デスティニープランとは、機動戦士ガンダムSEED DESTINY終盤で掲げられた計画である。
概要
物語終盤、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルが導入・実行を宣言した究極の人類救済プランである。これはデュランダルの「人は自分を知り、精一杯できる事をして役立ち、満ち足りて生きるのが一番幸せだろう」という理念から来ている。世界を裏から操っていたロゴスを滅し、骨抜きとなった状況を見計らって全世界に発表。争いの種になる「無知」と「欲望」を根絶し、争いの無い世界を実現するための腹案こそデスティニープランであった。
デスティニープランとは各々の遺伝子を解析し、その人間に最も適した職に就ける事で社会を最適化するものだった。生まれ持った才能や適性が全てを占めるため、コネや不正な手段で地位を得た者は例外なく席を追われ、代わりに年齢・性別・国籍問わず適した者が据えられていく。これにより不満や不公平を無くし、争いの無い世界を作り上げるのがデュランダルの狙いであった。
その一方、本人の意思は尊重されず、遺伝子解析の結果だからと望まぬ職に就けられてしまう。反抗すれば容赦なく淘汰、調整、管理される。そこには「自由」は存在せず、人々は徹底的に管理されて社会のために生きていくようになるとキラやラクスらは危惧している。小説版では「野球選手になりたくて頑張ってきた人が、ある日突然『君の能力では無理だ、歌手になりさい』と言われてすぐに納得できるだろうか?」と比喩されている。
デスティニープランの発表は唐突だった事、ロゴスが崩壊して世界が混迷している時の事だったため、世界中が混乱。遺伝子的に有利なコーディネイターからの反発は少なく、またプラン導入を決定した国々は早速国民から採血を開始。得られたデータは機動要塞メサイア内のサーバーに送られ、管理された。対する地球軍、オーブ、スカンジナビアはプランに拒否を突きつけた。プラン導入に心血を注ぐデュランダルは反対派を「人類の敵」とし、強硬路線に転ずる。まず奪取したレクイエムを使用し、地球軍のアルザッヘル基地を艦隊もろとも殲滅。見せしめとして地球軍を葬り去った。だが、かえって反対派を結束させる事になってしまい、地球軍残党とオーブ軍が攻撃を仕掛けてきた。戦闘の結果、レクイエムと機動要塞メサイアが失陥。指導者のデュランダルも死亡した事から、デスティニープランは完全に頓挫した。
デュランダルがこのデスティニープランを考案したのは、過去の辛い経験に起因していた。かつてタリア・グラディスと交際し、相思相愛の関係になっていたデュランダルだったが、二人の間には子供が生まれない問題があった。人口の減少に歯止めをかけたいプラントは、子供が生まれないカップルの結婚は認めない政策を取っており、二人は愛し合いながらも別れなければなかった。この時に味わった失意がデュランダルを歪ませ、デスティニープランの骨子を作ったとされる。小説版では「期待などするから、失意の痛みは避けられない」と語っており、最初から期待せずに過ごせる管理社会を作りたかったものと推測される。
劇中で仔細が語られなかった事と、導入前に頓挫した事から内容に不透明な点が多く、よく考察の対象になる。
関連項目
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