ダノンベルーガ(Danon Beluga)とは、2019年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
概要
父ハーツクライ、母*コーステッド、母父Tizwayという血統。
父は国内で唯一ディープインパクトに勝った馬で、種牡馬としても世界のジャスタウェイから同期のダービー馬ドウデュースまで数々の名馬を送り出した大種牡馬。
母はアメリカで2歳リステッド競走勝ち、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズターフ2着の実績がある輸入繁殖牝馬。ダノンベルーガは初仔。
母父ティズウェイはTiznow産駒で、アメリカで2011年のG1メトロポリタンハンデキャップ、ホイットニー招待ハンデキャップを勝った馬。日本でも2009年のジャパンカップダートに参戦した(12着)。種牡馬としてはアメリカではこれといった成績を残せず、現在は韓国で種牡馬をしているそうである。
馬名意味は「冠名+クジラ目の哺乳類」。ベルーガとは和名で「シロイルカ」と呼ばれる、北極圏の海に住む全身白色の鯨類(クジラやイルカの仲間)。しかし本馬は芦毛でも白毛でもなく鹿毛である。
ベルーガというと、競馬ファンはメイショウベルーガ(こっちは芦毛)、飛行機ファンはエアバスの貨物輸送機を連想する人が多そうである。
2019年2月7日、ノーザンファームで誕生。同年のセレクトセールにて、おなじみダノックスに1億6000万円(税抜)で落札された。同期のダノン軍団にはNHKマイルカップを勝ったダノンスコーピオンがいる。
良血らしく高額で落札された本馬だったが、幼少期に右後脚に競走能力喪失を危ぶまれる程の大怪我を負ってしまう。必死の治療により回復はしたものの、以後歩き方やその後のローテーションに大きな影響を及ぼすことになる。
白くないシロイルカ
2歳~3歳春
モーリスやドゥラメンテが所属し、現役ではサリオスやカフェファラオのいる美浦の名門・堀宣行厩舎に入厩。デビューは2021年11月21日、東京・芝2000mの新馬戦。ダノン軍団といえば川田将雅だが、この日は川田がマイルCSでダノンザキッドに騎乗するため阪神に行っていたので、鞍上は石橋脩。単勝1.7倍の断然の1番人気に支持されると、スローペースの展開を中団から進め、坂を登り切った直線残り300mから一気に加速。上がり3F33秒1の末脚で逃げ粘った馬を楽々とかわし、最後は流す余裕を見せて2馬身差の快勝デビューを飾る。
2歳GⅠには向かわず、明けて3歳初戦、いきなり共同通信杯(GⅢ)に参戦。デビュー2戦目ながら、既に重賞で実績のあるジオグリフ、アサヒ、そして同じダノン軍団のダノンスコーピオンと人気を分け合い、3.9倍の3番人気。川田はダノンスコーピオンに騎乗したため、鞍上は松山弘平。
ダノンスコーピオンと一緒に大外8枠に入れられたが、ジオグリフを見るような位置で枠なりに中団の外目に構えると、直線で坂を登り切ったところから鞭が一発入ると鋭く加速。ジオグリフを置き去りにして突き抜け、1馬身半差の快勝で2連勝。
数々の名馬を輩出してきた出世レースを強い勝ち方で制し、一躍クラシックの本命候補の一頭となった…ものの陣営はギリギリまで右後脚の状態を見極めて参戦を決めると発表、参戦表明をしたのは皐月賞の9日前であった。この頃から上記にある幼少期の大怪我がスポーツニュース等で伝えられるようになり、合わせて(東京に拘っていたということは右回りは不得意なのでは…?)という声も囁かれるようになる。
迎えた皐月賞(GⅠ)ではようやく川田将雅が騎乗し、朝日杯馬ドウデュースに次ぐ5.0倍の2番人気に支持される。末脚のキレ味が武器だけに1枠1番という枠からどうレースをするかがポイントとなったが、好スタートを切りつつも隣のアスクビクターモアが逃げるのを行かせて5番手での先行策を選択。4コーナーで内を掬って逃げるアスクビクターモアを捕らえるが、直線で外を立ち回ったジオグリフとイクイノックスにかわされ、最後は追い込んできたドウデュースにもクビ差屈して、末脚を活かしきれず4着と悔しい結果に終わる。
続く日本ダービー(GⅠ)では、6枠12番と末脚勝負なら立ち回りやすそうな枠順、右脚の後遺症や新馬戦と共同通信杯で見せた末脚も合わせ、左回りで直線の長い東京でこそという見方や、本命と見られていた皐月賞2着のイクイノックスが皐月賞に続いて大外8枠18番に入れられたこともあって、単勝3.5倍の1番人気に支持される。しかし、1週前の調教でうっかりタイムを出し過ぎてしまい、直前に強く追い切れなかった影響もあってか、ゲート前では発汗し激しくテンションが上っている光景が映し出される一幕が映し出される。
