トウカイポイントとは、1996年生まれの日本の競走馬である。栗毛の騸馬。
トウカイテイオー産駒初のGI馬でもある。牡馬であったが、5歳時に騸馬となっている。
主な勝ち鞍
2002年:マイルチャンピオンシップ(GI)、中山記念(GII)
血統
父トウカイテイオー、母マッチポイント、母父*リアルシャダイという血統。
父トウカイテイオーは無敗の三冠馬シンボリルドルフの産駒で、現役時代には故障に悩まされながらも無敗二冠を含むGI4勝を挙げている。種牡馬としての実績はトウカイポイントを含め3頭のGI級勝利馬を輩出しているが、2023年4月現在、トウカイテイオー直系の現役種牡馬はクラウドファンディングによって種牡馬となったクワイトファインを除いて存在しない。
母マッチポイントは通算成績は13戦0勝と特筆すべきところはないが、父と母父、トウカイポイントにとっては母父と母母父の馬にリアルシャダイとノーザンテーストがいる。リアルシャダイは後述するが、ノーザンテーストはかつて種牡馬として日本競馬に大いに貢献した馬である。かつて社台グループはリアルシャダイに期待を寄せノーザンテースト牝駒を付けていたが、マッチポイントもそうして生まれた一頭である。
母父リアルシャダイは米国産馬で、現役中は通算戦績8戦2勝、ドーヴィル大賞典(GII)を1着、ジョッキークラブ賞(GI)を2着、サンクルー大賞(GI)を3着と好走しているものの、特別目立った成績を残してない。しかし、種牡馬となり日本に輸入されて以降、シャダイカグラ、イブキマイカグラ、ライスシャワーなどの多数の重賞馬を輩出している。
概要
※日本競馬において馬齢は2000年までは数え年で表記し、2001年以降満年齢表記となっているが、本記事では後者で統一する。
岩手競馬時代
トウカイポイントは1996年5月18日に三石町の竹内良一牧場で誕生し、父と同じ内村正則オーナーの所有となった。
2歳となり、盛岡競馬場の桜田勝男厩舎に預けられたトウカイポイントは、1998年5月に盛岡の芝1000mの新馬戦でデビューするも9頭中6着となる。続いてダートに転向し2戦するも2着→4着と勝ちきれず、4戦目に再び芝レースに出走し初勝利を挙げた。
12月20日に地方所属のまま中央のレースに遠征、田中勝春を鞍上に中山競馬場のひいらぎ賞(500万下)に出走した。4戦1勝の地方馬では単勝82.7倍の12番人気という評価も致し方ないが、上がり最速タイで4着と好走する。
中央移籍後
明けて3歳となり、トウカイポイントは中央へ移籍、美浦の後藤由之厩舎の所属となった。中央移籍初戦の4歳500万下は後藤浩輝を鞍上に2着。半年休んで8月からは鞍上に岡部幸雄を迎えるも勝ちきれないレースが続いていたが、移籍6戦目の4歳以上500万下のレースで鞍上を小林淳一に変え、ついに中央初勝利を挙げる。翌年2000年4月には900万下条件馬の立場ながら、湾岸ステークス(1600万下)に格上挑戦で挑み勝利。
次走のメトロポリタンステークス(OP)で初のOP戦に挑むも4着に、次走では重賞初挑戦となる目黒記念(GII)に挑むも8着に終わった。続く札幌日経オープン(OP)では逃げてあわやの2着に粘ったが、その後は降級もあって自己条件に戻ったものの、条件戦でも馬券にも絡めないレースが続く。
このトウカイポイント、どうも非常に気難しい馬だったらしい。父トウカイテイオーには気性難のイメージはないが、これはむしろテイオーが例外で、シンボリルドルフ産駒は総じて極度の気性難の馬が多かった。トウカイポイントもまた、その皇帝の血統に由来する気性難を抱えており、それが格上相手に好走したと思ったら自己条件でころっと負けるといった、安定感のない走りに繋がっていたようである。
結局、5歳4月の湾岸Sを最下位11着に敗れたところで、本馬はとうとう去勢されてしまい騸馬となった。血統的な価値を考えるともうちょっと繁殖としての可能性を大事にされても良さそうだが、後藤師が騸馬の扱いに定評があり、去勢を躊躇しない調教師だったことが大きいようである。実際、後藤厩舎の獲得賞金2位が本馬だが、1位も騸馬のホットシークレットである。
