ダブルダウン勘繰郎とは、西尾維新による日本の小説作品。2003年6月に講談社ノベルスより刊行された。イラスト担当はジョージ朝倉。
概要
戯言シリーズや化物語シリーズで知られる西尾維新が、「御大」と呼び慕う清涼院流水のJDCシリーズと同じ世界観を共有する作品を執筆する「JDCトリビュート」という企画で発表された作品。
2003年と言えば西尾維新がデビューした翌年ということで、小説家としてのキャリアの中では相当な初期作品ということになる。具体的にどのくらい前かというと、新本格魔法少女りすか1巻の1年前、化物語の3年前、刀語の4年前、めだかボックスの6年前、掟上今日子の備忘録からは11年前である。そもそも当時は戯言シリーズの刊行期間中であり、サイコロジカルとヒトクイマジカルの間に当たる時期だった。ちなみに2024年からは21年前ということになる。文章も初期の西尾維新の作風が色濃く残っており、改行をあまり使わずに一気に長文を押し込める文体が懐かしさを誘っている。
日本探偵倶楽部の本部ビルを見上げる探偵志望の少年と、それに遭遇したかつて探偵を志していた過去を持つOLの2人がかつて犯人未逮捕に終わっていた事件の復活に遭遇する姿を描く。
本編は遭遇したOLこと蘿蔔むつみの一人称で進行するが、彼女の視点は所謂「信頼できない語り手」であり、遭遇する事件に推理要素が少ないこともあって、作者曰く登場する探偵と犯人について推理する「探偵当て小説」と言える内容になっている。
では肝心の作品の評価はというと、当時の評判は必ずしも芳しい物ではなかったようだ。JDCシリーズと世界観を共有する作品として刊行された本作ではあったが、肝心のJDCシリーズのキャラクターが殆ど登場せず、本家JDCシリーズのファンからは作品の内容以前にそれが不評だった。もう一方の西尾作品のファンからは「普通の推理小説」過ぎるということが逆に良くなかったようである。当時の西尾維新は戯言シリーズが人外バトル物になる以前ということもあり、まだギリギリ推理作家と言えなくもないところであったものの、それでもぶっ飛んだ性格のキャラクターがあまり登場しなかったことがインパクト不足に繋がったか。「クビキリサイクル」や「クビシメロマンチスト」の衝撃がまだ薄れていなかった時期というのも一因かもしれない。
2010年にはJDCトリビュート第二弾の「トリプルプレイ助悪郎」と一冊にされる形で講談社文庫から文庫化されている。時期の離れた作品ということで一冊の中で作風の変わった様子を味わうことが出来るものの、合本ということでノベルス版にあったあとがきは収録されていない。
あらすじ
15歳の探偵志望者! JDCへの入部なるか!?
京都――河原町御池交差点。
蘿蔔(すずしろ)むつみはそびえ立つJDC(日本探偵倶楽部)ビルディングを双眼鏡で一心不乱にみつめる奇妙な探偵志望者・虚野勘繰郎(むなしのかんぐろう)とめぐりあう。
――それが過去に66人の名探偵の命を奪った『連続名探偵殺戮事件』の再起動(リブート)と同調する瞬間だとは思いもよらずに……!?
新鋭・西尾維新が御大・清涼院流水の生み出したJDCワールドに挑む!
維新×流水=無限大!
