チェーンガン(chain gun)とは、機関砲の作動方式、またはその作動方式を用いた機関砲の通称である。
本来はメーカーの商標であるが、既にある程度定着している上に、類似した機関砲を量産している所も無いので特に区別はされていない。
概要
一般的な機関砲は発砲時のガスや反動を利用して連射しているが、外部にモーターを付けてこの連射機構を直接動かすようにしたのがチェーンガンである。チェーンガンの名はこの駆動部分にチェーンを利用している事に因む。
動作の信頼性が高いのが特徴。普通の機関砲では不発射弾や排莢不良が発生すると射撃が止まってしまうが、チェーンガンではそのまま機関部を動かして不良弾を捨て、射撃を続ける事が出来る。このため、戦闘ヘリや装甲車など、トラブルが起きた時に乗員が外へ出て対処するのが困難な装備で採用されている。
EX-34の耐久テストでは29721発をトラブル無しで撃ちきったとか。
モーターの回転速度を変えることである程度連射速度を調整することが出来るという利点もある。セミオート射撃も可能。
同様の外部動力式機関砲としてはガトリング砲がある。複数の銃身や薬室、回転機構等を持つガトリング砲に比べると、単砲身・単薬室のチェーンガンはよりシンプルな構造で軽量である一方、発射速度では劣り、通常のガス圧式機関砲とあまり変わらない。このため、瞬間的に大量の弾をばらまく必要のある戦闘機・CIWS等には向いていない。
開発経緯など
1972年、ヒューズヘリコプターによって研究開発が開始された。当初は歩兵戦闘車向けの20mm機関砲の計画であったが、より大口径の試作も行われ、1975年、新型攻撃ヘリ(後のAH-64アパッチ)用の機関砲として30mm版のものが採用される。これが初代となるM230チェーンガンである。
その後、弾種切り替え機構などを備えたブッシュマスターやより小口径のEX-34等が開発された。
ヒューズヘリコプターは1985年にマクドネル・ダグラスに買収され、MDヘリコプターズとなった。その後もチェーンガンの生産は続いていたが、1997年に親会社マクドネル・ダグラスがボーイングに吸収合併されてしまい、その後の再編でチェーンガンの生産を2002年にATK社に売却。そのATKも2010年代に合併・再編を繰り返し、2019年現在ではノースロップ・グラマン子会社のノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズが生産している。思えば随分遠くへ来たものである。
誤解
知識不足による誤解からか、フィクション等ではどう見てもガトリング砲なものをチェーンガンと呼んでいる例が散見された。
映画「プレデター」の翻訳時に、ミニガンをチェーンガンと呼んだのが発端と言われているが、異説もある。
関連動画
関連項目
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