チップセットとは、
この項では2について解説する。
概要
かつてのコンピュータでは、要求される仕様を実現するためCPUの周りに数多くの周辺ICを組み合わせて回路を構成していた。しかしそれはシステム全体が高価格になる原因の一端となっていたため、i80286の頃から従来より高密度集積なごく少数のICに統合したものが開発されるようになる。それが現在のチップセットである。
当時はまだチップセットという名称は浸透しておらず、単なるASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途に特化した集積回路という意味)として扱われていた。チップセットという名称がある程度浸透するのはIntelがi486向けにi420チップセットシリーズを発売した頃からである。
現在のチップセットは非常に数多くの機能を統合しているが、PC内でデータの流れを中継するのが主な機能となっている。通常は2枚組みで構成され、CPUと一直線に接続される。CPUに直接接続されるほうがノースブリッジ、ノースブリッジを通して間接的に接続されるほうがサウスブリッジと呼ばれ、2枚組みが主流なのは歩留まりの向上と諸デバイス規格の世代交代へ柔軟に対応するためである。
稀に、低価格化を目的として歩留まりの悪化と柔軟さの喪失を許容してでも1チップ構成にしたものも存在した。
従来はノースブリッジにはメモリやPCI Express、かつてのAGPなど高速なインターフェースおよびデバイス、サウスブリッジにはUSB、SATA、かつてのUATAやPCIなど比較的低速なインターフェイスを接続するという認識が一般的だったが、最近ではメモリコントローラ、PCI Express、更には内蔵GPUまでもCPUに統合する製品が出てきており前述の低速、高速による区分けは必ずしも通用しなくなってきている。
グラフィック統合チップセット
チップセットのバリエーションによってはノースブリッジにグラフィックコアを統合しているものもあり、これは特に「グラフィック統合チップセット」などと呼ばれる。「グラフィック」が「VGA」や「ビデオ」に置き換わったり、そもそも何もつかなかったりする場合もある。
グラフィックボードを別個に搭載するよりも低価格、省電力、省スペースが実現できるため低価格向けのPCを中心に幅広く採用されているが、性能は稀に同時期のローエンドGPUと同等と謳うものがあったりしたものの、ほとんどはそれより更に低いどころか一世代、二世代前のローエンドにすら負けていることもあった。といっても通常の使用ではほぼ問題ない範囲で、性能がネックになるのは画面描画にDirectXを使ったプログラム、すなわち3Dゲームやごく少数の2Dゲームだけのはずだった。
しかし、その影響をモロに受けてしまった運の悪いソフトがあった。Windows Vistaである。
というのも、Windows Vistaは従来画面描画がGDI+とDirectXの二種に分かれてしまっていたのを内部構造の整理のためにDirectXに一本化したOSであった。そのためVistaで用いられる画面効果の一部はDirectX9.0の機能を利用したものであり、そして当時普及していたグラフィック統合型チップセットに内蔵されたグラフィックコアの大半はDirectX9.0に対応していなかった。すなわちVistaの機能の一部が使用できなかったのである。仮に対応していて利用できたとしても、性能が低いためお世辞にも快適とは言いがたかった。これはVistaが大不評を買う原因の一端となったものであり、それによってかVistaの普及はなかなか進まなかった。
こういった事情から現在では統合チップセット搭載のグラフィックコアも強化されてきており、現在Windows Vista及びWindows7を通常使用する範囲では特に問題のない程度の性能になっている。
チップセットを製造している(していた)主なメーカー
Intel
AMD
SiS
VIA Technologies
NVIDIA
かつて製造していたメーカー
ALi/ULi (NVIDIAが買収)
ATI Technologies (AMDが買収)
関連項目
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