テーオーケインズ(T O Keynes)とは、2017年生まれの日本の競走馬。栗毛の牡馬。
門別町・ヤナガワ牧場生産、栗東・高柳大輔厩舎所属
馬主は小笹公也(テーオー冠を使っている元プロボクサーなリフォーム会社の社長。ホウオウ冠を使っている小笹芳央は実兄)
主な勝ち鞍
2021年:帝王賞(JpnⅠ)、チャンピオンズカップ(GⅠ)、アンタレスS(GⅢ)
2022年:JBCクラシック(JpnⅠ)、平安S(GⅢ)
名前の意味は「冠名+人名より」。おそらく経済学者のジョン・メイナード・ケインズと思われる。同期にテーオーマルクスいるし。
概要
父*シニスターミニスター、母マキシムカフェ、母父マンハッタンカフェという血統。
父の*シニスターミニスターは現役時代ケンタッキーダービーの有力ステップ、ブルーグラスSで2着に12馬身以上離して圧勝したが、それ以後勝ちを挙げられず引退。引退後150万ドルで日高の生産者グループに購買され、アロースタッドにて種牡馬入り。種牡馬入り後はインカンテーションやヤマニンアンプリメ、ドライスタウトなどダートの短中距離を得意とする産駒を多数輩出している。
母のマキシムカフェは現役時代未勝利。母の半妹にレディスプレリュードを勝ったタマノブリュネット、4代母の産駒にオークス馬レディパステルがいる。
競走馬時代
3歳まで
2歳になり高柳大輔厩舎へ入厩。2歳10月の京都開催でデビューし、ダートの1400mを7番人気から3着に入る。次戦に同条件で後続に4馬身差を付けて勝ち上がり、続く1勝クラスの寒椿賞で3番手から上がり最速の脚を使うも前残りを許し3着となる。
年が明けて2月の東京ダートマイルで1勝クラスを勝ち、続くダートオープンの伏竜Sでは中団から脚を伸ばして2着に入るも、リステッドの鳳雛Sでは大きく出遅れて最後方からとなり、追い込むも7着となる。
休養(詳しくは後述)を挟んで京都開催最終週の2勝クラスでは後の重賞馬サンライズホープを相手に4馬身差をつけて快勝し、続く3勝クラスの摩耶Sでは好位から脚を伸ばし2着に2馬身差をつけてオープン入りを果たす。
続くリステッドのベテルギウスSでは1番人気に支持され、レースでは中団から構えて脚を伸ばしたが、先に抜け出たオーヴェルニュに届かず2着も昇級初戦で好走。
そして年末の東京大賞典でGⅠ初挑戦。3連覇が期待されたオメガパフュームが圧倒的人気となり、ダノンファラオ、ウェスタールンドのダートグレード実績馬に離されたがそれに続く4番人気となる。レースでは中団前目を追走し、直線では最後まで前に追いすがり、0.2秒差の6着と好走する。
4歳
年が明け3月の中京、オープンの名古屋城Sから始動。1番人気に支持され、水の浮く不良馬場で行われたこのレースでは、道中3番手から早めに先頭を捕まえてそのまま押し切り勝ちを収める。
続いて阪神のアンタレスSへ出走。2勝クラスから松山弘平が乗っていたが騎乗停止の為松若風馬にスイッチ。ヒストリーメイカーやアナザートゥルース等実績馬を抑えて1番人気に支持され、レースでは中団前目から早めに上がり、直線半ばで抜け出して2着に1と3/4馬身差をつけて重賞初制覇を果たす。
そして帝王賞へ出走。ここでは大井2000巧者オメガパフューム、ドバイWC2着からの国内復帰戦であるチュウワウィザード、JpnⅠ2連勝中のカジノフォンテンが人気を集め、テーオーケインズはそれに次ぐ4番人気となる。大井競馬場は曇天で馬場は水分を多く含んだ重馬場であった。
レースはカジノフォンテンが逃げ、ダノンファラオがそれをマークする形で淡々と流れる中、インの好位でじっくりと脚を溜める。直線に入って一気に最内から突き抜け、途中ヨレながらもノンコノユメやクリンチャーの追撃を完全に振り切り、2着ノンコノユメに3馬身差を付けて圧勝。松山は2015年コーリンベリー以来、厩舎や馬主はJpnⅠ初制覇となった。なお人気薄のノンコノユメが突っ込んできた事もあり3連単は238万馬券となった。
休養を挟んで金沢2100mのJBCクラシックから始動。ここでは1番人気に推され、続いてオメガパフュームにチュウワウィザードと、戦前は帝王賞の再戦ムードが漂っていた。しかしスタートで大きく出遅れてしまい、それをカバーする為脚を使って先頭を見る3, 4番手まで押し上げる。しかし直線に入って今ひとつ伸びを欠いて4着となる。