ともあれ騸馬となったトウカイポイントは、去勢がしっかり効果を上げたようで、次走のHTN賞(1000万下)、その次走のオクトーバーステークス(1600万下)をあっさりと連勝。次走のカブトヤマ記念(GIII)では1番人気[1]に支持され2着と好走。そして、2002年を迎え6歳となり、中山金杯(GIII)8着、白富士ステークス(OP)4着を経て、中山記念(GII)を岡部幸雄を鞍上に中山1800mのコースレコードとなる1:45.4で走り抜け、ついに初の重賞制覇を成し遂げた。
次走のメトロポリタンSで8着となった後、GI初挑戦となる宝塚記念(GI)に出走した。鞍上は3~5歳時にトウカイポイントに多く騎乗した小林淳一に変わった。このレースにはダンツフレーム、エアシャカール、ツルマルボーイ、ローエングリンなどの馬が出走していた。出走数12頭というレースで、トウカイポイントは8枠12番の大外枠を引いてしまうが、スタート後3歳のローエングリンが単騎の逃げを図る中、2番手につき追走する。1000m付近からローエングリンとの差を詰めにかかり、道中エアシャカールに交わされるも4コーナーで再びエアシャカールを抜き、2番手の位置で直線に入る。未だ先頭を走るローエングリンを抜こうとするも、なんと差が縮まらない、どころか突き放されていく。3歳馬が好走しにくい宝塚記念において重賞未勝利馬であるローエングリンが見せたこの走りは驚くべきものであった。そのままローエングリンに突き放され、ズルズルと後退し10着という結果に終わった。ちなみに1着はダンツフレーム、ローエングリンは3着であった。
次走は鞍上を青木芳之に変え函館記念(GIII)に出走するも、14着と大敗。続いて札幌記念(GII)に鞍上を勝浦正樹に変え出走し、レースでは後方に位置を取り、直線で外に出て末脚を発揮した。上がり3Fは34.2秒と出走馬の中では最速の数字をたたき出すが、テイエムオーシャンに1馬身以上の差をつけられ2着に終わった。次走の富士S(GIII)では蛯名正義を鞍上に迎えたが直線で不利を受け5着。
続いて蛯名とともにトウカイポイントが出走したのはマイルチャンピオンシップ(GI)であった。1番人気は故障と低迷を経てこの年の安田記念で4年ぶりのGI勝利を挙げたアドマイヤコージン、2番人気は昨年の安田記念2着、この年も京成杯AHを勝っておりマイル実績のあるブレイクタイム、3番人気は海外GI2勝を含むGI3勝と実績は抜群だが安田記念5着・天皇賞(秋)8着で評価を落としていたエイシンプレストン。以下前述の函館記念勝ち馬メイショウラムセス、クラシック惨敗から復権を期す新種のサラブレッドモノポライザー、前述の宝塚記念馬だがその後2戦惨敗で評価を大きく落としたダンツフレームなどが出走していた。そんな中トウカイポイントは23.8倍の11番人気とお世辞にも支持されていたとは言えなかった。
1000m57.6秒というペースでレースが進む中、トウカイポイントは中団の馬群に位置する。直線を迎え、前のブレイクタイムが壁となるも何とか抜け出して蛯名正義のムチが唸る。それに呼応しトウカイポイントも加速、次々と他馬を抜き去っていくが、外からはエイシンプレストンが迫って来ている。トウカイポイントか、エイシンプレストンか。追い比べを制し、勝者となったのはトウカイポイント、クビ差でエイシンプレストンをしのぎ切ってでの勝利であった。
このトウカイポイントの勝利は、マイルCS初の騸馬による勝利であり、トウカイテイオー産駒初のGI勝利でもあった。また、地方競馬出身馬の中央GI勝利は、2023年現在もこれが最後である[2]。
次走の香港マイル(GI)では、1着のOlympic Expressから0.1秒差の3着と好走した。そして、2002年の最優秀父内国産馬に選出され、飛躍の2002年の幕を閉じた。
明けて2003年、7歳となったトウカイポイントは2番人気で中山記念から始動するもレース中故障となり競走中止となった。予後不良こそ免れたものの、右前浅屈腱不全断裂を起こしたため、このレースを最後に競走馬を引退した。
引退後
騸馬であるため種牡馬にはなれずノーザンホースパークで乗馬となったが、2016年ごろに退厩、その後は北海道の生産牧場で余生を過ごしているようだ。引退名馬の助成金対象馬ではないので一般見学することはできないが、牧場のスタッフによるTwitterで近況が伝えられている。
