時の支配者
彼が手にしたのは
究極の魔法
杖をひと振りして
時間を操るのだまわりにいる者たちの
何倍ものスピードで
彼は成長した前を走る者たちの
動きを止めて
彼は追い抜いて行った
ディープスカイ(Deep Sky)とは、2005年産の日本の競走馬・種牡馬である。
馬名は馬主の冠名ディープに空を意味するスカイを組み合わせたもの、転じて澄みきった大空という意味である。
ディープインパクトとは何の関係もない。
主な勝ち鞍
2008年:NHKマイルカップ(JpnI)、東京優駿(JpnI)、神戸新聞杯(JpnII)、毎日杯(JpnIII)
概要
父はサンデーサイレンスの最有力後継と言われたアグネスタキオン、母はアメリカの名牝系であるミスカーミー系の流れを引く期待の輸入繁殖牝馬*アビ、母の父はChief’s Crownという血統。
幼い頃から賢さと落ち着いた気性を持ち非常に期待された1頭であった。
仕上がりが早く早枯れと揶揄されるくらい走る馬は(脚元が弱くない限り)さっさと勝ち上がるアグネスタキオン産駒ながら、大きな馬体を持て余してしまっていたのか勝ちあがるまで6戦を必要とした。
条件戦でもまた持て余すように2着、しかしアーリントンカップ(GIII)に出走したところ人気薄ながら3着。このあたりでようやく体のうまい使い方を見つけ出したのか、次走の毎日杯(GIII)では6番人気ながら圧倒的なパフォーマンスで皐月賞滑り込みを目指した有力馬を打ち破り重賞初制覇を遂げる。しかし陣営は狭い中山ではまた持て余すと危惧したか、皐月賞はパスしてNHKマイルカップ(GI)を目指すことになった。
そのNHKマイルカップでは4.3倍と若干押し出され気味ながら1番人気に推され、これに応えるかのようにただ一頭、稍重馬場を33秒台の末脚で駆け抜けGⅠを制覇する。 続く日本ダービー(GI)では皐月賞馬キャプテントゥーレの不在や有力馬にパンチが足りないこともあったが一番人気に推され、一番外から悠々と進出し、必死で粘るスマイルジャックを軽く抜き去りダービー制覇。これでキングカメハメハ以来となる変則二冠を達成し、鞍上の四位洋文は前年のウオッカに続く史上二人目の日本ダービー連覇を達成した。
しかし、皐月賞までの有力馬がかなりだらしない結果だったこと、勝ち上がりにやたら時間がかかったこと(ダービー勝ち馬としては史上2位の遅さである。歴代1位はクモノハナの8戦)などから、パフォーマンスは優れているように見えた彼の能力を疑問視する向きも多かった。
そもそもダービーで話題をさらったのはダートから参戦したサクセスブロッケン!!!!!!だったという……。
秋初戦の神戸新聞杯(GII)で上がり馬オウケンブルースリを撃破し、向かったのは秋の天皇賞(GI)。この年の天皇賞はダービーや安田記念を制覇したウオッカ、そのウオッカを負かすポテンシャルと牡馬も幻惑する自在の先行力で圧倒するダイワスカーレットの二強決戦ということで盛り上がっていた。
ディープスカイも当年のダービー馬として乗り込み、そう差のない3番人気に支持された。レースは休み明けのダイワスカーレットがいつもより速いペースで逃げる中、外から突っ込んできた新旧ダービー馬ウオッカとディープスカイが捕まえて突き放す!……という流れにはならず、二の脚を繰り出し粘りに粘る最内ダスカと外から差し切ろうとするウオッカの一騎討ちに移行。ウオッカがわずかに差し切り勝利を収めた。
ディープスカイは必死で食らいついたが二強から少し遅れてしまい3着。それでもカンパニー以下は抑えこんでみせたことで評価を上げ、ジャパンカップ(GI)ではウオッカを抑え1番人気になるが、スクリーンヒーローの早め抜け出しを捕らえられず2着に終わった。
いい脚は使ってるし能力面では古馬にも劣ってはいないところは見せている、でも勝ち切れない。評価は上がらない。またも悪い流れに陥ってしまったようだった。
年明け初戦の大阪杯(当時GII)では堂々と前につけ抜け出す競馬を敢行するがドリームジャーニーに差し切られ2着、距離適性や得意の府中ということを考慮し向かった安田記念(GI)では直線抜け出す際に出しどころなく詰まったウオッカの進路を(結果的に)カットするように素早く抜け出すという万全の策を講じて勝ちに行ったが、ウオッカは立て直してそこらの牡よりたくましい奇跡のような末脚で馬群をこじ開け、彼をあざ笑うかのように先頭で駆け抜けていった。せっかく勝ちに行ったのに負け。無念。
次走宝塚記念(GI)では早め抜け出しを図ったサクラメガワンダーも捕らえられず、再びドリームジャーニーの末脚に圧倒され3着に敗れ去る。この連敗で、そっと温めていた凱旋門賞遠征プランも白紙となった。せつねぇ。
その後、秋は毎日王冠から復帰予定だったが屈腱炎を発症。父の急死の影響もあってここで引退し、ダーレージャパンに買い取られ種牡馬入りした。
鞍上の四位洋文曰く、サラブレッドとしてはおっとりとして穏やかな馬であったという。牧場で大事にされたんでしょうと語っていたが、もしかするとこのおっとりとした鷹揚な性格が勝負では災いしてしまったのかも知れない。
