「ふん、来たな。戦争を教えてやる…」
デメジエール・ソンネンとは、OVA『機動戦士ガンダムMS IGLOO』の登場人物である。
CV:天田益男
概要
『機動戦士ガンダムMS IGLOO -1年戦争秘録-』 第2話「遠吠えは落日に染まった」に登場するゲスト。
ジオン公国軍に所属する凄腕の戦車兵で、階級は少佐。元々は戦車教導団の優秀な教官であり、モニク・キャディラック特務大尉の元上官でもあった。彼女はソンネンを尊敬していたが、モビルスーツ「ザク」の登場が彼の人生を大きく狂わせてしまう。モビルスーツへの転科適性テストを受けるも落とされ、また若手の戦車兵が次々にモビルスーツ乗りに転向していくのを見て自暴自棄になり、かつての威容が嘘のように転落。落ちぶれていく彼にモニクは失望し、オリヴァー・マイ技術中尉に関係を尋ねられた時は「鯛は腐っても鯛、軍人は腐ったら野良犬以下よ」と言い放って軽蔑していた。いつしか神経症を患い、時折来る発作を「ドロップ」と称する抗不安剤で抑えている。
劇中では、不採用の烙印を押された試作モビルタンク『ヒルドルブ』のテストパイロットに任命され、評価試験の目的で第603技術試験隊へ編入された。軍人としては腐っていたが、戦車兵としての腕は腐っていなかった。小説版によると戦車戦なら自分以上の者はいないと自負していたようだ。自分と同じように落ちぶれたヒルドルブには並々ならぬ愛着を抱いており、今回の評価試験で戦果を叩き出して頭の固い上層部を納得させようと張り切っていた。しかし実際は評価とは名ばかりの、使い捨てに過ぎなかった…。
宇宙世紀0079年5月9日、評価試験のためコムサイでジオン勢力下のアリゾナ砂漠へ降下。第67物資集積所の管制を受けながら地上で走行試験を実施する予定だったが、降下中に地球連邦軍のセモベンテ隊の襲撃を受け、コムサイが被弾。コムサイの重量を軽くするため急遽パラシュート降下を行い、ヒルドルブとともに砂漠に降り立った。ソンネンの前に現れた敵は、連邦軍に鹵獲された陸戦型ザクⅡ6機…かつてソンネンの人生を狂わせた忌まわしき存在が、何の皮肉か再び強大な敵としてソンネンを苦しめるのだった。
ソンネンの腕前とヒルドルブの性能は見事に合致し、フェデリコ・ツァリアーノ中佐率いるセモベンテ隊を相手に善戦。分厚い装甲がザクマシンガンを弾き、大地の上で怪物戦車にワルツを踊らせる。そして正確な射撃で1機ずつザクを葬る。ツァリアーノ中佐も手練れであり、互いに激戦を演じる。無限軌道を破壊された際はスモークディスチャージャーで時間を稼ぎつつ変形する事で接近戦に移行したり、倒したMSの腕を巻き込んでスタックした際に榴弾の反動で片輪走行して脱出するなど歴戦の猛者らしい冷静な判断力と機転を発揮。ついにザク6機と61式戦車2輌を破壊、ソンネンの執念はヒルドルブの有用性を実証した。が、一瞬の油断を突いてツァリアーノ機がヒルドルブに取り付き、モノアイスリットにねじ込まれたザクマシンガン1発がソンネンに致命傷を与えた。主を失ったヒルドルブはうなだれ、勝利を確信したツァリアーノは最後に残ったコムサイを破壊しようとヒルドルブに背を向けた…その瞬間、ヒルドルブから放たれた砲弾がツァリアーノ機を粉砕。最期の力を振り絞ってザクを撃破したのち、ソンネンもとうとう息絶えた。存命中は彼への毒舌が絶えなかったモニクも「死んだらやっぱり野良犬以下よ…」とその死を惜しんだ。
なお、敵指揮官が顔有りのいわゆる『ネームドキャラクター』として登場した唯一のエピソードでもあった。皮肉な事に、敵は人生転落を切っ掛けを作ったザク、そして元戦車兵だったがモビルスーツパイロットに転向できたフェデリコ・ツァリアーノと、ソンネンとは対極を為す存在だった。
「へっ、一発あれば十分だ…」
ヒルドルブについて
大艦巨砲主義を地で行く大型の機体で、自走砲形態と半MS形態への可変機構を有し、61式戦車程度ならあっさり撃破する至近距離からの120mmザクマシンガンを完全に弾く堅牢な装甲と20km先からザクⅡの上半身を吹き飛ばす30サンチ(cm)砲は徹甲弾以外にも曲射榴弾、焼夷弾、対空榴散弾といった弾薬の撃ち分けが可能。試作品・急造品・欠陥品のオンパレードなMS IGLOOの603兵器群の中では珍しく戦闘終了後も原型を留めた小破で済んでおり、ついに最後までマシントラブルとは無縁に終わった優良機であった。本シリーズの中でも一際むせる人気機体である。
敵隊長機の謎
前述のフェデリコ中佐の奇襲の件で不可解な事がある。実は中佐はヒルドルブが変形した直後にマシンガンでザクの右爪先をやられてうつ伏せに転倒したため戦闘不能となっていたのだが、部隊機壊滅後に突然ヒルドルブの目の前に立った状態で現れマシンガンの銃床で殴り掛かった。その際、殴られる瞬間までソンネン少佐は気付いた様子も無く、接近警告等の電子音や警告灯の点滅なども無かった。ヒルドルブを戦闘不能にした後は普通に足を引きずってゆっくり歩いていたので、どうやって気付かれずに真正面まで接近したのかは大きな謎である。
敵味方の識別コードが書き換えられておらず、ザクを味方と誤認した可能性がある。
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関連項目
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