よるとかぜはめにみえない。
おれたちはゆめをみたんだろうな。
テスカトリポカ(小説)とは、佐藤究による小説である。2021年2月19日に角川書店からハードカバー初版が発行された。
概要
著者が三年以上かけて執筆した、アステカの旧暦に則り全52章で構成された大作であると同時にメキシコ、ジャカルタ、神奈川県川崎市を主な舞台とする、麻薬、抗争、臓器売買、アステカ神話などを盛り込んだ、史上もっともヤバい直木賞の異名を取る問題作。
様々な国の犯罪模様を描いた圧倒的なスケールとそれに負けないキャラが立ち過ぎた登場人物達が話題を呼び第165回直木賞と第34回山本周五郎賞のW受賞を始め、『このミステリーがすごい!2022年版』国内編や週刊文春ミステリーベスト10、「ミステリが読みたい! 2022年版」でトリプル2位にランクインするなど批評家と読者両方から極めて高い評価を獲得した。
テスカトリポカとはナワトル語で「煙を吐く鏡」を意味する神様。詳しくはテスカトリポカの記事へ。
登場人物
土方コシモ
2002年生まれのメキシコと日本のハーフ。漢字での表記は土方小霜。スペイン語ばかり教える母親からは碌に日本語を学べなかったため日本語の識字能力は小学校低学年以下だが手先は器用で絵も上手い。好物は鶏肉のボイル。13歳時で身長は188cmになり、19歳時には208cmまで伸び体重は130kgを超すなど天を突くような大男へと成長。その肉体は神の化身とも呼ぶべき神話じみた身体能力を誇る。あだ名は断頭台(エル・パティブロ)。
バルミロ・カサソラ
捕らえた敵の一部分を液体窒素で凍らせハンマーで粉々にする拷問を好むことから粉(エル・ポルボ)の異名を持つメキシコ人。メキシコ北東部で最大勢力を誇ったカルテル「ロス・カサソラス」を仕切っていた四兄弟の1人だったが、敵対するカルテルのドローン爆撃で自分以外の兄弟を失うなどして身を追われ、様々な国を渡り歩き、協力者を見つけ最終的に日本を根城に、自分を追いやったカルテルを壊滅させて再びメキシコ裏社会に君臨するため麻薬密売やレッド・マーケットに乗り出し資金を集め、武装集団を育てる。あだ名は調理師(エル・コシネーロ)。
末永充嗣
ボルダリングが得意なことから蜘蛛(ラバ・ラバ)のあだ名で呼ばれる心臓血管外科医。コカインの愛用者でもある。かつては日本国内でも名の知れた名医だったが、38歳の頃に少年を轢いて死なせてしまい、野村の手を借りて国外へ逃亡。臓器売買のコーディネーターをしていたところペルー人と偽っていたバルミロと出会い、紆余曲折あって彼の元で医師(メディコ)として血の資本主義に身を捧げていく。
野村健二
川崎市に拠点を置く闇医師。かつては関西の大学病院に勤務する麻酔科の医師だったが、立場を利用して医療薬品を転売して小銭を稼いでいたことがばれ日本の医療界を永久追放された。あだ名は奇人(エル・ロコ)。
伊川徹
川崎市中原区の自動車解体場で働く31歳の男性。あだ名はスペイン語でスクラップを意味するチャターラ。身長178cm体重154kg。一見すると気の優しい肥満体の男だが、ノーギアのベンチプレスで290kg、ワンハンドアームカールで105kgを挙げ、握力は160kgを超えるなど凄まじいパワーを持ち、尚且つそれに負けない暴力衝動と残虐性の持ち主。解体場で行われる不法行為の元締めをしていたところ、過去の経歴からバルミロに気に入られ、用心棒(バウンサー)から殺し屋(シカリオ)へと変貌する。
宇野矢鈴
24歳の保育士。働いていた保育園が労働基準法違反と園長によるパワハラに端を発したストライキで機能不全に陥ったため疲労困憊していたところを野村にスカウトされ児童擁護団体「かがやくこども」を手伝うようになる。趣味は映画観賞とコカイン吸入。あだ名はマリナル。
座波パブロ
ペルー人の父親と日本人の母親の間に生まれ沖縄の那覇市で育ったナイフ職人。あだ名は陶器(ラ・セラミカ)。ナイフ造りの腕前を聞きつけたバルミロに小田栄の工房を与えられ、そこで作品を製作していくがある日、人間の髑髏の加工を依頼され自分が裏家業に関わっていることに気付き苦悩する。
リベルタ
バルミロと兄弟たちを深く愛し、母親のように面倒を見てくれた祖母。リベルタというのは親類に付けられたスペイン名で、本当の名前は鏡の雨(テスカキアウィトル)。アステカの末裔の1人である先住民族で、神話に詳しい本物の呪術師。ある意味元凶の元凶。
用語
- チョクロ……バルミロらが扱う、スラムの汚れた空気ではなく日本の清潔な空気を吸って健康に育った子供の心臓。元はペルー原産の謎めいたトウモロコシの名。
- ドゴ・カルテル……アルゼンチン出身のリーダーが率いるメキシコで急速に勢力を伸ばして来た新興勢力。名前はピューマすら噛み殺す世界最強の闘犬ドゴ・アルヘンティーノにちなむ。
- バラクーダ……オニカマスの名を冠するサイレンサー付きショットガン。
- かがやくこども……表の顔は家庭内暴力の被害に遭っている無戸籍児童の保護を目的としたNPO団体だが、実態は孤児となった子供たちの血液や心臓を始めとした臓器を売りさばくブラッド・キャピタリズムのための箱庭。
関連動画
関連生放送
受賞した第34回山本周五郎賞や第165回直木賞の、受賞作品発表会のニコニコ生放送。タイムシフト視聴可能。
山本周五郎賞の受賞発表時には、生放送を見ていたニコニコユーザーからリアルタイム投稿されていたコメントとして「順当」「そりゃそうだろうね」「だよね」「コメント欄の評判通りですか」などと語られており、割と前評判通りの受賞だったことがわかる。また、選考委員の江國香織は「他の候補作4作については選考者の中で推す人と推さない人が割と分かれたが、受賞作テスカトリポカに関してはほぼ満場一致でした」等と話している。
関連リンク
関連項目
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