ダイナソアとは
- 英語の単語「DINOSAUR」(日本語で言う「恐竜」)をカタカナで表記したもの。他に「ダイナソー」、「ディノサウル」などと表記されることもある。
- アメリカで開発されていた宇宙機「X-20 Dyna-Soar」。→ X-20
- 日本ファルコムより発売されたRPG、「ダイナソア」。英語表記は「DINOSAUR」であるため上記の1.に由来すると思われる。Windows版のタイトルは『ダイナソア~リザレクション~』。このページで詳述する。
概要
1990年12月21日にPC-8801版が発売。
後にPC-9801とFM-TOWNSにも移植された。
平和な世界に行き場を失った傭兵の男が白い蝶に導かれる様にして、謎に満ちた「ザムハン」と呼ばれる地へやって来る所から物語は始まる。
本作はフィールドやダンジョンの移動が一人称視点の疑似3D画面になっており、ランダムエンカウントによって敵に出会うとターン制のコマンドバトルとなる。
初期は主人公一人だけで、物語を進める事で仲間が増えていく。パーティは最大五人だが、物語の進行によってその数は増減する。
ファルコムのゲームとしては珍しい3Dダンジョン型RPGで、システム自体はそこまで目新しいものでもないがストーリーと世界観は実に異質。
敵も味方も苦い過去を背負ったどこかしら陰のある面々ばかりで、物語もヒロイックファンタジーとは到底言い難い重めの展開で進んでいく。
タロットカードのようなデザインの顔グラフィック、ややリアル寄りな造形のキャラ、暗めの色彩、翻訳物のファンタジーのような文体、名は体を現す技・魔法名、哀しい曲やどこかしら切ない曲の多いBGMなど、
全体的にダークな作風はイースやドラゴンスレイヤー系列の作品に比べると異彩を放っていた。
エンカウント率等のシステム面に粗が目立ったことと広く受けにくい作風から大ヒットとはならなかったものの、作風に魅了された熱心なファンも存在する。
そういったファンの声を受けてか、2002年12月29日にWindowsでのリメイク版『ダイナソア~リザレクション~』が発売された。
そちらはシステム面が大幅に改善され格段に遊びやすくなったものの、BGMのアレンジの受けが悪く評価が分かれる作品になっている。
とはいえ、追加された第三の結末、システム改善による快適な操作性などこちらならではの良さも多く、難易度もオリジナルより下がっているので十分楽しめる作品となっている。
ちなみにリメイク前のオリジナル版も、PC-8801やPC-9801などの古い機種のパソコンゲームをエミュレーションによってWINDOWSで遊べる形で提供してくれるウェブサイト『PROJECT EGG』で配信されているので、今でも遊ぶのは容易。
システム概要
移動・キャンプの基礎
基本的にはオーソドックスな3DダンジョンRPG。
街・森・迷宮・塔から城に至るまで全て3Dダンジョンで構成されている。
また、移動時は十字路や開けている場所の方がエンカウント率が高く、行き止まりでは少ないという変わったシステムを採用している。
アイテムの『ランプ』・魔法の『空間察知』を使うことでマップを確認できるが、序盤のうちは魔法は無くお金も少ないのでマッピングをしておいた方が楽だろう。
移動中は休憩することが出来、これを使うことでHP・TPを回復できる。
連続で使うことも出来るのであまり倹約せずにTPを使うことが出来ると思いがちだが、TPを使い干していると回復が遅れ、また休憩中に敵に襲われることもあるので過信は禁物。
早めに休むようにし、無理な連続使用は避けること。
後にキャンプ中の妨害を防ぐ『守護方陣』『NOCTURNE』を覚えれば安心して休めるようになり、プレイが格段に楽になる。
戦闘
移動中のエンカウントで戦闘が始まる。
エンカウントは向き変更でも起こるので注意。
敵は1~9くらいの数で登場する。
戦闘中に取れる行動は武器・技or魔法・アイテム・武器変更・退却。
武器変更は武器による技術(剣技・拳技・弓技など)を使用する際に必要になる。
オリジナル版では前列・後列による能力や敵のアルゴリズムの違いは無かったが、後述のリメイク版では変更されている。
技術
登場キャラクターは武器による通常攻撃以外に、技術を駆使して戦う事が出来る。
技術はテクニカルポイント(TP)と呼ばれるポイントを消費して発動する。
