デイラミ(Daylami)とは、1994年生まれのフランス→UAEの競走馬である。
概要
父Doyoun、母Daltawa、母父Miswakiという血統のアイルランド産馬。父はMill Reef産駒で英2000ギニー馬。種牡馬としては散発的ながら複数のGI馬を出した。母はフランス馬で4戦2勝。本馬の後にも凱旋門賞馬Dalakhaniを産むなど繁殖牝馬として大きな足跡を残している。母父はミスプロ産駒で名ブルードメアサイアーとして名高い。
フランスの名門アラン・ド・ロワイエ=デュプレ厩舎から2歳9月にデビューし、トントン拍子で2連勝。3戦目の仏2歳GIクリテリウム・ド・サンクルーに断然人気で臨むが重馬場に祟られて2着に敗れ、2歳シーズンは3戦2勝で終える。
仕切り直しての3歳初戦でGIIIを勝ち重賞初勝利。続くGIプール・デッセ・デ・プーラン(仏2000ギニー)も不良馬場なんのそのと言わんばかりに最後方からぶち抜き、2馬身差で初GI勝利を飾る。この後セントジェームズパレスS3着、ジャック・ル・マロワ賞2着、ムーラン・ド・ロンシャン賞3着とGIで好走はすれども差しきれない惜しい競馬が続き、ここで3歳シーズンを終了する。
シーズンオフに生産者でもあるアガ・カーン4世からゴドルフィンにトレードされ、UAEのサイード・ビン・スルール厩舎に転厩。彼が拠点とするイギリスに移って4歳を迎える。同時にマイルから中距離戦線にシフトし、GII(当時)タタソールズ金杯で始動。2歳時以来の10ハロン戦だったが、これまでと一転して3番手から抜け出す競馬で勝利。続く英GIIプリンスオブウェールズSは道中不利を受け3着に敗れるが、GIエクリプスSでは2番手から直線抜け出して後続を半馬身差封じ切り、10ハロン戦では初のGI勝利を挙げる。GIKGⅥ&QESは12ハロンという距離が厳しかったか4着に敗れるが、欧州を飛び出して挑んだ米GIマンノウォーSでは久々に差す競馬に戻り、直線並ぶ間もなく差し切って3ヶ国目のGI勝利。この後イギリスに戻ってのGIチャンピオンSは後方待機がハマらず3着。再び渡米しGIBCターフを目指すが疲労で体調を崩してスクラッチとなり、チャンピオンSが4歳シーズン最終戦となった。
当時の欧州の一流馬としては珍しく5歳になっても現役を続行。初ダートとなるドバイワールドCに出走したが、コーナーでバランスを崩して最後方まで後退するアクシデントに見舞われ5着に敗れる。欧州に戻ってこの年GI昇格したタタソールズ金杯で連覇を狙うが日本産の牝馬Shivaに徹底マークからきっちり3/4馬身かわされ2着に惜敗。
しかし続くGIコロネーションカップでは12ハロンの距離ながらスロー決着に助けられ勝利。さらにGIKGⅥ&QESでは中団追走から直線で外を伸びに伸び、2着に5馬身差をつける完勝。さらに愛チャンピオンSでは重馬場の中を4番手から直線で1頭独走し、2着に9馬身差という衝撃の圧勝劇を見せつける。
堂々出走した凱旋門賞。しかし本馬は3番人気であった。理由は調子の下降が囁かれたこと、この日が凄まじい不良馬場になったことなどいくつかあったのだが、一番の理由は超強力な2頭のライバルの存在であった。1頭が当年の仏愛ダービーを共に圧勝してきた地元フランスのMontjeu、そしてもう1頭が同年のサンクルー大賞典でTiger HillやSagamixを相手に逃げ切り仏GI馬となっていた日本馬*エルコンドルパサーである。2頭ともトライアルを勝って好調を維持しており、この2頭の方が優位と見られていた。
そして結果もその通りとなり、ゴールを目の前にしてMontjeuが壮絶な末脚で*エルコンドルパサーを僅かに抜き去った、その20馬身以上後方でデイラミは9着。「チャンピオンが2頭いる」と称された死闘の添え物にすらなれずにロンシャンを去った。
しかしこれでは終われないとばかりに陣営はBCターフ出走を決定。レース後すぐにアメリカに飛んで調整する策が当たり、調子を取り戻して出走にこぎ着ける。ここでも抜けた1番人気に応え、好位から一気に抜け出して2馬身半差をつける盤石の勝利。GI7勝目を挙げた。この年全てGIの7戦4勝が高く評価され、Montjeu(7戦5勝、GI3勝)を抑えてカルティエ賞年度代表馬を受賞。さらに同年から始まったワールドシリーズ・レーシング・チャンピオンシップの初代王者にも輝くなど多くの賞を手にし、これらを手土産に引退、繁殖入りした。種牡馬としては初年度こそGI2勝のGrey Swallowを出したが後が続かず、フランスへの移動や南アフリカ輸出を経てアイルランドに戻り、障害専門種牡馬として供用された後、2014年産の世代を最後に種牡馬を引退して功労馬となった。その後はアガ・カーン殿下の所有するギルタウンスタッドで余生を送り、2023年4月5日に老衰のため29歳で安楽死措置となった。
血統表
Doyoun 1985 鹿毛 |
Mill Reef 1968 鹿毛 |
Never Bend | Nasrullah |
Lalun | |||
Milan Mill | Princequillo | ||
Virginia Water | |||
Dumka 1971 黒鹿毛 |
Kashmir | Tudor Melody | |
Queen of Speed | |||
Faizebad | Prince Taj | ||
Floralie | |||
Daltawa 1989 芦毛 FNo.9-e |
Miswaki 1978 栗毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Hopespringseternal | Buckpasser | ||
Rose Bower | |||
Damana 1981 芦毛 |
*クリスタルパレス | Caro | |
Hermieres | |||
Denia | Crepello | ||
Rose Ness | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Princequillo 4×5(9.38%)、Nasrullah=Malindi 4×5(9.38%)
主な産駒
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強すぎる。
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関連項目
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