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デンデラ
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デンデラとは、

  1. エジプトにある町。現地の発音ではダンダラ。
  2. 柳田男『遠野物語』に登場する姥捨て地。デンデラ野。
  3. 2をモチーフにした佐藤友哉小説、およびその映画版。

本項では3の小説および映画について記述する。

小説

斎藤カユは見知らぬ場所で醒めた。
姥捨ての習に従い、深い『お山』から極楽浄土立つつもりだったのだが。
そこはデンデラ。『』に棄てられた五十人以上の女により、三十年の歳をかけて秘かに作りあげられた共同体だった。
やがて老婆たちは、猛り狂った巨大な雌との対決を迫られる――。
生と死が絡み合い、螺旋を描く。あなたが未だ見たことのないアナザーワールド

新潮文庫版裏表より

遠野物語』の姥捨山伝説(正確にはそれを題材とした深沢七郎小説『楢山節考』)吉村昭『』を悪魔合体させたスーパーババア50人vs人喰い(+疫病)の死闘を描くサバイバルババア小説なぜそのふたつを合体させようと思った。

内容を端的にまとめると、姥捨てを生き延び山中に老婆だけの共同体を作りあげ、の男たちへの復讐を誓って戦闘訓練に励む、あまりにも逞しすぎるエクストリームババアどもが、に襲われたりの疫病に見舞われたりしながら次々と死んでいく話である。

ただし小説内のババアたちはいわゆる老人口調を一切使わないうえ、挿絵等のビジュアルイメージもないため、普通に読んでいると登場人物のババア感は非常に薄く、むしろある種の青春百合小説のようにも読める(これは欠点というより、意図的にこういう書き方をしているものと思われる)。つまり実質ユリ熊嵐と言っても過言ではない。また本文はですます調で書かれており、牧歌的なり口で、苛かつグロテスクな死闘が疾走感たっぷりに描かれる。

初出は新潮社純文学「新潮」2009年1月号exitに〝620枚一挙掲載〟と銘打たれて掲載され(初稿の段階では800枚近くあったらしい)、同年6月新潮社から単行本化。2011年映画開に先駆けて新潮文庫文庫化された。文庫版の解説法月綸太郎。しかし残念ながら現在は単行本・文庫版とも品切れで新品では入手できない(電子書籍化もされていない)。古書での入手はそれほど難しくないはずなので、読みたい人は古書店を探そう。

2015年には英訳版が出ている。ユヤタンの作品では初の英訳。アメリカベストセラ作家Jami Attenbergが「魅惑的で、愉快で、ダークで、血みどろで、そして圧倒的に素晴らしい。まるでElena Ferranteとスティーヴン・キング日本の山頂で衝突したような作品だ」という推薦文を寄せており、ロサンゼルスタイムズにもインタビューが載った(関連リンク参照)。

ちなみに原作では端役も含めたババア50人全員名前年齢の設定がちゃんとあり、冒頭に名簿がついている。前述のババア感の薄さも含めた全体の創作意図や作品構造については、文庫版の法月綸太郎解説が詳しく検討しているので、そちらを参照(それが正しいかどうかはともかくとして)

いわゆる純文学誌に発表されたユヤタンの小説の中ではおそらく最もエンターテインメント色が強く、あんまり細かいことを考えず肩肘らなくても楽しく読める作品である。特に映画版しか知らない人は、是非読みべてみていただきたい。

文学作品では吉村昭の『』という、『デンデラ』と同じく三毛別の事件をもとにした小説があります。ミステリ世界では、おばあちゃんが活躍する話はなかなか書けませんし、姥捨てトリックとかも理ですが、文学なら書ける。そこに今まで自分がやってきた仕事、今まで自分が読んできたホラーミステリ合体させたら、おばあちゃん50人とが闘う話になりました。受け答えになってないと思いますが(笑)が考える文学を一作でいいから書いてみたかったんです。

「作家の読書道 第93回:佐藤友哉さん」exitより

映画

姥捨山には、
続きがあった。

2011年6月25日開。配給東映。鑑賞料1000円均一だった。

同じ姥捨山伝説を題材にした映画には、今村監督名作『楢山節考』(1983年)があるが、その姥捨山伝説の「その後」を描く本作は、今村監督息子である願大介が監督・脚本を務めた。

浅丘ルリ子、倍賞美子、山本陽子、光子ら名だたるベテラン女優が-10℃以下での過酷な山ロケを敢行し、予告などではどっちかといえばな文芸映画っぽい宣伝をしていた本作だが、何しろ原作が前述の通り、スーパーババア50人vsサバイバルバトル小説である。それをだいたい原作通りに映画化した結果(加えてベテラン女優のギャラのために回す予算がなかったのか)スクリーンに誕生したのは、ベテラン女優演じるスーパーババア50人vs明らか着ぐるみ感を隠せていないサバイバルパニックバトルアクションエクストリームババアムービーというとんでもない異形であった。

予告などではこの映画トンデモぶりが巧妙に隠蔽されており、高齢者向け文芸映画と見なされたためか、開当時にはそれほど話題にならなかった。しかしその強インパクトから後にTwitterなどではネタ映画トンデモ映画として定期的話題に挙がりバズるようになり、現在ではカルト映画としての地位を不動のものとしている。Amazon Prime Videoなどで配信されているほか、GYAO!などではときおり期間限定の無料配信もされているので、機会があれば是非見ていただきたい。

主な登場人物・キャスト

()数字はその登場人物の年齢

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デンデラ

1 ななしのよっしん
2020/05/05(火) 19:48:57 ID: mKMyCgSiWz
記事乙
ユリ熊嵐公式ガイブックの副監督インタビューによると
ユリ熊嵐の初期の規格の一つに
作中の世界では女の子同士の百合が禁じられていてユリ女の子達は姥捨て山ならぬ「ユリ捨て山」に捨てられてしまいそこでと戦う、という設定もあったそうなので強ち間違ってないでしょうね。

論私もデンデラ見ました。バイリティがあって面かったです。
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