その後チャンピオンズカップへ出走。ここでは白毛の桜花賞馬ソダシがダート路線に参戦し注目を集め、地方からカジノフォンテンが出走。他にはチュウワウィザードやカフェファラオなども参戦。最終的には単勝3.3倍の1番人気に支持された。
レースでは最内枠のソダシがハナを切り、テーオーケインズは5, 6番手の好位から追走する。若干行きたがる素振りもあったが鞍上の松山が宥めつつ進み、直線入口でソダシを捕まえにかかったインティを残り200m地点で楽に交わすと勢いは衰えず。結果2着チュウワウィザードを6馬身突き放して圧勝。一気にダート路線の頂点へと上り詰めた。
なおチュウワウィザードとのタイム差はジャスト1秒開いている。JRAのダートG1で1秒以上のタイム差が付いたのは、あのクロフネの2001年ジャパンカップダート以来2例目である。
5歳
年が明け、チャンピオンズカップ勝利によって優先出走権を得たサウジカップへ出走。日本からはこれを引退レースとするマルシュロレーヌと共に出走し、海外勢からは前年勝馬Mishriffを筆頭に米GⅠ馬Mandalounや欧州芝路線の有力馬も参戦。
レースではスタートからポジションを取ろうとするも、流れが激しくこれが上手くいかず、厳しい流れで道中おっつけ放しのまま直線でも伸びず8着に敗れた。騎手調教師共に敗因としてペースを挙げていた。
その後間もなく帰国し、若干間を空けて帝王賞を目標に平安Sへと出走。相手にはオーヴェルニュやメイショウハリオなどがおり、別定戦の為59kgを背負う事となるも、最終的には単勝1.8倍と一本被りの人気となる。
レースでは普通にスタートを決め、サンライズホープやダノンファラオを行かせて道中それらを見る3番手から進める。向こう正面に入る頃にはペースも完全に落ち着き、4コーナーから直線にかけて最内から非常にスムーズに外に出され、直線では先に抜け出したケイアイパープルを残り150m付近で捉え、なお2馬身半突き放してゴール。重賞4勝目を挙げた。
次走の帝王賞では本馬の他にオメガパフューム、チュウワウィザードの7歳2大巨頭を抑えて単勝1.5倍の1番人気に支持された。出走馬は地方馬の回避が相次ぎ中央馬7頭、地方馬2頭の9頭立てとなった。
レースでは前に行くオーヴェルニュ、クリンチャーを見る位置で追走し、中盤でスワーヴアラミスが仕掛けた所に対応して突っ張っていったが、結果的にここでリズムを崩して脚を使わされた格好となり、中団以降に構えていたメイショウハリオらに直線交わされて4着に敗れた。
秋は盛岡のJBCクラシックへと直行。チュウワウィザードが電撃引退、オメガパフュームも回避したため、実績でもNo.1の立場となり単勝1.8倍の1番人気。
レースは積極的に逃げる馬がおらず、3歳馬クラウンプライドがスローペースで逃げる展開の中、外枠から枠なりに6~7番手の外目で進めると、3コーナー前から徐々に進出。直線入口で射程圏に捉えると、残り200mでクラウンプライドを捕まえ、ねじ伏せるように力強くかわして横綱相撲の完勝。前走の雪辱を果たし、改めてダート界の王者であることを示した。
年内ラストは連覇をめざしチャンピオンズカップへ。昨年圧勝した舞台、クラウンプライドら主立った相手にも前走で勝負付けが済んでおり、誰がどう見ても連覇濃厚。1.5倍の1番人気に支持される。
ところがスタートで出負けして、終始大外を回らされる展開に。直線でもいつもの伸びがなく、先行押し切りを図るクラウンプライドを捕まえられない。さらに外から飛んできたダート転向からの上がり馬ジュンライトボルトの末脚に置き去りにされて、3歳馬ハピもかわせず4着。
6歳
明けて6歳となった2023年はドバイワールドカップを目標に定め、川崎記念から始動。追い切りの内容が良くないことが不安視されつつも、東京大賞典を勝ったウシュバテソーロと人気を分け合い、2.0倍の1番人気に支持される。
今回はスタートを決めて先行し、ハナを切るライトウォーリア、ホームストレッチで捲ってきた紅一点テリオスベルの2頭を見ながら内に構えるが、後ろからウシュバテソーロにガッチリとマークされる。松山騎手はライトウォーリアの方が手応えがいい、テリオスベルは垂れると見て4コーナーで外に出し、ライトウォーリアの外を回したが、テリオスベルが垂れなかったことで結果的にこれが痛恨の判断ミスに。その隙を逃さず内の空いたスペースを綺麗に回ってきたウシュバテソーロにかわされ、直線で追いかけたものの相手は無類の末脚自慢。上がり最速の脚に押し切られ半馬身差の2着。松山騎手は「最後は差はなかっただけに、その(判断の)差が痛かったです。申し訳ないです」と肩を落とした。