登場人物
- 虚野 勘繰郎
- 探偵を志す者。白いシャツにジーンズ姿のラフな格好をした少年。15歳。
- 所持金が尽きそうなところで探偵募集の広告を見つけ、それに応えようと日本探偵倶楽部を訪れ、試験を手っ取り早くパスするために本部ビルから出てくる探偵を待ち構えるべく双眼鏡を構えていた。
- 性格は過剰とも言えるほどの自信家で、「巨大な存在を前にするとチャレンジしてみたくなる」と豪語し、俺様口調のような話し方をする。他人の名前は基本的に呼び捨てで、自分の名前も呼び捨てにされることを好む。インターネットを苦手とするものの調査能力は高く、事前に現在の未解決事件を調べ上げていた。またむつみと初めて会った時の言動から直感的な推理力はかなりの物。実は女性であり、むつみもしばらく気付けないままであった。理由は本人曰く「虚野勘繰郎」という格好いい名前を思いついてしまったから。あやめの逮捕に協力したことで総代から直々にJDC第一班にスカウトされたが、「その誘いを断るのが格好いい」とそれを断り、再会を約してむつみの前から去っていった。
- 蘿蔔 むつみ
- かつて探偵を志した者。出張帰りのOL。
- 地方出張から帰ってきたタイミングでJDCのビルを見張っている勘繰郎に遭遇する。
- 丁度勘繰郎と話していたタイミングであやめの命を受けてJDCビルにやってきた鳥籠に遭遇し、事件に巻き込まれた。
- 幼少期から探偵を目指していたからか、むしろ勘繰郎より事件や探偵のことについて詳しく、あやめや鳥籠の事も知っていた。
- 本名は「宇田川 樒」で、日本探偵倶楽部第一班に所属する探偵の1人。本作は彼女が書いた報告書という形で進行する。フリーの探偵時代にあやめの起こした「連続探偵殺戮事件」を解決に導いた張本人。そのこともあって第一班にスカウトされて夢を叶えたが、探偵倶楽部内で嫉妬ややっかみを受け、自分の理想とする探偵像との乖離に苦しんでいた。そのこともあって勘繰郎にはただのOLと名乗ったが、後にその心境を勘繰郎に吐露している。勘繰郎の勧めを受け、蘿蔔むつみをDネームとした。
- 逆島 あやめ
- かつて探偵だった者。ピンクハウス系のファッションに眼鏡をかけた女性。『殺眼』の異名を持つ犯罪者。
- 5年前は日本探偵俱楽部第一班に所属し、僅か2年の間に六百六十六件の事件を解決し六百六十六人の犯人を捕まえていた優秀な人物であったが、幼少期に事件に巻き込まれて以来探偵を憎むようになり、日本探偵倶楽部所属の「名探偵」六十六人を次々殺害する「連続探偵殺戮事件」を引き起こし、それが明るみに出ると鳥籠と共に逃亡した。現在は第A級指名手配犯となっている。
- 大量のニトログリセリンを用意して探偵倶楽部のビルを破壊しようとしたタイミングで勘繰郎たちに鳥籠を倒されて爆薬を奪われてしまい、それを取り戻すために2人の前に現れる。
- 捕らえた2人の開放を賭けて勘繰郎とのブラックジャックの勝負を行い、むつみを開放。残った勘繰郎による泣き落としによって探偵を皆殺しにすることを断念し、意趣返しの為に鳥籠と共に探偵ではなく警察に自首をした。
- 椎塚 鳥籠
- あやめがJDCに入る前から付き従う無口な男。『静』の異名を持つ。連続探偵殺戮事件の実行犯。
- 探偵倶楽部に入ってから現在まで一言も口を利かず、あやめと常に行動を共にしていること以外JDCの力によってしても一切の過去が不明という謎の人物。あやめからの命令は例え自爆のような内容でも文句を言わずに実行する高い忠誠心を持つ。連続探偵殺戮事件ではあやめに代わり殆どの名探偵を実行犯として殺害していた。
- あやめから命令されJDCのビルへ自爆攻撃を賭けようとした際、先回りしてきたむつみと戦い捕らえられた。その後自首することを決めたあやめに従い、共に警察へと向かった。
- 龍宮 城之介
- 日本探偵倶楽部第一班に所属する探偵の1人。本家JDCシリーズのキャラクター。
- むつみの事を「樒嬢」、勘繰郎の事を「勘繰郎嬢」と呼ぶ。むつみの書いた小説のような文体の報告書を読み、勘繰郎を「少年」と書いていることを指摘した。
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関連項目
ダブルダウン勘繰郎とは、西尾維新による日本の小説作品。2003年6月に講談社ノベルスより刊行された。イラスト担当はジョージ朝倉。
概要