競馬ではキチガイじみた気性のほうが走る事が多い。セントサイモン然り、サンデーサイレンス然り。
でも、人間を全く信頼し寝っ転がって与えられた人参をくわえる彼の姿は想像するだけで愛らしい……気がする。
結局、最後まで真価のよくわからないままターフを去ってしまった。アグネスタキオン産駒としてはレアケースな成長曲線で割と丈夫かと思ったら、古馬になると成長が見えず、例のごとく脚元を痛め引退など本当によくわからない馬であった。
種牡馬としては早逝した父アグネスタキオンの後継としての期待に全く応えられず散々な種牡馬成績であり、初年度産駒デビューから2年後の2015年の種付頭数はなんと8頭にまで落ち込んだ。しかし同年にすみれS(OP)を制し三冠レースに出走したスピリッツミノル、ダート4戦4勝で全日本2歳優駿(JpnI)を制覇したサウンドスカイといった活躍馬が現れ窮地を脱出。その後の産駒からは菊花賞2着や京都記念勝利などの実績を挙げ、凱旋門賞にも挑戦したクリンチャーも現れた。
しかしその後は再び成績が低迷。種付け数も大きく落ち込んだため、2021年を以て種牡馬を引退することが決定。NPO法人引退馬協会から、同年春に募った「ナイスネイチャ・33歳のバースデードネーション」の3頭目の受け入れ馬となったことが報告された。
アグネスタキオンの後継種牡馬によくありがちなことらしいが、父母父のロイヤルスキーっぽさが全面に出てしまい、軽快なスピードよりパワーが勝ったダート馬が多かったことが成績に影響した点は否めない。一応前述のスピリッツミノルとサウンドスカイ、2016年のジャパンダートダービーを勝ったキョウエイギアが種牡馬入りしたが種付け数はいずれも伸び悩んでおり、スピリッツミノルはすでに種牡馬を引退。ダートに転向して奮闘していたクリンチャーも引退、函館競馬場で誘導馬になったので現役の牡馬数頭(一番の稼ぎ頭がシャフトオブライト(芝の2000m前後の3勝クラスで奮闘中だったが、2023年に高知競馬場へ移籍))と、デビュー前の牡馬数頭(2023年12月時点、2021年生まれ2頭、2022年生まれ2頭がデビュー前)が後継になれるかに、ディープスカイの父系がつながるかはかかっている。母父でも2022年12月時点での稼ぎ頭が大井競馬場所属のセイカメテオポリス(2021年戸塚記念勝ち馬。交流重賞で馬券に絡んだことはない。一応2022年白山大賞典(JpnIII)では、中央馬ブリッツファングとメイショウカズサに、斤量差があるとはいえ先着して4着になっている)といったところであったが、2024年チューリップ賞(GII)をスウィープフィート(父スワーヴリチャード、母ビジュートウショウ、母母スイープトウショウ)が制し、母父として中央重賞馬を送り出した。
血統表
アグネスタキオン 1998 栗毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
アグネスフローラ 1987 鹿毛 |
*ロイヤルスキー | Raja Baba | |
Coz o' Nijinsky | |||
アグネスレディー | *リマンド | ||
イコマエイカン | |||
*アビ 1995 栗毛 FNo.23-b |
Chief's Crown 1982 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer |
Pas de Nom | |||
Six Crowns | Secretariat | ||
Chris Evert | |||
Carmelized 1990 鹿毛 |
Key to the Mint | Graustark | |
Key Bridge | |||
Carmelize | Cornish Prince | ||
Miss Carmie | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Miss Carmie 4×5(9.38%)、Bold Ruler 5×5×5(9.38%)
主な産駒
- タマノブリュネット (2012年産 牝 母カフェピノコ 母父*ジェイドロバリー)
- モルトベーネ (2012年産 牡 母ノーブルエターナル 母父*アフリート)
- 主な勝ち鞍 2017年アンタレスステークス(GIII)
- キョウエイギア (2013年産 牡 母ローレルアンジュ 母父*パラダイスクリーク)
- 主な勝ち鞍 2016年ジャパンダートダービー(JpnI)
- サウンドスカイ (2013年産 牡 母*アンジェラスキッス 母父Gone West)
- クリンチャー (2014年産 牡 母ザフェイツ 母父*ブライアンズタイム)
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関連項目
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