技術の系統には剣、拳、魔法、僧魔法、歌がある。
キャラクターのレベルは単純に敵を倒すだけで、経験値が増えレベルが上昇するが、技術レベルは技術経験値を積まないと上昇しない。
技術経験値の溜まり方は系統によって異なる。剣や拳の技術はそれらの武器を使用して敵を一体倒す毎に技術経験値が増える。魔法や歌の場合は戦闘中に使用する事で増えていく。
技術レベルが一定値に達すると新しい技や魔法を覚える。
100回使うごとにレベルが1つ上がる計算になるが、武器系列は非常に面倒なのが難点。
武器は純粋な戦士である主人公のアッシュの剣技のみに特化させ、他のメンバーは歌や魔法に専念させた方が楽だろう。
技術継承
キャラクター毎に装備出来る武器が固定されている様に、技術も基本的にはキャラクターによって使用出来る技術の系統が固定されている。
しかし、宿屋に泊まった際キャラクターのステータスが一定の数値に達する等、条件を満たしていればパーティ内で技術を教え合う事が出来る。教える側と教わる側の組み合わせは固定されている。
この際、専用の会話が見られるのも嬉しい所。
本作ではフィールド上で休憩する事で体力とTPを回復出来る為、お金を払って宿屋に泊まる必要はない様に思えるが、一人のキャラクターに複数系統の技術を覚えさせるには宿屋の利用が必要になって来る。
が、習得できるのは後半な上、先程挙げたようにこのゲームのシステムでは技術のレベル上げは非常に手間がかかるので、徹底したレベル上げを行わない場合は一芸タイプで進めた方がいい。
裏シナリオ
物語の序盤である事をすると、裏シナリオと呼ばれるモードになる。
ノーヒントな上普通に進めていてはまず辿り着けない難解な条件なので、裏シナリオを目指す場合は事前に攻略サイトを確認しておこう。
裏シナリオではアッシュとヒース以外は仲間が総替えになり、一部のイベントも変化している。
仲間は表のメンバーとは全く違った特徴を持ち、装備品や習得魔法、果ては会話内容も違い、大きく異なるプレイ感覚が楽しめる。
二周目以降のお楽しみとして考えておくといいだろう。
ワンポイントアドバイス
前述の通り、このゲームではパーティメンバーが入れ替わることが少なくない。
回復要員が抜けることはRPGにおいて非常にリスクが大きいイベントなのだが、『ダイナソア』ではそれが複数回起こる。(一応技術継承で回復魔法を覚えることも可能だが、可能になる時期が遅いし習得に手間もかかるためあまりお勧めできない)
そのため回復アイテムを確保することは重要である。
平時でも回復要員が真っ先にやられてしまう可能性もあるので、どんなに強くなっても回復アイテムは多めに確保することを心がけて探索に臨むことを勧める。
Windows版
2002年12月19日に『ダイナソア~リザレクション~』のタイトルで日本ファルコムより発売。
ファンからの要望によりリメイクされた。
DVD版と後に登場したVISTA対応版があり、前者の初回版は特典としてオリジナル&リザレクション版サントラ・物語の導入部や魔法・技について描かれている小冊子・マッピングに便利な方眼紙などが付いている。
主な変更点
- グラフィック
フィールドやダンジョンがポリゴンによる3D描画となった。
OPも3Dに。 キャラグラフィックはオリジナル準拠だが、キャラによっては若干の違いあり。 - マップ表示
画面右上にプレイヤーの周囲を表示するミニマップが追加。
未踏の場所と一度通った場所が色分けされている。
ランプや「空間感知」の魔法を使うと、ミニマップの表示範囲が大きくなる仕様となった。 - エンカウント
敵とのエンカウント率がオリジナル版よりも低くなり遊びやすくなった。
エンカウント率はゲーム画面の両端にある水晶玉の色で表現され、赤いとエンカウント率が高く、青いと低い。 - アイテム管理
オリジナル版では五人パーティで一人8個づつ、合計40個のアイテムを所持できたのが、今作では装備品を除いた40個のアイテムをパーティ全員で共有できる様になった。 - 技術
技術継承が発生する条件が揃うと「継承マーク」が光って知らせてくれる様になった。
技術に「弓」と「罠」が追加。 - 裏シナリオ
裏シナリオへの入り方がオリジナル版と同様の入り方に加えて、ゲームを一回クリアーした後に二周目を始めた際、スタート直後に登場する白い蝶を追いかけても裏シナリオへ行ける様になった。
