チェヌとは、小説『ノーゲーム・ノーライフ』の1巻、また同じくアニメの3話で登場するチェスという名のチェスの駒とその板を用いたリアルタイムストラテジーゲームである。正式名称ではなく、製作者がそう名づけているわけではない。
チェスのようでチェスにあらぬゲーム、それがチェヌである。命名の由来は、テニヌやバヌケより。
チェス・RTS・テニヌについての詳しい説明は各ページで読んでください。
概要
すでに反転でありますが、4話や小説でしかない描写に該当する情報もお願いします。また3話のネタバレを含むため、3話未視聴者や原作未読者は注意すべし。
前提として、このゲームは魔法の最も得意なエルフが自身の魔法を用いて他の種族が見てもバレない、もしくは証明できないイカサマを詰め込んだ不平等なゲームである。魔法を使えない人類種(イマニティ)が普通に挑めば勝つ要素はない。
チェヌとはチェスの駒を用いたリアルタイムストラテジーゲームである。リアルタイムとはターン制はなく次々に指示を出せるタイプを指し、ストラテジーゲームとはゲームジャンルの1つであり、戦略ゲームと言われ、広義の戦略シミュレーションゲームを指す。
そのあまりの超展開に信者アンチ共に賛否両論の声が上がるこの作品の難所である。しかし、見えないところで駆け引きは行われている(設定)である。
この世界の盟約の仕様上、明確になっていなくとも「隠されたルールが厳密に存在する」ことを忘れてはいけない。重力が発明ではなく発見であったように、ルールはゲーム中に変更できるものではない。
ゲーム開始前、事前に説明されたチェヌのルールは以下の通りである。
1. ただのチェスではなく駒が意思を持っているチェスである。(チェスのルールが適用されるとは言っていない)
2. 命じれば命じられたままに駒は動く。(必ずとは言っていない)
明確にクラミー側から示されたチェヌに関するルールはこの2つのみである。
その後、ゲームを実際にプレイするにつれて判明したルールを列挙する。
2. 命じられた場合チェスの動きを無視した移動も可能である。(駒が動こうと思えば動く)(もちろんチェスに沿った動きも可能)
3. 王のカリスマ性があるかが士気ゲージという隠れステータスという形で存在する。(駒は人間と同レベルの感情を持っている)例えば、取られる(死ぬ)と明らかに分かっている行動は駒が拒否して動かないことがある。これにより白は手詰まりに追い込まれることになる。
4. 命じた内容によっては全軍を動かすこともグループそれぞれを動かすことも可能であり、士気ゲージも言葉を用いて操作することが可能である。(駒が理解し、行動でき、実行しようと思う命令ならば可能である。)空はこのルールに気づき、この時点で初めてこれがストラテジーゲームであると気づいた。
5. 同時に駒を操作できるというだけでなく命令を複数連続で出すことが可能である。(上記と同じく駒が理解し、行動可能ならば。)連続で命令を出せる点からターン制ではない(持ち時間という概念の意味があまりない)ことが判明する。
6. 疲労や隙といった要素もある。(意志を持ち、リアルタイムで動くため、隙はアクロバティックな動きや裏をかいた戦術が有効であるということから。)空の「しばし休息せよ」といった命令からわかるように、単純な疲労ではなく士気に関係する事柄である可能性もある。
7. 洗脳、相手の駒の略奪という要素がある。将棋の取った相手の駒を自分の駒として用いることができるルールに近い。クラミーは、洗脳をを敵に触れるだけで行えるイカサマを用いた(命じずに自動で行っている点がイカサマである)。空は本来のルールに則り、問いかけるという形で相手のクイーンを自陣に引き込んだ。
8. 前述の空の行動より相手の駒にも命じることが可能であることが分かる。この時点で士気ゲージのようなステータスというよりも、本来の人の感情のような複雑なステータスが隠されていることが判明する。
9. 駒が意思を持っているため、それぞれの駒に相性がある。もともと黒のクイーンが白に変わった後、黒の騎士がもともと黒であった白のクイーンに対して攻撃できないという現象より判明。駒の感情次第ではプレイヤーが命じるまでもなく駒の色が変わることがある。
