トカレフ拳銃単語


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トカレフケンジュウ
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トカレフ拳銃とは、ソビエト連邦1930年代開発された自動式拳銃である。

概要

 1920年代~30年代にかけ、ソビエト軍内での拳銃はナガンリボルバーが大量に調達されていたとはいえ、コルト社M1903やM1911ドイツのルガーやC96等が混在しており、制式拳銃は存在していない状態であった。
 そこでトライアルを行い、結果トゥーラ造廠所属、フョード・トカレのチーが開発したタイが勝利し、TT-30・TT-1930の制式名を与えられ、配備が開始された。
その後、1933年に簡略化の為、トリガー周りの更なる簡易化改修が行われ、これ以後の生産タイプはTT-33・TT30/33と呼び分けられるようになった。
 この2モデルがトカレフ拳銃となるが、に量産されたのは改修のTT-33の方であり、他での生産品もこちらに準拠した物となっている。

 その信頼性は高く、凍える東部戦線においても確実に動作し第二次世界大戦を戦い抜くが、後述の通り勝手はよくなく戦後に再び制式拳銃トライアルが行われ、ソビエト軍制式拳銃の座はマカロフ拳銃に渡す事となる。
 が、中や北朝鮮等の、ソ連以外の東側国家では生産が続けられ、独自改良や輸出も行われた。
特に、日本暴力団等から摘発されているのはこういったモデルである。

機構

 当事威力の高さから人気があり、較的多く導入されていたC96拳銃の使用弾であり、それなりにノウハウのあった7.62×25mm弾をショートリコイル機構により運用する。弾薬装填数は8発。
ショートリコイル機構、というか全体的な造り自体コルト・ガバメントを踏襲し、極めて簡略化したものであり、ガバメントシリーズの一つという表現をする場合もある。

 その寸法にいては、後のAK-47に見られるように誤差を多めに取る事で、精度の低い工作機械でも生産できるよう考慮され、同時に温度差による寸法の変化に強い構造としてある。
特に温度差に対する強さは、吹きさらしの野外では-30度にもなるロシア戦場でも確実に動作するとされ、本が現代まで語られる一因ともされている。

安全機構

 い。
後に東欧圏や中国などで再設計された物には付いているが、基本モデルにはい。
弾の入った弾倉が入っている以上引き金を引けば発できる。本の最大の特徴である。
 とにかく簡略化して生産コストを下げ、動作確実性を向上させる為の思い切った手段であるが、当事拳銃を装備できたのは将校や狙撃手などの限られた、十分な訓練を前提とした兵士のみであった為、少なくとも取り扱いの不備による暴発無いと踏んでの仕様であったとも言われる。
 が、当然訓練を受けたとして完銃を扱えるわけではないし、工正誤差が大きい=ガタが大きいという事は、止まってなければならない物が動く能性もあると言う事であり、結局暴発は頻繁に起きていた、というか今でも起きているらしい(恐怖)。
特に、トカレフ拳銃は撃が起こされた状態で固定されるシングルアクション拳銃であり、引き金は軽く、何らかの都合で撃の固定が解除されてしまえば、引き金を引かずとも発されてしまう恐れがある為(対しダブルアクション拳銃は大きな力で引き金を引いて撃や撃針を射撃位置まで起こす必要がある)、安全に持ち運ぶなら弾を抜いた状態でなけれならず、かなりの難があったようである。

 ちなみに、通常の銃器の場合どのくらいの安全機構を持つかと言うと、最低でも手動で小さなレバーを操作し、撃針(弾薬の雷管をく棒、これで雷管を突かなければ火にでも突っ込まない限り撃発はされない)やシア(撃針を固定している部品、トリガーに連動して動く)を固定し、暴発を防ぐマニュアルセフティがついている。
 更に、安全性をより向上させ銃、例えば本家ガバメンやUZIにはグリップの後ろにスイッチのような部分があり、グリップを手で握りスイッチが押し込まれた状態でければ発できない「グリップセフティ」が付いているなど、二段構え程度の安全機構はあたりまえである。
 「撃たなければならない時に必ず撃てる」事も重要であるが、「撃ってはならないときに絶対に撃たない」事も同じだけ重要なのである。特に軍隊や警於いてはその「撃たない」事も任務の内であり、事情はどうあれ許無い砲は許されないのである。
いかにトカレフ拳銃が割り切ったであるかわかるだろう。