裏シナリオに入った後ある条件を満たす事でオリジナル版とは異なる、第三の結末と呼ばれるエンディングを見る事が出来る。
主な登場人物
オルリック、エリス、ワッツの三人は表シナリオのみに登場し、裏シナリオでは別の人物と差し替わる。
表のメンバー
- アッシュ
本作の主人公である男。
幾多の戦場を潜り抜けてきた凄腕の傭兵だが、彼が味方した軍は必ず負ける事から「死神アッシュ」「灰を撒く者」と呼ばれる、栄光とは無縁の男。
無口で男臭く無骨な人物で、自身をからかったり敵意を向けてくる相手には容赦しないが、血に飢えた殺人鬼というわけではなく、戦意をなくした者が相手なら剣を収めることも出来る分別のある人物である。
ゲーム中ではパーティでは唯一の打撃専門家として、最前列で剣を振るうことになる。
剣技は連続攻撃・全体攻撃・即死技と多くのことがこなせるがコストが高めなので乱用は控えること。
優れた剣技とステータスを持ち、装備品にも恵まれたタフなキャラだが、彼が戦闘中に倒れるとその時点でゲームオーバーとなってしまうので注意。
また、一人で行動するイベントもあるので自力で回復がこなせない彼のために回復アイテムの予備を常に用意しておくこと。 - オルリック
回復を主体にした僧魔法と拳技が使用出来る壮年の僧侶。
逞しい肉体を持つ僧兵であり、アッシュに次ぐ重装備が出来る人物だが宗教の関係で刃物が装備できないため打撃面では大きく劣る。
拳技は便利なものも多いが素の打点では見劣りするためレベルがかなり高くなければ真価を発揮できず、さらにレベル上げ自体が難しいため使い勝手は今ひとつ。
反面僧としての徳は高いため回復魔法の技能に関しては他の追従を許さない優秀な性能を持つ。
成長すれば全員の完全回復・死した仲間の完全蘇生もこなせるようになるだろう。
元々は教会の指示により寄付金の取り立ての仕事を任されていた、真面目で信仰心が強い僧侶。
大切な娘が病に冒されている時、神が娘を救ってくれなかったことから、神の教えに反した生き方をしていた自身の人生を見つめ直す。
そして、娘の葬儀を済ませた後これまでの罪を償い、再び神に出会うため、旅へと出ることになった。
最年長でパーティの中でも良識派と言える人物だが、後半には彼の信仰が大きく揺らぐ過酷な試練が待ち受けているのだった…。 - エリス
魔法使いの女性。攻撃主体の魔法・補助魔法の他、精霊を召喚する事も出来る。
精霊達が姿を消した原因を調査する為旅に出た、優しい心の持ち主。
ただ、自分よりも他人を優先してしまうほどのお人好しなため、その言動を周囲から危うく見られることも…。
パーティの紅一点である美しい女性だが、見た目に違わずか弱いため装備の制限が厳しいのが難点。
耐久力が低く打撃性能にも乏しいので、魔法専門家として後衛で戦わせること。 - ヒース
楽器を演奏し、歌が得意な少年。味方を補佐する効果を主体にした歌を扱う。
森の生き物たちと一緒に歌って暮らしたいと願う大人しい性格の持ち主だが、部族に伝わる失われた歌を捜す為、母親に無理やり旅に出させられた。
気弱な少年であり過酷な旅の中で弱音を吐くこともあるが、心根の非常に優しい子で、彼の吟遊詩人としての能力が出会う人々を救うことも多い。
装備に関しては見た目のイメージと異なり武器・防具共に多くのものが装備できるが、楽器以外を装備していると歌が歌えなくなるので基本的にはリュートを持たせておいた方がいい。
リメイク版では弓技能を持っているが、やはり自身の特性を活かすべく楽器を持たせておいた方がいいだろう。
歌の性能はなかなか高く、攻撃力や敏捷性の強化・エンカウント率低下・最終的には全体回復までこなせるようになるが、仲間になる時期が遅いためマスターさせるにはレベル上げ必須。戦闘中はひたすら演奏し続けよう。
彼の歌によって難易度は大きく左右されるので、大切に育てていきたい。 - ワッツ
かつてコソ泥家業をしていた盗賊。罠を解除する技術に優れる。
自身の利益のために騙したことで信頼を裏切った魔法使いにある呪いを掛けられ、それ以来魔法使いを避けるようになった。
そんな体質のため魔法使いであるエリスを当初は避けていたが、彼女の優しさと人の良さに触れ、旅の中で少しずつ心の距離を縮めていくことになる…。
探索中は盗賊として経験を積み上げてきた彼の助言が役立つことも少なくないので、仕掛けについてのアドバイスには耳を傾けておこう。
