ダイナミックレンジとは、ダイナミックな電子レンジのこと…ではなく、ある方式で識別可能な最小値と最大値の比である。
扱う音量や光量の幅が桁で違うことの多い、音響機器や写真撮影を語るときに使われるれっきとした専門用語・技術用語である。
概要
要するにその機械やモノ、システムが扱うことができる入力データや数値の最大値と最小値の幅を指す。
例えば音響関係ならノイズ無しに再生できる一番小さい音と割れずに再生できる一番大きな音の幅、写真関係なら判別できる暗さの限界と明るさの限界の幅である。
最大値と最小値の比率の対数でその大きさを表す。単位はdB(デシベル)。
ダイナミックレンジ=10log10(最大値/最小値)
たとえば、両手で数値を表すことを考えてみよう。
普通、両手を使って数を表すときは指の数を使った1~10なので、
10log10(10/1)=10
となり、両手の指を使って数字を扱う時のダイナミックレンジは10dBということになる。
一方、2進法を活用するやり方(詳しくは「二進法」の記事を見よう)で両手の指を使って数を表すと2の10乗、つまり1~1023までを表現できる。この場合のダイナミックレンジは
となり、30ちょっとまで大きくなる。
また、ダイナミックレンジはあくまで扱う数値の幅を表すものであって、数値の細かさは無関係である。
例えば10本の指を「1、10、100、1000、10000、100000、1000000、10000000、100000000、1000000000」と割り振れば、扱える数値の幅は1~1000000000の90dBとなる。
同じ「両手の指を使って数値を扱う」場合でも、考え方や扱いによってダイナミックレンジは大きく異なるのである。
写真に関して使うときはラティテュード(latitude)という言い方をすることが多い。
ラティチュードが大きいと、例えば逆光の環境でも明るい場所と暗い場所の両方をハッキリと捉えることができる。逆に、ラティチュードが小さいと、暗い部分が真っ黒になったり、明るい部分が真っ白になったりする。
このため、写真撮影の分野では一般的にラティチュードが大きいほど良い・大きいものほど高性能とされるが、大きすぎると明るい場所と暗い場所の差がなくなりのっぺりとした印象になる、と主張する人もいる。
関連項目
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