「トカレフは貫通力が高く防弾チョッキを貫ける」

 特に日本暴力団事件等のニュースで言われる本の特徴である。
 一応理論的には、同クラの弾薬である9mmパラベラム弾で弾丸径9mm・口初速約350~400m/s、.45ACPで弾丸径11.5mm・口初速約270300m/s、それに対し7.62×25mm弾は直径7.62mmで口初速430m/sであり、面積あたりにかかる力は最も高く、直径が小さいため抵抗も少なく貫通に適していると言える。
 しかし、それはあくま比較的であって、「ある程度」その特性が弾速寄りか弾丸重量寄りか程度の物であり、9mmパラベラム弾や.45ACP弾に対応したアーマーであれば止める事ができ、防弾部分で受け止めさえすれば高い確率生存が可である。

 はずが、実際には貫く事が可と発覚し、重大な問題となった。
この原因は、トカレフ拳銃と共に密輸され、犯罪者の手に渡った弾薬が安物で、本来が使われるべき弾芯にが使われており、防弾素材により弾全体が減速されても、この芯が縫い針のように繊維素材のチョッキを貫いてしまう為である。

 こういった現象は同じ構造であれば他の弾でも起き、あくまで弾と言うより弾の個体による特性と言える為、「トカレフは貫通力が高い」と言うのは間違いである。
が、特に日本に違法に持ち込まれる弾にけるこのような弾の割合は極めて多く、貫通力が高いとの印が根付いたのである。

ちなみに、上記通り本来が使われるべき弾芯にが使われた安物の弾薬だが、実はこの構造、障害物に対して高い貫通性があるAP弾(アーマーピアシング弾)こと徹甲弾とほとんど似たような構造だったりする。

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トカレフ拳銃

58 ななしのよっしん
2023/11/01(水) 17:58:11 ID: leaTn2Quub
余命そんなないんだろうから、静かに余生を送ればいいのに(遊ぶくらいだから金はあるんだろう)
若いときからドンパチしてたで年取って常人以上に抑えが効かなくなったのかな
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59 ななしのよっしん
2023/11/01(水) 18:05:51 ID: IvFkIYnYw9
今さらトカレフ拳銃なんかが流通?するとか思わんかった
今どき紛争地帯でも見かけないのにどうやってショボいジジイが入手できたのか

もしかしてさ、ヤクザさんもお台所事情が厳しくなって銃器を大量に投げ売りして…とか?
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60 名無しさん
2023/11/01(水) 22:03:12 ID: tZv2+PWPAP
中国領事館ルートからデッドコピー品が流れてるという話を聞いた事はあるが
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61 ななしのよっしん
2023/11/01(水) 22:43:56 ID: K16g4/lzws
ID: Gl9W20sCPtとかID: VSeRlffaPKとかの相手すんのは時間の無駄
それこそ80過ぎまでなにもしないで生きていたい人はこいつらと話してれば時間つぶせるぞ
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62 ななしのよっしん
2023/11/02(木) 13:54:28 ID: uOypiptZGn
>>59
今時も何も30年ほど前には日本中のヤクザ末端にいたるまでトカレフが行き渡ってた
もちろんその後に処分や押収された物も少なくないだろうけど
それを差し引いたって相当な数がまだ内に現存してるのは想像に難くない
当時は世界で非正規品が作られて、ありとあらゆるルートから入手できたしね
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63 ななしのよっしん
2023/11/05(日) 15:19:31 ID: 64TWTvV32d
今時こんな董品が相当数あってたまるかw
日本冷戦時代の内紛か何かと勘違いしてるのでは?
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64 ななしのよっしん
2023/11/17(金) 05:39:08 ID: O5x1KwuihM
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65 ななしのよっしん
2023/11/20(月) 17:40:40 ID: cTsHKfFUZp
>>63
ベトナム戦争の頃のロットガバメントが山ほど世界中で今も使われてるのに、実数がそれより多いトカレフが消え去る理由ってどんなものなのか。
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66 名無しさん
2024/05/30(木) 23:24:38 ID: tZv2+PWPAP
埼玉タクシー強盗トカレフ器なんだろうか?
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67 ななしのよっしん
2025/05/01(木) 08:18:01 ID: zeDLXU7hPv
トカレフは7.62x25mmトカレフ弾という巻き添え被害を気にしない犯罪者にとって偉大な拳銃弾のおかげで決して消えないだろう
たとえば70〜90年代香港では中国本土から五四式(トカレフコピー)を持ってやってきた武装強盗リボルバーと38スペシャル弾で武装した警察火力で圧倒される事例が頻繁に発生した
ブロック塀や自動車、当時の警察官が着用していた下手なボディアーマーさえ貫通し、巻き込まれた民間人含めて強力な殺傷力を発揮した
また、当時の香港の闇社会マフィア暴力を好まずをぶっ放すのを最終手段と見做していたこともあって本土出身者が持つトカレフ(大)の威力は香港社会に大きな衝撃を与えた
ヤクザもまた相当抑制的に振る舞ってるのでこいつの恐ろしさがなかなか日本では認識されにくい
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