戯言シリーズや化物語シリーズで知られる西尾維新が、「御大」と呼び慕う清涼院流水のJDCシリーズと同じ世界観を共有する作品を執筆する「JDCトリビュート」という企画で発表された作品。
2003年と言えば西尾維新がデビューした翌年ということで、小説家としてのキャリアの中では相当な初期作品ということになる。具体的にどのくらい前かというと、新本格魔法少女りすか1巻の1年前、化物語の3年前、刀語の4年前、めだかボックスの6年前、掟上今日子の備忘録からは11年前である。そもそも当時は戯言シリーズの刊行期間中であり、サイコロジカルとヒトクイマジカルの間に当たる時期だった。ちなみに2024年からは21年前ということになる。文章も初期の西尾維新の作風が色濃く残っており、改行をあまり使わずに一気に長文を押し込める文体が懐かしさを誘っている。
日本探偵倶楽部の本部ビルを見上げる探偵志望の少年と、それに遭遇したかつて探偵を志していた過去を持つOLの2人がかつて犯人未逮捕に終わっていた事件の復活に遭遇する姿を描く。
では肝心の作品の評価はというと、当時の評判は必ずしも芳しい物ではなかったようだ。JDCシリーズと世界観を共有する作品として刊行された本作ではあったが、肝心のJDCシリーズのキャラクターが殆ど登場せず、本家JDCシリーズのファンからは作品の内容以前にそれが不評だった。もう一方の西尾作品のファンからは「普通の推理小説」過ぎるということが逆に良くなかったようである。当時の西尾維新は戯言シリーズが人外バトル物になる以前ということもあり、まだギリギリ推理作家と言えなくもないところであったものの、それでもぶっ飛んだ性格のキャラクターがあまり登場しなかったことがインパクト不足に繋がったか。「クビキリサイクル」や「クビシメロマンチスト」の衝撃がまだ薄れていなかった時期というのも一因かもしれない。
2010年にはJDCトリビュート第二弾の「トリプルプレイ助悪郎」と一冊にされる形で講談社文庫から文庫化されている。時期の離れた作品ということで一冊の中で作風の変わった様子を味わうことが出来るものの、合本ということでノベルス版にあったあとがきは収録されていない。
あらすじ
15歳の探偵志望者! JDCへの入部なるか!?
京都――河原町御池交差点。
蘿蔔(すずしろ)むつみはそびえ立つJDC(日本探偵倶楽部)ビルディングを双眼鏡で一心不乱にみつめる奇妙な探偵志望者・虚野勘繰郎(むなしのかんぐろう)とめぐりあう。
――それが過去に66人の名探偵の命を奪った『連続名探偵殺戮事件』の再起動(リブート)と同調する瞬間だとは思いもよらずに……!?
新鋭・西尾維新が御大・清涼院流水の生み出したJDCワールドに挑む!
維新×流水=無限大!
登場人物
- 虚野 勘繰郎
- 探偵を志す者。白いシャツにジーンズ姿のラフな格好をした少年。15歳。
- 所持金が尽きそうなところで探偵募集の広告を見つけ、それに応えようと日本探偵倶楽部を訪れ、試験を手っ取り早くパスするために本部ビルから出てくる探偵を待ち構えるべく双眼鏡を構えていた。
- 蘿蔔 むつみ
- かつて探偵を志した者。出張帰りのOL。
- 地方出張から帰ってきたタイミングでJDCのビルを見張っている勘繰郎に遭遇する。
- 丁度勘繰郎と話していたタイミングであやめの命を受けてJDCビルにやってきた鳥籠に遭遇し、事件に巻き込まれる。
- 逆島 あやめ
- かつて探偵だった者。ピンクハウス系のファッションに眼鏡をかけた女性。『殺眼』の異名を持つ犯罪者。
- 5年前は日本探偵俱楽部第一班に所属し、僅か2年の間に六百六十六件の事件を解決し六百六十六人の犯人を捕まえていた優秀な人物であったが、日本探偵倶楽部所属の「名探偵」六十六人を次々殺害する「連続探偵殺戮事件」を引き起こし、それが明るみに出ると鳥籠と共に逃亡した。
- 現在は第A級指名手配犯となっている。
- 椎塚 鳥籠
- あやめがJDCに入る前から付き従う無口な男。『静』の異名を持つ。連続探偵殺戮事件の実行犯。
- 探偵倶楽部に入ってから現在まで一言も口を利かず、あやめと常に行動を共にしていること以外JDCの力によってしても一切の過去が不明という謎の人物。
- 宇田川 樒
- 名探偵殺戮事件の真犯人であった逆島あやめの犯行を暴いた、むつみ曰く「愉快な名前をした探偵」。
- 当時は日本探偵倶楽部に属していない在野の探偵だったが、この功績により第一班にスカウトされJDC入りした。
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