続いては目標のドバイワールドカップ。鞍上にはオイシン・マーフィーを迎えた。
内枠からそのまま中団の最内に構えると、パンサラッサとそれを潰しに来たリモースの作るハイペースにマーフィー騎手がほぼ押っつけっぱなしの展開となるが、それでもそのまま経済コースを上手く立ち回り、直線では外から猛然と追い込んできたウシュバテソーロと馬体を併せて前を追いかける。一瞬ウシュバテソーロに続いて粘るアルジールスを捕らえるかに思えたが、最後に脚が止まってエンブレムロードにかわされて4着。
次走は帰国して帝王賞で二度目の制覇を目指す。夏の暑さが苦手で秋に再び海外へ赴くウシュバテソーロが不在のレースとなる模様で、川崎記念から当たってきたノットゥルノやテリオスベル、重賞を勝ち世代交代を狙うグロリアムンディに同期のハギノアレグリアスらとの対決となるようだ。
2021年の帝王賞やチャンピオンズカップのように、リズムよく運ぶ事が出来れば圧巻のパフォーマンスを見せるが、そうでないと脆さを見せる傾向があるテーオーケインズ。これで2022年の帝王賞以来、1着→4着→1着→8着→1着→4着→1着→4着→2着→4着と、いわゆるヌケヌケのような戦績が続く。
5歳秋から台頭してきたウシュバテソーロに一気にダートの王座を奪われてしまったが、帝王として威信を取り戻せるか。
休養の中身
いまや、押しも押されぬダート路線の王者として君臨するテーオーケインズ。
だが、実はこの馬の競走生活は、3歳夏で終わっていてもおかしくなかったのである。
といっても故障をしたわけではない。
ちょうどこのころ、テーオーケインズは鳳雛ステークスから間隔をあけ、夏の3歳馬限定ダート重賞であるレパードステークスに出走を予定していたが、あえなく除外。
その後、新潟競馬場で行われる2勝クラスのレースに出走するため、高柳厩舎に滞在していた。
そのレースの2日前。
高柳厩舎の隣にある村山明厩舎で火災が発生してしまったのである。
この火災で村山厩舎に所属していた馬4頭が逃げ遅れ、さらに被災した馬1頭が翌日に死亡し5頭の馬が犠牲になる大惨事になってしまった。
そして、この火災は村山厩舎にとどまらず、隣接していた高柳厩舎にも延焼してしまい、高柳厩舎の雨どいが溶ける被害が出た。
幸い同馬が火災に巻き込まれることはなく無事に救出されたのだが、この火災の影響を受け出走予定だったレースの出走を取り消し、休養に入ることとなった。
その後復帰し、現在の活躍を見せているテーオーケインズ。
もしかしたら、いろいろな人の思いを背負って走っているのかもしれない。
血統
*シニスターミニスター 2003 鹿毛 |
Old Trieste 1995 栗毛 |
A.P. Indy | Seattle Slew |
Weekend Surprise | |||
Lovlier Linda | Vigors | ||
Lida Summers | |||
Sweet Minister 1997 鹿毛 |
The Prime Minister | Deputy Minister | |
Stick to Beauty | |||
Sweet Blue | Hurry up Blue | ||
Sugar Gold | |||
マキシムカフェ 2007 黒鹿毛 FNo.1-l |
マンハッタンカフェ 1998 青鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*サトルチェンジ | Law Society | ||
Santa Luciana | |||
カフェピノコ 2000 栗毛 |
*ジェイドロバリー | Mr. Prospector | |
Number | |||
*ピノシェット | Storm Cat | ||
*ピンクタートル |
クロス:Mr. Prospector 5×4(9.38%)
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関連項目
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