チェストとは、
概要
鹿児島の言葉で、気合を入れるときの掛け声の1つ。「それ行け」の意味とされることが多い。
現在でもスポーツの応援幕などに「チェスト」の言葉が掲載されることがあるほか、鹿児島県民手帳に掲載されていたり、日置市の「チェスト館
」や地域医療総合サービスの「チェストガイド
」などの施設・サービス名などでも使用例がみられるほか、「チェスト関ヶ原」は「関ヶ原の負け戦を忘れるな」の意味として書籍タイトルにもなっている。
薩摩藩(現:鹿児島県)の古流剣術『示現流』『薬丸自顕流』などで、気合を入れたり斬り込んだりする時の掛け声とされる場合もあるが、実際のこれらの流派では、現在はほとんど「チェスト」の声は使用されない。後世の小説家による創作という説もある。(参考リンク→ (ことばの広場)「西郷どん」の掛け声 薩摩剣士「チェスト」口にせず? - ことばマガジン - 朝日新聞)
創作物では薩摩隼人が斬りかかるときの掛け声として知られており、「誤チェストにごわす」「チェストはチェストじゃ」などの台詞も知られる。
由来
由来は諸説ある。
方言説
鹿児島県の谷山の方言では「チエ」が「強い」という意味で、「チェスト」は「よいしょ」という意味になる。恐らく「強くするぞ」の意味が「チェスト」と推測される。
ロシア語説
一方でロシア語由来とする説もある。
平凡社『大辞典』第十七巻(1936年)には「チェストー」がロシア語由来の「詩吟・琵琶等の演技の際、聴衆の叫ぶ讃辞的掛声」の言葉として掲載されている。この場合、おそらくロシア語の「チェーステ(честь、栄誉)」に由来する可能性がある。
1955年時点の広辞苑やデジタル大辞泉
には「チェスト」が「詩吟・演説などの高潮した際に聴衆から発する」「江戸末期ごろ、鹿児島地方から」として掲載されており、ロシア語由来の意味として解釈されている。
上記2つの本来の意味が脱落した説
ただし、先の『大辞典』には、「チェストー」の前に「チェスト」も鹿児島県谷山町の方言の「よいしょ」の意味として掲載されている。
この2つのどちらが薩摩でより広く使われていたかはわからないが、後世に伝わっていく中で聞き手の勘違いから「気合いの言葉」や「悔しいときに使う言葉」という意味で解釈され、海音寺潮五郎や司馬遼太郎の小説などで使用されたことで広まってしまい、よいしょや讃辞といった本来の意味が消滅した可能性がある。
知恵捨て
「知恵捨て」「知恵捨てよ」とされることもある。「知恵捨て」については『衛府の七忍』でも登場しているが、それ以前から俗説として存在はしている(参考)。
関連動画
関連静画
関連リンク
関連項目
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