タツノオトシゴとは、トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属に分類される魚、またはその総称である。
概要
全長10cm。細長い体と筒状の口が特徴で、一般的な魚には似ても似つかない独特な形状をしている。体は体輪と呼ばれる鱗が変化した硬い骨盤で覆われており、凹凸がある。熱帯から温帯にかけての浅い海に生息しており、泳ぐ力が弱いため、海藻やサンゴなどに巻きつけて体を固定する。日本では大体どこの海でも見ることができる。
タツノオトシゴの仲間は全部で50種類程度知られており、オオウミウマなど最大で全長が30cmを超える種もいる。
繁殖形態
魚と思えないような見た目をしているタツノオトシゴだが繁殖形態もまた魚と思えない形態をしている。一般的な魚ならば卵を産むはずだがタツノオトシゴの場合、親と同じ姿をした子供を産むのである。それもオスが。
タツノオトシゴの繁殖はまずペアのメスがオスの腹部にある育児嚢と呼ばれる袋状になった部位に卵を産み付けそこで受精が行われる。その後育児嚢の内部が卵一つ一つを包むように変化し、そこでは卵へ栄養の供給と卵からの老廃物の除去が行われ、まさに「妊娠」状態となる。こうして父親のお腹の中で大切に育てられた卵はすくすくと成長し孵化までする。いよいよ「出産」の段階になると父親は体をくねらせ子供たちが一斉に体外へ飛び出す。この体をくねらせる行動から「出産」の際に「陣痛」が起きているのではないか?とも言われている。
なお、ここまでタツノオトシゴが胎生であるかのような説明を行ったがメスが産むのは卵であるため繁殖形態は卵生に分類される。
それではなぜタツノオトシゴはオスが「妊娠」するかのような他に類を見ない進化をしたのだろうか?
未だに謎は多いもののタツノオトシゴに近縁な種の繁殖形態から推測すると、元々オスの体の表面に卵を産み付けていただけだったものが卵の保護能力を高めるため次第にオスの体が卵を覆うように発達し「妊娠」と言えるような形態にまで進化したと考えられる。
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