ツチブタ(土豚)とは、動物の一種である。
概要
ツチブタ目ツチブタ科ツチブタ属に属する動物で、同目・科・属において現存するものは本種しかいない。学名は「Orycteropus afer」。英名は「Aardvark」で、アフリカーンス語の「Aard(土の)」「Vark(豚)」をそのまま訳したものが現在の和名につながったとみられる。
体長は100~160cm前後、そのうち尾が45~60cmで、体重は40kgほどある。体毛は茶色か黄みがかった灰色。地面を掘る際の摩耗で、老齢の個体ほど毛が薄い傾向にある。「ブタ」という名のとおり、鼻の先端は平坦で、四肢は短く、「ブーブー」と鳴く。ただブタと一致しているのはこれくらいで、長い鼻、長く垂れ下がった尾、前足の発達した爪など、分類学的にはアリクイの方が近い。またウサギのようにピンっと立った大きな耳も特徴的である。
アフリカ大陸サハラ砂漠以南のほとんどの地域に分布しており、エサであるアリ・シロアリが1年中獲れる草地や開けた森林に生息している。前足の爪ですばやく地面を掘り、エサを見つけたりトンネル状の巣穴を作ったりする。外敵や雨風を凌ぐための一時的なものもあるが、複数の出入り口を備えた数十メートル以上の長さの巣穴を最低1つは持つ。また臆病な性格で、外敵と出会ってもすぐ巣穴へ引っ込んでしまうことから、野生のツチブタと出会うのは難しいとされる。
基本夜行性で、群れではなく単独で生活している。尾の付け根には臭腺があり、そこから分泌される黄色い刺激物で縄張り行動をとる。ただおとなしい性格であることから、縄張りが他のツチブタのものと重複しても戦ったりはしない。
ツチブタが放棄した巣穴はヘビなどの小型生物も利用するため、生態系の維持につながっている。しかし地面を掘り返すという特性上、農牧地ではひどく嫌われており、駆除の対象になる。また古代エジプト神・セトの頭部がツチブタであることから、神秘的な特性を持つと一部で信じられており、本種の爪・歯などは薬やお守りとして利用される。
IUCNのレッドリストでは最も絶滅の危険性が低い「低危険種(LC)」に分類されており、日本でも複数の動物園で飼育されている。
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関連項目
外部リンク
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