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https://twitter.com/Toukaipoint1996/status/1631821337122738177
血統表
トウカイテイオー 1988 鹿毛 |
シンボリルドルフ 1981 鹿毛 |
*パーソロン | Milesian |
Paleo | |||
スイートルナ | スピードシンボリ | ||
*ダンスタイム | |||
トウカイナチュラル 1982 鹿毛 |
*ナイスダンサー | Northern Dancer | |
Nice Princess | |||
トウカイミドリ | *ファバージ | ||
トウカイクイン | |||
マッチポイント 1990 栗毛 FNo.8-f |
*リアルシャダイ 1979 黒鹿毛 |
Roberto | Hail to Reason |
Bramalea | |||
Desert Vixen | In Reality | ||
Desert Trial | |||
マックホープ 1983 栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
Lady Victoria | |||
ヨドセローナ | *エルセンタウロ | ||
*パロクサイド | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Northern Dancer 4×4(12.50%)
3代母ヨドセローナの半姉シャダイフェザーの娘にオークス馬ダイナカールがいる。実はエアグルーヴ・アドマイヤグルーヴ・ルーラーシップ・ドゥラメンテ・ジュンライトボルト・オレハマッテルゼといったGⅠ馬が全員近親となる名牝系に属していたりする。
関連動画
関連リンク
- トウカイポイント - netkeiba
- トウカイポイント - Wikipedeia
- トウカイポイント - JBIS Search
- トウカイポイント - JRA 競走馬情報
- トウカイポイント - 競走馬のふるさと案内所
- 引退後も、見守る。〜私と、親子3代GⅠ馬トウカイポイント〜
関連項目
JRA賞最優秀父内国産馬 | ||
優駿賞時代 | 1982 メジロティターン | 1983 ミスターシービー | 1984 ミスターシービー | 1985 ミホシンザン | 1986 ミホシンザン |
|
JRA賞時代 | 1980年代 | 1987 ミホシンザン | 1988 タマモクロス | 1989 バンブービギン |
---|---|---|
1990年代 | 1990 ヤエノムテキ | 1991 トウカイテイオー | 1992 メジロパーマー | 1993 ヤマニンゼファー |1994 ネーハイシーザー | 1995 フジヤマケンザン | 1996 フラワーパーク | 1997 メジロドーベル |1998 メジロブライト | 1999 エアジハード |
|
2000年代 | 2000 ダイタクヤマト | 2001 該当馬無し※1 | 2002 トウカイポイント | 2003 ヒシミラクル | 2004 デルタブルース | 2005 シーザリオ | 2006 カワカミプリンセス | 2007 ダイワスカーレット |
|
※1.該当馬無しを除く最多得票馬はナリタトップロード。 | ||
競馬テンプレート |
脚注
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- なし
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- アドマイヤベガ
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- スティンガー(競走馬)
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