ゾス・サイラ(Zoth Syra)とは、C・ホール・トムスンが寝取られ怪奇小説『緑の深淵の落とし子』で創造した生物であり、現在ではクトゥルフ神話生物のひとつとなっている。
この項目では彼女の支配する種族全般について解説する。
概要
緑の深淵の民は名前にハイフンが付かない(例えば Zoth-Syra/ゾス=サイラという表記は正式なものではない)。
また、作中の呼称は個体名なのか地位名なのか種族名なのかはっきりしないものばかりなのが特徴。
- 緑の深淵の落とし子 (Spawn of the Green Abyss)
ゾス・サイラが支配する種族のクトゥルフ神話TRPGにおける呼称。クトゥルフ神話TRPGでの分類は独立種族。[1]。作中ではヨス・カラ以外直接の描写はない。
作中での呼称は〈深淵の民〉〈淵みの民〉 (the People of Abyss)、〈深淵の生物〉 (the creature of the Abyss)など。
彼らの海底国家は〈緑の深淵〉(The Green Abyss)、または〈緑の深淵の帝国〉(The Empire of the Green Abyss)と呼ばれる。
- ゾス・サイラ
緑の深淵の落とし子達の支配者であり〈緑の深淵の女王〉(The Queen of the Green Abyss)と呼ばれる。語り手の舅が直接遭遇しており、歯擦音の目立つ声が特徴。TRPGでは種族中の特別に強力な個体だという解釈をしている。そのため、旧支配者(グレート・オールド・ワン)や神格ではないものの、強力な「唯一の存在」として分類されている。
この作品では、ギリシア神話のセイレーン/セイレーネス(Sirens)の正体は彼女の種族であるという設定で、凄まじく強力な催眠性の歌を発して人間を支配できる。作中では人間との間に仔をなしていたが、ほとんどの犠牲者は単に餌食になっているものと思われる。
その他に船の航海機器を狂わせる霧や人間(ヨス・ザラ)に鰓を生やす、ヨス・ザラを外傷なしで殺す描写がなされていたが、彼女個人の能力によるものかどうかは不明。
- ヨス・カラ (Yoth Kala)
作中で語り手が実際に遭遇した怪物。男性格。この小説を寝取られものにしてしまった元凶。
呪唱の他にも人語を流暢に喋っていた。
TRPGの最新版モンスター事典[2]では、ゾス・サイラと同格の存在、つまり女王と王だと解釈されている。
彼の描写を見る限り、彼らは何らかの(恐らく魔術的な)原因により海から出てくることはできないが、封印が無効化されれば地上での活動に支障はないことが分かる。
この小説は封印を破り地上侵略を目指すゾス・サイラの計画に翻弄される人々の物語である。
- ヨス・ザラ/ヨス・ザイラ (Yoth Zara)
ゾス・サイラの歌の呪縛を受け、彼女の伴侶として利用されることになった地上の人間。作中では語り手の舅であるラザルス・ジョン・ヒース (Lazarus John Heath)がこう呼ばれていた。〈女帝の選び給いし者〉(the Chosen One)とも。ヨス・ザラが種族の別名なのか配偶者だけの名前なのかちょっと曖昧ではある。
歌の呪縛が強くなると深きものどものような半魚人顔と細かな鱗、鰓が目立つようになる。
ヨス・カラの姿は粘着質の塊で、擬足を使って移動する。また不定形モンスターか…
他の掃いて捨てるほどいる不定形怪物との外見的な違いは、腐敗したような青い体と大きな口、その上に感覚器の役割をする触手が一本生え、その先に目がついている点があげられる。
TRPGでは、種族全員が体のサイズ以外は同じ姿を持ち、催眠性の歌を使うと設定されている。
初出時のイラストは『クトゥルー 13』に掲載されているが「※挿絵はイメージです」状態なので、緑の深淵の落とし子達の描写を直接想像することはできない。
この挿絵を描いたボリス・ドルゴフ(Boris Dolgov、ドルゴヴとも)は、後述のトムスン氏と同じくらい詳細不明な人物として知られている。結構上手なので別イラストレーターのペンネームかも?
登場作品
英語題名:
日本語訳題名:
- 『緑の深淵の落とし子』
- 『深淵の王者』
他の作者表記としてはC・ホール・トンプソン
やカール・H・トンプソン
がある。
著者のトムスン(トンプソン)はこの後に『The Will of Claude Ashur』(1947年)を発表し、その中でミスカトニック大学、ネクロノミコンといったクトゥルフ神話用語に言及していた。
オーガスト・ダーレスはトンプソンのエージェントへ書簡を通して苦情を送ったのだが、これがダーレスの「圧力」にあたるのかどうかは議論の余地があるところだ。だってこの書簡1969年の日付
だし、そもそもトムスンさんの著作、非クトゥルフ神話作品の『蒼白き犯罪者/The Pale Criminal』『粘土(呪いの系譜)/Clay』(1948年、彼の最後の作品)を含めて全部で4作しかないし…氏の詳細な経歴自体よく分かんないし…
はっきり言えるのは、『~Claude Ashur』の初出時
にリー・ブラウン・コイ(コアイ)
が描いた挿絵がむっちゃこあい! という事である。
関連項目
脚注
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