牡馬の直系最後の種牡馬になってしまうのだろうか。
血統表
| タイムパラドックス 1998 栗毛 |
*ブライアンズタイム 1985 黒鹿毛 |
Roberto | Hail to Reason |
| Bramalea | |||
| Kelley's Day | Graustark | ||
| Golden Trail | |||
| *ジョリーザザ 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
| Lady Rebecca | |||
| Bold Lady | *ボールドラツド | ||
| Tredam | |||
| ヒノデモンテローザ 1996 鹿毛 FNo.13-c |
マルゼンスキー 1974 鹿毛 |
Nijinsky II | Northern Dancer |
| Flaming Page | |||
| *シル | Buckpasser | ||
| Quill | |||
| シルビアワン 1986 鹿毛 |
*キャタオラ | Never Bend | |
| Silent Beauty | |||
| ヒメアサヒ | *スノッブ | ||
| *タボラ |
クロス:Northern Dancer 5×4(9.38%)
関連動画
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関連項目
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- アユサン
- インカンテーション
- ウィルテイクチャージ
- エピファネイア
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- キズナII
- キタサンミカヅキ
- クラグオー
- クリソライト
- クワイトファイン
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