戦闘では剣や弓を扱うが、基本能力の面で本職のアッシュに大きく劣るためアイテムによるサポートや削り役などを行うことが多い。
装備の制限が意外と厳しく、重い装備だけではなく魔法がかかった装備も本人の体質から一切装備できないのも痛いところ。
アッシュと違い普通に戦っていても技能は伸びにくいので、打撃用員として最後まで活躍させたい場合は積極的にレベル上げをする必要があるだろう。
リメイク版では宝箱が手に入る確率を上げる技が習得できるようになったが、必要なTPが高いため休息でカバーできるにしても扱いにくいのが難点。
裏のメンバー
- アッシュ・ヒース
キャラ性能は表シナリオと同じだが、他のキャラとの絡みの関係上セリフは大きく変わっている。
アッシュが出会った仲間に言葉をかけるシーンがあったり、仲間との温度差が上がったことでヒースの弄られ度が上がったりしているのが印象的。 - ランディ
最初に出会うことになる、魔法使いの美青年。
自分の魔法の力を信じて疑わない自信家であり、大の女好き。
良くも悪くも自分に正直な人物なので、気に食わない相手や戸惑ったり煮え切らない行動を取ったりする相手に挑発的な物言いをすることも少なくないが、意外と仲間意識は強く、根は優しい人物である。
精霊を呼ぶことは出来ないもののエリスに比べて攻撃特化型な魔法を習得しているのが特徴で、単体の攻撃力2倍・全体攻撃・単体攻撃と多くの攻撃魔法を行使することが出来る。
装備制限がエリスよりも若干緩いのもメリット。ちなみにエリスとは面識があるようで、ある絵を眺めて彼女のことを思い出すことがある。 - ルオン
呪われた伝説を持つ傭兵として有名なアッシュの評判を知りつつも仲間に加わる、紳士的ながら相手を苛立たせる慇懃無礼な口調が特徴の暗黒僧。
いつも冷静に仲間にも敵にも出会った人にも容赦のない発言をし、オルリックのような優しさや慈悲の心を見せることはまず無い。
仲間意識が薄い彼の存在こそが裏シナリオの真骨頂と言えるだろう。
戦闘では僧魔法とは言い難い暗黒神の力を用いた魔法を用いて戦い、時には地獄の業火で、時には死霊を操る言葉で、時には全身に激痛を走らせる魔法でパーティに貢献。
オルリックに比べて攻撃に関しては優れている反面、習得できない魔法の関係で回復面では劣るのが難点。
相手によっては回復が間に合わなくなることもあるので、保険として回復アイテムを常備しておくことを勧める。 - ヒルダ
勝気な性格の、腕利きの女盗賊。
可愛らしい青年であるヒースが気に入っているが、直接手は出さずからかって楽しんでいる。
女好きのランディに気に入られているが、のらりくらりとかわしており本人にその気があるかどうかはわかりにくい。
また、かつてある事件で仲間を失ったことがあり、自身の呪われた運命のせいで『仲間殺し』と罵倒されることもあるアッシュを気にかけている。
戦闘では弓を得意としており、リメイク版では弓技能を所得している。
ワッツに比べるとマジックアイテムも装備できるのがメリットだが、弓は最高クラスのものの打点が剣に比べて見劣りするのが難点。
意図的にレベル上げをしなければ、打点不足から終盤はやはりアイテムによるサポートを担当することが多くなるだろう。
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関連項目
- 日本ファルコム
- 恐竜
- PC-8801
- PC-9801
- FM-TOWNS
- プロジェクトEGG
- 高橋哲哉(「ゼノギアス」「ゼノサーガ」「ゼノブレイド」などで有名なゲームクリエイター。グラフィックデザイナーとしてファルコムに在籍していた頃、本作の開発の一部にかかわっていたといわれる)
- 魔術士オーフェン(ライトノベルシリーズ。主人公「オーフェン」が使用する魔術の詠唱のいくつかが、本作のランディの魔法の名称と類似している。特に主人公が最も多用する魔術「我は放つ光の白刃」はランディの魔法そのままになっており、本作プレイ済みの人に気付いてもらうことを狙ったオマージュか。シリーズ中で一度だけ、大型爬虫類を指して「ダイナソア」という言葉もさりげなく使用されている。)
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