概要
『オールマン』1999年12号・14号にて掲載されたのち、短編集「死刑執行中脱獄進行中」に収録された作品。
「ジョジョの奇妙な冒険」第4部の登場人物である吉良吉影を主人公に据えた、所謂スピンオフ作品である。
ちなみに「デッドマンズQ」というタイトルは「デッドマンズ・クエスションズ」と読むのが正しい。
(タイトルの「Q」は「questions」のQ。「デッドマンズ・キュー」と読むのも間違いではないが、厳密には異なる)
スタンド能力(キラークイーン)と生前の記憶の大部分を失った吉良が、死してなおも幽霊として幽霊の世界で「心の平穏」を求めて殺し屋として生活する日々の話を描かれている。
幽霊となった吉良の行動には、人間だった頃以上に行動に制約が多いのだが、これは荒木の考える幽霊の世界観に基づいており、「死後の世界が存在し、もし魂が死後も残っているのならばそれは何でもアリの世界ではなく、この世と同じ『ルール』があるはずだ。幽霊も生きているときと同じ、もしくはそれ以上に苦労していなくてはおかしい・・・」という発想からきている、とのこと。事実、一般的な作品であれば「建物には壁や床をすり抜けて普通に進入できる」ところが、誰かがいる部屋(空間、或いは乗り物)に入る際は「その者の許可を得なければ入れない」など、死してなおも人間社会と同じようなルールの中で生活している様は、幽霊を扱った他の作品には無い独特の面白さがある。また、「自分以外の魂との接触」は極度の危険を伴う行為とされ、作品中では不慮の事故(人間との接触)で吉良を含む幽霊が手足や体の一部を失ったり、ちぎれる描写もある。
(作品中では吉良以外にも、生きた人間などに触れた部分が失われた「幽霊」たちも断片的に登場している)
他にも、本ストーリーで登場する幽霊の設定などには、後に製作される『ストーンオーシャン(ジョジョ第6部)』にも通じる部分がある。
ちなみに作品中では「S市杜王区」という地名も登場するが、「ジョジョ」本編で登場した杜王町と同じ場所なのかについては不明。また、第8部にあたる「ジョジョリオン」では、カツアゲロードと呼ばれる道の別名として『デッドマンズ・カーブ』という名前が登場するのだが、名前が同じだけで特に関連はないと思われる。
(こちらの元ネタは恐らく「Jan & Dean」の曲「Dead Man's Curve(危険なカ-ブ)」であるか。)
ストーリー
幽霊となった元殺人鬼・吉良吉影は幽霊の世界で殺し屋として活動していた。しかし幽霊であるために制約が多く、任務をスムーズに遂行できないことに苛立ちを感じ始めていた。
そんな折、依頼主である女坊主から「軍人の屋敷ならぬ『屋敷の幽霊』に住む者」の殺害を依頼され、吉良はS市杜王区を訪れるのだった。
私の名前は『吉良吉影』 いつ・・・なぜ私が死んだのかはどうしても思い出せない。
ひとつだけ言えることは、自分は決して天国へは行けないだろうという実感があるだけだ。これからどうするのか?それもわからない・・・
永遠に時が続くというのなら、「仕事」を「生きがい」にしておけば幸福になれるかもしれない。今夜はどこで休もうか・・・
登場人物
- 吉良吉影
- 本作の主人公。心の平穏を探し求めながら殺し屋として活動している幽霊。人間として生きていた頃は手のきれいな女性を殺し続ける連続殺人鬼だったが、東方仗助達に敗れたのち事故で死亡した。
(吉良の生前の概要については、「吉良吉影」を参照されたし。)
本作の吉良は上記の人間だった頃の記憶を喪失しているために「ジョジョ」で登場した頃とは別人も同然の状態となっているが、「数字や順位を気にして生きていた」など、断片的な記憶は覚えているようだ。 - 余談となるが、今作の吉良は生前のサラリーマン然とした容姿とは異なり特徴的な模様が入った奇妙な黒服と帽子に身を包んでいる。それ故か生前のシルエットとは別に人気も高く、pixivをはじめ様々な場所でイラストも描かれているほか、フィギュアやTシャツも数量限定で発売した事がある。また、ジョジョ本編で登場した吉良とは別にこちらは「デッドマンズ吉良」と呼ばれ区別される傾向にある。
- 尼僧(女坊主)
- 吉良に殺しの依頼を仲介している、尼僧。吉良のような幽霊の姿が見える(声も聞こえる)らしいが、吉良とはあくまでもビジネス上の付き合いでありそれ以上の間柄は無いようだ。
過去に自殺や変死が多発しているとされる「軍人の屋敷」の調査と、「屋敷に住む者」の殺害を依頼する。 - 魂の掃除屋
- 吉良が訪れた、軍人の屋敷の幽霊にて遭遇した卵から生まれた謎の存在。卵の自分に触れた者を、「この世」が死人の魂で溢れかえるのを防ぐために侵食して別の存在へと変化させる事で「清掃」する。
『魂の掃除屋』という名前は吉良が便宜上付けた名称であるため、本来の名称が別にあるのか?これはどこからやって来た何者なのか?などの詳細な設定は作品中では語られていない。
関連動画
本編(第4部or第8部)で登場した吉良とは別に、「デッドマンズ吉良」のMMDモデルも製作されている。
関連静画
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関連項目
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