テンカラとは、毛鉤を使う釣りの方法の一つである。
概要
主に日本の渓流域で、イワナやヤマメなどの川魚を狙うのに用いる。
竿は3.6mを中心に短いものが多い。
非常に手返し良く釣ることができるのが特徴。
ただし名前の由来ははっきりしないらしい。
毛鉤を使う釣りといえば、西洋で発達したフライフィッシングが有名であるが、テンカラは日本の伝統的な釣りである。
この2つの釣りを比べながら見るとわかりやすいので、以下に相違点を記述していく。
テンカラとフライフィッシングの相違点
テンカラは渓流魚の職業漁業として始まった釣法なのに対して、フライフィッシングは英国貴族のレジャーに端を発する。このためテンカラは数釣りを念頭に置いた極力シンプルで効率の良いスタイルが好まれ、対してフライフィッシングは趣味性の高さが求められる傾向にある。詳細については以下の通り。
リールの有無
まず最も大きな違いは、リールの有無である。もちろん竿もそれに合わせて異なる。
これは、ヨーロッパと日本の川の違いによるものといってよい。ヨーロッパでは、川幅が広く流れも緩やかな場合が多いので、リールを使って糸を長く巻いておき、遠くを狙いたい。一方、日本の渓流は川幅が狭く、流れが激しい。また、木々も覆いかぶさりがちなので、長い竿やリールは不要どころか邪魔になる。
毛鉤の違い
両者の毛鉤は一応兼用することもできる。明確な区分はない。
しかし、概ねテンカラはフライに比べてシンプルで、鉤に糸(スレッド)で作った細いボディと、薄く巻かれた羽(ハックル)だけであることが多い。またテンカラ釣りの場合は、毛鉤の形状や精度にはあまり拘らない傾向にある。
フライは逆に虫の擬態を精巧に真似る傾向にある。また非常に多岐にわたるデザインが模索され、太いボディを持つものや、羽がたくさん密に巻かれているものが増えてきている。
この差の理由は次項で述べる。
釣り方の違い
これも必ずしも応用ができないわけではないが、ある程度の差がある。
フライの場合、基本的には流れにフライを乗せたまま流していくのが基本であり、精巧な偽物の虫で魚を騙すというのが基本だ。そのため周囲に生息する虫に似たフライを選び(マッチ・ザ・ハッチ)、フライを魚にしっかりと見せる。下流側に流れすぎた場合は上流に向けて竿を回転させるように動かし、フライを上流側へ移動させる(メンディング)。
ところがテンカラの場合は、逆に糸を張り、竿を小さく動かして、流れも利用して毛鉤自体に動きを与え、誘って釣る。毛鉤の精度よりも動きで魚の本能を刺激するのがテンカラの基本で、反応が悪い場合は毛鉤交換よりもポイントを変える事が多い。手返し良く数を打ち、多くの魚にアプローチするのがテンカラの基本となる。
糸の違い
テンカラではテーパーラインかレベルラインの先にハリスを結ぶ。テーパーラインの方が初心者でも扱いやすいが、使いこなせばレベルラインの方がテーパー特有のクセに惑わされることがない。材質はどちらもフロロカーボンやナイロンを使う。
一方フライは特殊で、非常に太く重いフライラインをリールに巻き、その先にリーダーを結び、さらにティペットを結ぶ。これは、仕掛けの重量の無いフライを遠くへ飛ばすため、フライライン自体の重さを使うのが目的。フライラインの材質はポリ塩化ビニルなどが一般的だが、かつてはシルクが用いられており、現在でも高価ではあるがシルクラインが出回っている。
以上のように、テンカラとフライフィッシングはどちらも同じ毛鉤釣りであるものの、生まれた国によってその土地に合わせた進化を遂げてきた。
もし機会があれば、どちらか一方しかやったことがない方や、どちらも未経験の方も、是非テンカラやフライを試してみてはいかがだろうか?
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