少なくともこれほどのルールが隠されていたことが判明している。終始王を狙っていたことから勝利条件の一つは王を倒すことで間違いないかもしれないが、空の発言より倒す必要すらない可能性が示されている状態であり、ゲームが終了していないため3話時点では勝利条件は不明。
アニメ4話では、クラミーが洗脳されたクイーンを討つように命令を出した後、駒の意思を無視した洗脳を使い始めたことで
黒陣営からの信用が無くなり、自国の側近による黒のキングの暗殺で終結した。
これが3話最後のソラの「別に戦わなくったって勝てる」の真意である 。
ちなみにこの辺りが原因に中国での発売が中止になったとか・・・(恐怖政治からの暗殺が云々)
3話時点で判明しているチェヌのルールについてまとめる。
- ジャンル: リアルタイムストラテジーゲームである。
- 対戦者: 白と黒の2つの勢力の争いである。今回はクラミー側と空白側の1人と2人の対決となっている。
- 最初の持ち駒: チェスと同様であり、それぞれの駒の名称もチェスと同じである。
- 戦場: チェス盤をモチーフとした舞台で戦う。駒が外に出る描写はないが、プレイヤーが盤上に入りこむことは可能のようである。
- 駒の操作: 音声言語による命令を用いる。視力もあるため身振り手振りで支持を出すことも可能である。命令できる種類は多岐に渡り、駒が理解し、実行しようと思えばその通りに動く。駒の意志次第では命令に背き、動かないこともある。命令には、座標を指定して動かす、前へ行けなどの曖昧な命令、チェスらしく〇〇をテイク、相手のクイーンの首をとれ、なども可能であり、さらに背後へ回り込んで倒せなどといった戦術を混ぜた命令も可能である。命令できる駒は1つだけではなく騎兵隊のような複数の駒に同時に命令を下すこともでき、全軍に告げるなどといったことも可能である。また自軍だけでなく、相手兵へ声をかけることにより、士気の操作や駒を自軍に引き込むなどの洗脳もできる。
- 勝利条件: 相手プレイヤーが敗北を認める。王をテイクする(王がいなくなると命令を出せなくなるため)。
RTSは様々な種類があるが、洗脳という行為自体はRTSでは基本的な戦略である。最も有名なRTSであるAoE2でもその要素は含まれている。基本的にRTSは時間内に相手の殲滅を狙うゲームであり、王を狙うゲームであるとは限らない。プレイヤーが敗北を認めることもあれば、時間内に獲得した点数を競うルールも存在する。
また、現実のRTSはコンピューターゲームなのでマウスとキーボードにより命令を出すが、これは全て音声言語で行うという高度な操作方法となっている。
チェヌが始まるまでの駆け引き
超展開が続くように見えるこのチェヌも一定のルールに則ったゲームであることは盟約が機能していることからも明らかである。ではなぜこれだけのルールが隠されたままチェヌが開始されたかをストーリーにそって双方のプレイヤーの意図をくみ取りつつ解説する。
そもそもチェヌは空白に勝負を挑まれたクラミー・ツェル側が、突発的に用意したゲームである。実はチェヌは、エルフ同士で行う「とあるゲーム」を元にしているが、それについては割愛する。
このゲームを用意することになった背景は人類種(イマニティ)の国王選定ギャンブル大会の存在がある。この大会においてクラミーは国王の孫娘であるステファニードーラを含む対戦者すべてに、ポーカー勝負において「強運」を発揮し勝ち続けた。結果、クラミーの戴冠式が行われるが、その即位に誰も異議を申し立てる人がいなくなった状態であった。
空白はスマートフォンをちらつかせ、写真を撮ったりやBGMを流すなどその機能を用いつつクラミーに勝負を挑みかける。この時点では怪しいと思いつつも空がステフの使用人であるとクラミーは考えている(白はただの子供扱い)。ここで空はクラミーが他国の力を借りたペテン師であると追いつめる。これに対してクラミーが右を向きつつ舌打ちをしたため、空は協力者の存在に確信を持ち、酒場(1話参照)で見たフードをかぶった人が人類種以外の協力者と考え、白にその協力者の場所を確認し、白はそれを見つける。
クラミーはスマフォ(板切れ)を、空がステフに酒場でイカサマされてると教えられたときに白が使っていたことを思い出しつつ、空に「(協力者がいるとは)どういう意味か?」と問う。空は「例えばエルフの協力者の力を借りて優勝したやつを王にしたらこの国は終わり」と周りに訴える。ここから問答が続き、ついにクラミーが勝負を受ける。
