概要
1980年代を代表する悪役スターで一時代を築いた大御所と言える。
1990年代になると次世代の俳優達が徐々に頭角を現してきてトップの座こそ退いたものの、第一線で活躍を続けた。
彼を支えている格闘技はテコンドーと散打(キックボクシングにグラップリングを取り入れたような格闘技)でいずれもの大会で優勝等している。
イケメンで且つ強面顔もでき、アクション俳優でありながら演技力は一般の演技派俳優に引けを取らない。
彼がよく出演する映画はアクションコメディ映画故に笑えるシーンの多い映画であるが基本的にディック・ウェイの役はシリアス一辺倒であることが多い。
数々のアクション俳優と共演してきたが、チョン・ファとは幾度となく悪の組織幹部ペアとして共演している。
その場合、多くはディック・ウェイの方が強めの実力に設定されている。
ちなみにチョン・ファとは七福星の敵のワルイージと言えば名前を知らない人でもアクション映画通なら一発で分かるのではないだろうか。
ディック・ウェイの持ち味は各動きのキレがとにかく良く、パワーとスピードを兼ね備えた流れるような殺陣を実現している。
またテコンドーで磨き上げたハイキック等の熟練の蹴り技の美しさは手練揃いのゴールデンハーベストメンバーの中でも最高クラスである。
ジャッキー・チェンと内村光良が似ていることは日本でもちょくちょく話題に上がるが、実はディック・ウェイと南原清隆もそこそこ顔が似ておりディック・ウェイとジャッキー・チェンが戦う動画などでは時折「ウンナン対決www」「ウッチャンナンチャンwwww」といったコメントが流れることがある。
~出生からショウブラザーズ時代~
1952年に台湾の屏東市(屏东市)で生まれる。
中学生のころから武術を習い始めて腕を上げて様々な武術大会で優勝などの好成績を残して、ついには自身の道場を開いたり警察学校で教官を務めるほどになる。
1977年にショウブラザーズからスカウトされ「屠龍」の芸名を与えられ映画デビュー!と思いきや1976年に台湾映画会社のドラゴン荒野の猛殺で飲食店の用心棒役として映画デビューをしていた。
しかしこのドラゴン荒野の猛殺はテレビのみでの公開であったため劇場デビューはショウブラザーズ入社以降となる。
その鋭い目付きと優れた体術によって、当時から悪役で用心棒でカンフーの達人という現在とあまり変わらないポジションを務めており、ヒット作にこそ恵まれなかったが確実に力を付けていった。
1980年に来日し日本のドラマハードボイルドGメン75の268話に出演。
当然のごとく悪役の幹部として出演するのだが特筆すべきはこのドラマにはブルース・リーの影武者を務めた何宗道や燃えよドラゴンに出演した怪物:揚斯など、ブルース・リーとゆかりの深いアクションスターが一挙に並び立つ凄まじい面子と共演を果たす。
1981年にショウ・ブラザーズから離脱しゴールデンハーベストに入社する。
これが非常に大きな人生の転機でもあった。
~ゴールデンハーベスト時代~
ショウブラザーズは60年代から香港映画界を盛り上げて来た老舗映画会社であったが、レイモンド・チョウが独立してからはブルース・リーやジャッキー・チェン、サモハン、ユン・ピョウ等の有力なスターがレイモンド・チョウのゴールデンハーベストで活躍し、ショウブラザーズはやや衰退気味であった。
ディック・ウェイが移籍後4年でショウブラザーズは崩壊したためこのタイミングでの移籍は非常に見事なタイミングだった。
さらにゴールデンハーベストに移籍直後にサモハン監督ユン・ピョウINドラ息子カンフーへの出演が決定!
この映画ではユン・ピョウやサモハンだけでなく、後に何度も共演するラム・チェンインや往年のアクション俳優のジェームズ田俊、少林寺三十六房で有名なリー・ホイサン、歌手のフランキー・チェンとも共演を果たす。
そしてなにより今後何度もタッグを組んで悪の組織の幹部役を揃って務めるチョン・ファとの初共演が大きい!がこの映画では確かに強敵ではあったものの王様の命令に従ったらそれを嫌がった王子に殺されるという何とも悲惨な役どころであった。
この映画で完全にサモハンのお眼鏡に止まり、続くチャンピオン鷹やサモハンの人気シリーズ燃えよデブゴン4へも出演する。
伝説のあの映画への大抜擢
ショウブラザーズ時代から悪役スターとしての地位を築いてきたディック・ウェイの元に舞い込んできた次なる仕事は、当時サモハンと双璧をなした売れっ子スターのジャッキー・チェン主演プロジェクトAの出演であった。
役どころは当然ラスボスで、作中で海上警察と敵対している海賊団の船長であった。
これだけならば主演がジャッキー・チェンであるということ以外は今までの仕事と大差ないように思われたが、このラスボスはただのラスボスではなかった。
使者を使って海上警察を操り船を爆破し海上警察を解散に追い込み、討伐に来た英国の戦艦を知略と剛腕で制圧し、ラストはジャッキー、サモハン、ユン・ピョウ、火星の四人をまとめて相手にして暴れまわるというまさに豪傑中の豪傑!
