ソードフィッシュとは、フェアリーアビエーションが開発したイギリス軍の艦上雷撃機である。
曖昧さ回避
概要
複葉式・布張りの機体・開放式のコクピットと、全金属単葉機が当たり前となりつつあった当時からすれば古臭い設計の機体ではあったが、それ故単葉の「新型」にはない強みも幾つか持っており、第二次世界大戦でも一線で活躍した機体である。
例えば速度に関してはソードフィッシュは巡航速度は160km/h程度・最高速度でも220km/h程度しか無いが、これは「哨戒機」としてみれば潜水艦を捜索するのには却って適した性能とも言える。また低速な機体なので、操作性の良さと相まってパイロットへの負担が少なく長時間の滞空でもパイロットへの負担が少ないという特徴もある。
ちなみに全金属製が主流になりつつあった当時でなぜ「布張り・複葉」という良く言えば枯れて安定した・悪く言えば古臭い設計を採用したかと言うと、そりゃ英国面の申し子だから仕方がない…というわけではなく「艦上機」という陸上で発着させる飛行機よりもはるかに過酷な環境で使用する機体なので「多少古くても安心・確実な手法を選んだ」という側面が強いためと言われている。
例えば複葉式の主翼は滑走距離を短くせざるを得ない艦上機においては、翼面積を大きく取れる=大きな揚力を生み出せるということで発進に都合いいし、布張りの機体は修復が容易でしかも軽量なので重量制限のある船に積むには有利とも言える。
元をたどればギリシア海軍向けに開発された、輸出用の機体をベースとした雷撃機である。
古臭さ故に「手強い」妖精
ソードフィッシュは上記の通り複葉・布張りと古めかしい設計の機体であるが、それ故「新型」の全金属単葉機には真似のできない芸当が幾つかできる故に敵に回すと意外なほど手強い相手だったりするのだ。
例えば…
飛行速度が「遅すぎて」追尾できない
前述のとおりソードフィッシュは巡航速度が160km/h程度、最高速度でも220km/h程度とちょっとした高速列車程度の速度しか出ない。全金属の単葉機が400だの500だのとスピード自慢を競い合っていた当時からすれば論外レベルで遅い。
でも言い方を変えればこんな低速でも涼しい顔して飛んでいられる、ということでもある。
そのためソードフィッシュを撃墜しようと接近してきたドイツ軍の単葉の「近代的な」高性能戦闘機が…
なんて事態を散々起こしていたとか何とか。
世の中敵機が
- 「速すぎて追いつけない」(MiG-25、SR-71)
- 「急上昇or急降下自慢で振り切られてしまった」(F-86)
- 「とんでもねぇ高高度を飛んでいて上がれない」(U-2)
- 「機動性自慢で狙いを付けられない」
- 「重装甲で撃っても撃墜できなかった」(A-10)
- 「そもそも防御武装が充実しすぎていて近寄れない」(B-29)
といった例はいくらでもあるけれど、「遅すぎて追尾できない」なんてのは世界中探してもこのソードフィッシュを置いて他に無いだろう。
機銃で撃っても即座に墜落するとは限らない
ソードフィッシュは前述のとおり布張り(金属製フレームに布を張っている)の機体である。このため、エンジンや燃料タンク、或いはパイロットといった「急所」に当たらない限り、撃っても布に穴が開くだけで飛行性能にそれほど支障はないというとんでもない特徴を持っていた。
しかもインテグラルタンクなにそれ美味しいの、つまり主翼に燃料が入っていないので(主翼に弾を当てても)そう簡単には燃えない。まあドイツでもMe323という似たような例はあるが。
その上、万が一まかり間違って機体に火がついたとしても、革手袋で叩けば鎮火できる。
…ここまで来るともう鳥山明のギャグ漫画や、ディズニー映画に出てきそうな飛行機である。漫画の住人、特にギャグ漫画の世界の住人が実在したらどれほど現実世界の住人にとって手強い相手なのかを推測するための一つの指標になるかもしれない。
ストリングバッグ
ソードフィッシュに付けられた、現場での愛称である。
意味は「なんでも入る買い物カゴ」。ソードフィッシュのあまりの使い勝手の良さから命名された。
何しろ操作性はいいし打たれ強い(物理)、しかも哨戒・雷撃・対艦攻撃と、海上での任務ならなんでも使える。
そんなソードフィッシュの使い勝手のよさを一言で表した愛称だ。
後継機(らしい)・フェアリーアルバコア?そんなものは知らんな…
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