タブレット閉塞とは、鉄道における運行システムのことである。かつては全国の鉄道で見られたが、電気・電子による閉塞が一般化した現在では珍しい存在となっている。
概要
鉄道を運行するにあたって、列車間の安全を確保するための方法として、駅間などの一定の区切った区間に列車が存在する場合、他の列車は進入できないようにする必要がある。これが「閉塞」である。
タブレットはいわば通行票(通行証)であり、これを持っていない列車は閉塞された区間に進入することは出来ない。簡単に単線のA駅からB駅までの一駅だけの路線があったと仮定して言えば、タブレットを金属製の輪で作った器具に収め、これをA駅の駅員が列車の運転士または機関士に渡すことで列車が閉塞区間に進入することを許され、次の駅B駅に発車する。対向の列車はタブレットを持っていないため閉塞区間に入れず、B駅で待機することになる。タブレットを持った列車はB駅につくと運転士または機関士がB駅の駅員にタブレットを渡す。すると駅員は確認の後そのタブレットを今度は対向列車の運転士または機関士に渡す。すると、A駅からB駅の間には列車がいないことが確認され、対向列車は安全にA駅へ向かって閉塞区間に進入することを許可され、出発することになる。
信号システムが電気化されていない時代では、一般的にこの方法の応用がされて安全運行が図られていた。実際には、通票器と呼ばれる機械にタブレットを鍵のようにはめることによって、別の列車に渡すタブレットが排出され、閉塞区間に列車がいる間は、別の列車が進入できない仕組みであった。
よく、その金属の輪自体をタブレットと誤解している人がいるが、実際は金属の輪に取り付けられた小さな収納容器にタブレットが収められている。金属の輪は駅員と運転士または機関士との間の受け渡しを容易にするためのものである。各駅停車の場合は直接渡し合えばいいが、通過する優等列車や貨物列車の場合、走りながら受け渡しをすることがある。最初は運転士または機関士が直接腕を伸ばして駅員から受け取る、あるいは渡すという方法が取られていたが、速度が上がってくると危険なため、列車側にタブレットキャッチャーという腕木を設けて駅の設備にブラ下げられたタブレットを受け取る方式が一般化した。そして、駅に渡す方のタブレットは別途駅のホームに受け取り器が用意されており、運転士または機関士はそれに走り去りながら引っ掛けていくのである。
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