そう、この三人が初めてまとめて主役を務める映画でのラスボスである。
ディック・ウェイはこのとてつもない大役を見事に演じ切った!しかも周囲の期待のはるか上のレベルで!
当時まだディックは30歳過ぎと言うのに、彼の演じるロー・サンは圧倒的な貫禄や威圧感を放ち強烈な眼光をギラギラさせており、まさに歴戦の猛者!
豪傑と呼ぶにふさわしい完成度に至った。
これにより悪役スターとして不動の地位を確立する。
彼はこの役を行なう際に役作りとして体をかなり絞り上げて、今まで以上に鍛え上げ、全身にタトゥーを入れ、ジャック・スパロウばりに衣装にこだわったとのこと。
~黄金時代~
プロジェクトAに出演したその年にはサモハン主演にしてこちらもゆくゆく人気シリーズとなる五福星に出演。福星メンバーと初共演、チョン・ファやジェームズ田俊やラム・チェンインなどサモハングループと再共演。
そのスピンオフ作品の神勇雙響炮にも出演。
ほぼ同じ出演者で構成した99%続編のような作品の大福星にも出演し、ジャッキー・チェンと一騎打ちで再戦する。当時のボディービル女子チャンピオンの西脇美智子やラウ・カーリョンの弟のラウ・カーウィンと共演を果たす。
1985年はディック・ウェイにとってはなかなかの当たり年で8本の数の映画に出演している。
ファースト・ミッションにてジャッキー・チェンと再戦する。
レディ・ハード〜香港大捜査線に出演し、当時トップ人気であった女性カンフースターのシンシア・ラスコックやミシェール・キングと共演。
七福星に友情出演するが短時間ながら見応えのあるアクションを見せる。この映画のボスを務めるリチャード・ノートンや倉田保昭とはのちの上海エクスプレスで本格共演を果たす。アンディ・ラウとも共演。
サイキックSFX 魔界戦士にてチョウ・ユンファと初共演!
情逢敵手では若かりしドニー・イェンと初共演。ディック・ウェイにしては珍しいとにかくネタ満載のボスを務める。
1980年代に活躍する香港スターを集めに集めた冒険活劇上海エクスプレスにも出演し、かつて戦ったシンシアは今度は同僚の盗賊団役で出演。サモハンやユン・ピョウほか何度も共演している数々のアクションスター達、大島由香里そしてMr.空中三段蹴りにして元軍隊教官の鉄心(ウォン・チェンリー)という超大物とも共演するが、鉄中錚錚の中でもディック・ウェイは高いレベルの殺陣を繰り広げ存在感を出していた。
セブンス・カースでは珍しく主人公の一人として出演するが製作サイドが色々と残念であまりいい成績は残せなかった。この映画で倉田保昭とはエクスプレス時と立場が逆転している。
1987年になってイースタンコンドルに出演!ついに倉田保昭さんと揃い踏みでおまけにビリー・チョウも加わった3指揮官として共演。さらに将軍として強烈なキャラを発し今まで数々のスタントをこなしてきたユン・ワーとも共演する。
1987年も忙しい一年で6本もの映画に出演している。
1988年ではジャッキー・サモハン・ユンのトリオの最後となるサイクロンZに友情出演。ほぼ雑魚キャラとして出演したため動画などでは「ディック・ウェイの無駄遣い」等のタグを付けられることがある。
1989年にドラゴンファイトで将来ハリウッドで大活躍するジェット・リーと共演!
ぺディキャルドライバーに出演するがボス役ではなく珍しくボスに消されてしまう役どころを演じる。ディック・ウェイVSビリー・チョウ&チョン・ファの組み合わせでの戦いは悪役ばっかり演じてるこの三人に限ってまず見られないので必見。
~近年~
1990年代に入ってからも第一線で活躍を続けるものの徐々に次なる若手の育成の方へと回るようになる。
それでも年に2~4本以上の映画の仕事を引き受け活躍している。
1993年ではポリスストーリー3のスピンオフのプロジェクトSでミシェール・キングとジャッキー・チェンと共演している。
年齢が50を超えたころにはスーチーinセクシャル リベンジのように完全な善人役でかつ老人に近い役を演じることもある。
また香港映画がほとんどだった80年代に対し90年代以降は台湾映画にもそこそこ出るようになった。
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