チャレンジャー2(FV4034 Challenger 2)とは、チャレンジャー1(FV4030/4 Challenger 1)を改良したイギリス陸軍の現用主力戦車(MBT)である。
概要
複合装甲、120ミリ戦車砲、大出力水冷ディーゼルエンジン、高度なFCSと、第三世代戦車の特徴を備えた戦車である。防御力の高さに定評があるものの、その代償としてか第三世代MBTのなかでは(おそらく)もっとも大柄で重い車両であり、その重量は約62.5トンにもなる。
チャレンジャー1と外観はよく似ているが、砲塔が再設計されており、暗視装置の位置が砲塔右から砲塔前中央上面(主砲基部状に同軸配置)となった。
120ミリ滑腔砲とAPFSDS、HEAT-MP全盛の時期に、ライフル砲でHESH(粘着榴弾)を発射する。紅茶を沸かすポットが付いているなど、英国気風あふれる素敵仕様となっている。但し、そのためというわけでもないだろうが、輸出実績は全くと言っていいほど振るわない。
採用例としてはオマーンぐらいか?
物好きな…それとも、かつての大英帝国の一員としての好なんだろうか…?2035年まで使い続けるってさ。
ティーポットはエンジンの余剰エネルギーでお湯を沸かすことで実現しています。これにより、核戦争下でも戦車の外にでることなくティータイムを満喫できるわけですね。
さすがイギリス!!
平時の射撃競技会では万年最下位でその性能を疑問視されてたが、湾岸戦争ではイラク軍戦車を一方的に200両近く撃破したうえ、T-55を5100mという超遠距離で撃破し、主砲のライフル砲とチャレンジャー2に対する評価が急上昇した。
これはチャレンジャー2の評価ではなく、チャレンジャー1の評価だそうです。。。
装備
- 主砲:120mm55口径ライフル砲L30A1
- ライフル砲が採用されたのは英陸軍でHESH(粘着榴弾)の装備が続いているため。
なお、徹甲弾はAPFSDSを用いており、すでにAPDSは退役している。 - 主砲弾
- APFSDS(離脱装弾筒付翼安定式徹甲弾)
- CHARM 3(APFSDS)
1990年代前半から開発が始まったAPFSDS。正式採用名はL27A1
1997年に開発が終了し、1999年時点で2個戦車連隊がこの砲弾を装備している。
弾体は劣化ウラン製。
弾体の外周部だけを空回りさせるスリップリングをもつことで、ライフル砲からAPFSDSを発射することを可能にしている。
なお、弾体がタングステン合金でできたCHARM 2も存在し、部隊に配備されている。 - HESH(粘着榴弾)
- HEAT-MPが全盛であるものの、軽装甲目標や建造物への効果という面ではHESHも劣っていない。
またAPFSDSのような装弾筒付きの弾薬より射程距離が長くなるという利点もある。
なにより安い。 - 煙幕弾
- いわゆる白燐弾。ただの眼つぶし。焼夷効果?あんまりない。
- 弾薬分離式の砲弾
- 砲弾の形式はイギリスで慣例となってい弾薬分離式であるが、射撃速度の低下にはいたっておらず、
装薬が装甲化された保管庫に入れられているためかえって生残性が向上しているとのこと。 - 主砲同軸機銃
- L94A1 Ex-34 7.62mmチェーンガン
これがSA80と並ぶジャムおじさんであり、少なくとも一度は暴発事故で死者を出している。何故、同軸機銃と対空機銃。それも同じ弾薬を使う機銃で、別物を搭載したかは謎である。チェーンガンをバックにしまいなよ… - 対空用機関銃(装填手ハッチ前部)
- L37A2 7.62mm機関銃(4200発搭載)
- 主砲の換装
- チャレンジャー2の特徴の一つであるライフル砲であるが、すでにライフル砲で使用する砲弾は製造されていない。その上、他のNATO諸国と砲弾の互換性が全くないなどの問題を抱えている。
そのため、主砲の換装計画(CLIP)が進んでいる。この計画が実行に移された場合、主砲はドイツのラインメタル社製、55口径120mm滑腔砲に換装される。
換装された場合、英国独自のスリップリング付きAPFSDSやHESHなどもともに退役となってしまうのだろうか?スリップリング付きAPFSDSはともかく、HESHは複合装甲装備の3GMBTが相手の場合、あまり効果がないのでやむを得ないのかもしれないが…… - →チャレンジャー3において無事、L55A1滑口砲の採用が決まりました。
車体
チャレンジャー2の車体はチャレンジャー1から大幅な変更はなされておらず、車体上部の広い範囲が複合装甲で保護されている。複合装甲の性能は定かではないが、複合材の改良によりチャレンジャー1から強化されているものと思われる。