空白側はポーカー勝負を始めようとする直前で「協力者を先に外に出すべきでは?」と問いつつエルフの協力者を示す。クラミー側としては協力者を認めてしまうとその瞬間に継承権を実質的に失うため一度引くしかなくなった。そのため、盟約に則り、挑まれた側が勝負を決められるということで、準備ができたら伝えに行くとして一度引いた。
ここまでが戴冠式直前の出来事である。ここで2グループは一度別れそれぞれの陣営の心理描写に移行する。
クラミー側は空白が異世界から来たなどとは思っていないため、彼らは他国の間者であると考えている。つまり、下手に魔法を使えばそれを証明される危険性があるため、駒の内部に干渉するタイプのイカサマを仕込む。
もちろん空白側の狙いはそれである。イカサマはあるがあからさまには仕掛けてこない、また、勝敗に直接関与するタイプの魔法も使ってこない、つまり原理的に勝てないゲームで挑まれることはないと考える。原理的に勝てないゲームでなければ(原理的に勝てなくなる魔法やチートを使わなければ)空白に負けはない、という考えから2人で挑めるように駆け引きを持ちかけることを考える。
チェヌの準備が完了し、クラミー側は空白達を連れて、準備した場所へ移動しつつ最後の説得を開始する。しかし、その内容から空白側は原理的に勝てないゲームではないことを確信しつつ、(本当にその話が正しいならいい条件だと考えつつも)その説得を断る。
そして、チェヌの舞台へ付くのであった。
大事なのはクラミー側は空白側に目に見えない協力者がおり、何らかのイカサマを使っていると考えている点と、空白側は2人で挑みその力を出し尽くせば確実に勝てると思っている点、そして突発的に用意されたゲームのため戦術の研究が全く成されていないという点である。
これらのほかにも細かな駆け引きが散りばめられている。
まとめ
チェヌはチェスの駒と盤を使った音声言語で行うRTSである。魔法を使うことはイカサマであるが、不正の発覚とは証明(どう魔法を使ってどうやったか実例で示すのが一つの手)までを含むため、人類相手には実質使い放題である。
魔法イカサマありのポーカー、また魔法で直接作用して勝てるゲームでの勝負を避けるために「イマニティが持っていない技術であるスマフォを見せびらかす」ことにより存在しない協力者を想定させ、スマフォをイマニティでも魔法を感知できる道具と思わせること。これにより原理的に勝てない、必敗のゲームではなくなった。
ルールを知らないことを逆手にとって空白は2人で挑めるようにすること。これにより最強のゲーマーとして挑める環境を作った。
まず白にプレイを担当させ空はルールを見極めるのに徹した。例えば普通のチェスやオセロなどの二人零和有限確定完全情報ゲームなら最善手のみなら白が勝つのは自明という設定である。そこに駆け引きが入るなら1話であったように、空が横から助言するだけで神にすら勝てる。そして、「駆け引きのみのゲーム」であるならば、不確定要素を先読みする能力が、すでに未来予知に近いものとなっている空の担当分野である。
以上をもって、空白は終止、苦戦とブラフを貼りつつ、このゲームを段階的に有利になるように進めていった。
最終的に空が勝つことになるが、それはチェヌが始まる前からの一つ一つの駆け引きの積み重ねの結果である。
これより学ぶべき教訓は、出来ないと決め付け、足を止めるのではなく、出来ないのならばどのような条件をクリアできれば出来るようになるのかを考えて考え抜いて得た結論を実行するということである。
決して出来ないことを無意味にやれといっているわけではなく、できることを積み重ねることで出来そうに見えなかったことが達成できることの大切さを知ってもらいたい。
空白は2人で1人.
人は1人と2人では全く違うのだ。
どうやっても1人で出来ないことも2人でなら可能かもしれない。不可能に近いことも積み重ねることで可能になることがある。
行き詰ったときは4話の演説を聴きに戻ってきましょう。
関連動画
関連項目
- ノーゲーム・ノーライフ
- 榎宮祐
- チェス
- RTS
- テニヌ
- バヌケ
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