レースはデシエルトがハイペースで飛ばしていく流れの中、ジオグリフと並んで中団に構えたが、そのジオグリフに外からガッツリと閉じ込められる形となってしまう。直線であの末脚のキレ味を発揮しきれず、ジオグリフは振り落としたもののまたも外からドウデュースとイクイノックスにかわされ、今度は先行したアスクビクターモアも捕らえきれず4着。春のクラシックは不完全燃焼という感じの結果に終わった。
3歳秋
秋はジオグリフやイクイノックスとともに天皇賞(秋)(GⅠ)へ直行。2着以上が新馬戦と共同通信杯の勝利しかないため、収得賞金は3勝クラスを勝った普通のオープン馬と同じ2400万円しかなく、賞金的に出走が危ぶまれたが、蓋を開けてみればフルゲート割れの15頭立てで無事出走できた。イクイノックス、シャフリヤール、ジャックドールに次ぐ7.3倍の4番人気に支持される。
レースはパンサラッサのハイペース逃げに積極的についていく馬がおらず、パンサラッサの単騎大逃げを直線での末脚勝負で追い込むレース展開。イクイノックスを見ながら中団後方に構えたダノンベルーガは、直線で馬群を縫うように最内に切れ込むと、坂の終わりで進路を確保し鞭を入れて加速。ジャックドールを捕らえ、必死に逃げ粘るパンサラッサを猛追するが、外からそれを上回る末脚を見せたイクイノックスには届かず、パンサラッサも捕らえきれずクビ差の3着。シャフリヤールやジャックドールといった実績ある古馬に先着し、上がり3Fは32秒8を叩き出して改めてその実力を示したが、前のイクイノックスにそれを上回る32秒7を繰り出されてはさすがにどうにもならなかった。
引き続きジャパンカップ(GⅠ)に参戦。収得賞金的には全然足りず除外対象だったが、秋天の好走でレーティング120を獲得、登録馬中シャフリヤールに次ぐ2位となり、優先出走権を確保した。シャフリヤールに次ぐ4.2倍の2番人気に支持される。
外の7枠から中団の外目につけると、直線で好位から抜け出しを図る。しかし外からシャフリヤール、内からヴェルトライゼンデが襲いかかり、さらに間を縫ってヴェラアズールが強襲。叩き合いに競り負けたダノンベルーガは、最後はシャフリヤールに寄られて川田騎手が立ち上がってしまい完全に脱落。デアリングタクトにもかわされて5着に敗れた。
年末の香港カップの招待も受けていたがそちらは辞退し、2022年はこれで終了。
4歳
明けて2023年はドバイターフ(G1)の招待を受諾。ダノンザキッドが中山記念でやらかして出られなくなったこともあるのかもしれないが、ともあれドバイの地でダービー以来となるドウデュースとの再戦となる。シーマクラシックへ向かうイクイノックス、ワールドカップに向かうジオグリフらとともに4歳世代でドバイを席巻できるだろうか。
右後脚の後遺症を抱えながら、世代屈指のポテンシャルが現役屈指のものであることを証明したが、大舞台では惜敗が続くダノンベルーガ。秋天でもJCでも収得賞金の加算に失敗し、既に本賞金1億9000万を稼ぎながら収得賞金2400万円のままなので、レーティングで大レースに出られるうちになんとか収得賞金を稼いでおきたいところである。
血統表
ハーツクライ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
アイリッシュダンス 1990 鹿毛 |
*トニービン | *カンパラ | |
Severn Bridge | |||
ビューパーダンス | Lyphard | ||
My Bupers | |||
*コーステッド 2014 鹿毛 FNo.16-a |
Tizway 2005 黒鹿毛 |
Tiznow | Cee'z Tizzy |
Cee's Song | |||
Bethany | Dayjur | ||
Willamae | |||
Malibu Pier 2007 栗毛 |
Malibu Moon | A.P. Indy | |
Macoumba | |||
Blue Moon | Lomitas | ||
To the Rainbow |
関連動画
関連リンク
関連項目
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