車体下部や車体側面は複合装甲のない一枚板となっており、この車両の弱点としてよく指摘される。実際、イラク戦争ではRPG-29によって車体下部を貫通され、乗員3人が負傷するという事態が発生してしまった。
とはいえ、腐っても戦後第3.5世代戦車。完全破壊されたのはフレンドリー・ファイアによる2台のみ。
更に、英国は追加装甲パッケージを開発しており、これを装備することで車体下部、車体側面、砲塔側面の防御力を補っている。チャレンジャー2TESというバージョン至っては、なんとエンジンブロックを除く車体側面のほぼ全面を複合装甲と爆発反応装甲が覆うという徹底ぶり。おそらく現時点でもっとも強固な車体装甲を持つMBTのひとつだ(おかげで重量は70トンを越えてしまったが)。
砲塔構造及びFCS
チャレンジャー1では砲塔側面に切り欠きを作り、そこに砲手用のサーマル照準機を設置してあった。この配置は主砲と照準器の位置が離れていたことにより命中精度が芳しくないとされており、NATO戦車協議会で最悪の成績を叩き出してしまった過去もある。流石にこれはまずいと思ったのか、何か他の意図があったのかは定かでないが、英国陸軍はチャレンジャー2でこの設計を変更し内部コンピューターなども一新。ここまでは良かった。
しかし砲手用のサーマル照準機を、どういう意図があってかは不明であるが主砲の基部に設置してしまう。このため、加熱した砲身の放熱によってサーマル映像が乱れるほか、距離が遠くなると仰角を取った砲身が照準器に映り込むという欠点を抱えることになってしまった。
また、砲塔正面の複合装甲そのものは順当に強化されているものの、主砲の防盾の部分には複合装甲が無いとされている。この場所に今時の対戦車兵器を喰らってしまった場合、かなり大きな被害を被ることが予想されている(もっとも、これは他の戦車にも共通する弱点ではあるが)。
エンジン
Perkins CV-12 12気筒ディーゼルエンジンを装備している。出力1200HP
1200Hpと第3世代戦車の中では比較的低出力。その上重量が62.5tと重いため、路上最高速度が59km/hと同世代の戦車と比較すると足の遅さが目立ってしまう。(ちなみに90式戦車は70km/h、M1エイブラムスは67km/h)
ちなみに、中東輸出向けのチャレンジャー2EにはEuroPowerPack(ドイツMTU社製MT833 12気筒ディーゼルエンジン(1500HP)と、ドイツRenk社製 HSWL 295TM オートマチックトランスミッションを組み合わせたもの)を装備し、馬力不足を解消している。
数少ない救い
しかも追い打ちをかけるように、英国では一律で各省庁の予算大削減を実施。それにより一時期英国陸軍は、戦車隊の全廃さえ迫られた。しかしそれでは国外派兵にも対応できないという、陸軍の主張が受け入れられ、最低で3個連隊程度の維持は許されている。
また、ほぼ製造が停止していた弾薬。予備部品の製造ラインの稼働再開。主砲換装は相変わらず棚上げだが、必要最小限の近代化の予算もついており、今後も英陸軍のMBTとして活躍すると思われる。
【2021 : UPDATE】
なんと英国がチャレンジャー2に大幅なアップグレードを施したチャレンジャー3の採用を決定!
チャレンジャーの戦いはこれからも続く!!
派生型
他国の戦車の例に漏れず、チャレンジャー2にも車体を使い回しした派生型が存在している。
- タイタン
- 戦車橋。車体の上にでっかくて頑丈な橋を乗っけたタイプ。
26mの一本橋にすることもできるし、12mの二本の橋として使うこともできる。
耐荷重は……自分で使うんだから70tくらいまでは大丈夫なんじゃなかろうか?情報求む。 - トロイ
- 戦闘工兵車両。ごついドーザーやらショベルアームやらごてごてついてるタイプ。
陣地構築、敵陣の破壊、地雷原啓開などなど、地味だけど非常に重要な役割をこなす。 - CRARRV
- Challenger Armoured Repair and Recovery Vehicleの略。
装甲回収・補修車両といったところか。一般的にいう戦車回収車。
ただ回収するだけじゃなく、簡易的とはいえ補修キット付きで、軽微な損傷ならその場で戦車を修理可能なすぐれもの。
関連動画
硬派FPSであり陸戦シム"ARMA3"のMod。個人制作でありながら車内グラフィックが精密に再現されている。
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関連項目
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