トライピオ(Trypio)とは、タカラ(当時)が2001年4月に発売した爆転世代のベイブレードであり、伝説のネタベイである。
概要
『爆転シュート ベイブレード』に登場。漫画版・アニメ版(第27話)ではネタ機軍団アメリカチームのエディが使用する。聖獣はサソリ。何より目立つ巨大なプロペラ形状のアタックリングを持ち、空力で本体を床に押し付けて吹っ飛びにくくするダウンフォースを活用、敵の攻撃に対して踏ん張る防御型というふれこみ。アタックリング単体で回すことで竹トンボのように飛ばすという一風変わった遊び方もできる。
が、実際に回してみるとそのデカ過ぎるアタックリングこそが最大の問題だった。
ある時は相手ベイに下から潜り込まれ、反対側をスタジアムに擦って秒殺。逆にこっちが下から潜り込む形になっても、やっぱりスタジアムを擦って自滅。上手いことぶつかっても大きすぎてすぐスタジアムの壁に激突しスタミナを失ってダウン。あげくは床を擦った拍子に車輪のように転がってダイナミックに自爆。などなど数多の面白い負け方を提供してくれる。ちなみにアタックリングは安全のため軟質素材を使用しているが妙に薄いため、相手の攻撃で破損して敗北という漫画のような負け方まで見せる。
余談だが現代に残っているトライピオはシールが経年劣化しているため、令和の時世に遊ぶとシュートや衝突の拍子にシールが剥がれて吹き飛ぶ演出(?)付き。
なら相手と接触しなければ勝てるかというと、まず直径が大きすぎて相手の攻撃を全く躱せない。そして相手が避けて通ったところで、ベイブレードにおける空力効果とはつまり「空気抵抗を介して回転の力を別の力に変換する」という物。それがリング単体で飛べるほど強いこいつは、裏を返せば他に無いほどの空気抵抗で己の命を削り続けている。スタミナ勝負に持ち込んだところで勝ち目は無いし、もちろん途中で回転がブレようものならいつも通り端が床を擦って即死。この八方塞がりっぷりこそベイブレード史上最弱とも言われる所以である。
結局強さで脚光を浴びることは一切無く、ベイブレードの人気絶頂期でもトライグルと並んで売れ残りの常連。当時の子供には縁日屋台の景品として入手したのが初ベイブレードという者もいるだろう。
しかしインパクトの強い形状と性能を投げ捨てて手に入れた異色の「飛行能力」、何よりその弱さと愉快な挙動で人々の記憶には残ったベイブレードである。発売から約20年、第三世代『ベイブレードバースト』に入った今もなんやかんやで愛される様は玩具としては正しいのかもしれない。
何故か海外版では改良が加えられている。ウイングの角度が変わりダウンフォースが発生しなくなった。また外周部のリングが太くなり出っ張り部分もない円形になった。これにより空気抵抗が弱くなり遠心力もアップしたので持久力が大きく改善された。更に外重心になり安定性がよくなり出っ張り部分もなくなったので攻撃を受けても傾きにくくなり下に潜り込まれることも少なくなった。結果、なかなかに強いベイとなっている。
危険すぎる玩具
ベイブレードXが展開を開始すると同時に、過去のベイを復刻するプロジェクトも開始した。
当然(?)その人気からトライピオも注目され、タカラトミーも真面目に商品化の検討を行った。
・・・が、ベイブレードがメタルフレーム前提という構造上、さらにXでのエクストリームダッシュでさらに激しいぶつかり合いになるである点で、肝心のプロペラ部分が遊ぶ側の指に危険が及ぶことが考慮され、象形化するにしてもコンセプトを活かすことができずトライピオ復刻は中止となった。
受け継がれるトライピオの系譜
その妙な人気からか、後世のベイブレードにもトライピオの特徴を踏襲したベイが度々現れている。
- エアロナイトMS(メタルスカイ)
爆転世代の末期、テコ入れとして登場したHMS(ヘヴィメタルシステム)シリーズのベイ。青を基調としたカラーリング。
アタックリング自体がプロペラ形状を持つ他の兄弟(?)とは違い、ランニングコア(爆転で言うブレードベース)にトライピオそっくりの特大エアロパーツを装着することで空力効果を得る。エアロパーツ単体での飛行能力も健在。
重量が増してプロペラ部分の位置も低くなったため潜り込まれての面白負けは減ったが、地面に近くなったせいでちょっと傾いただけで地面に擦ってスタミナを奪われるようになってしまった。そのうえ低くなったせいで相手のベイのアタックリングからの叩きつけ攻撃を受けやすくなっておりトライピオを反省してるようでろくにしてないベイとなった。当然だが強いかといえば断じて否である。一応他のトライピオ系と違ってエアロパーツが着脱可能で、素のアタックリングで戦えば普通に強いという面はある。それをやるならエアナイトMSである意味とは?と言われると返す言葉もないが。 - マキシマムガルーダ
一定ダメージでベイが分解して弾け飛ぶ機構により新たなブームを生み出した現行世代『ベイブレードバースト』、その第三シリーズ「ゴッドレイヤー」で登場した空力ベイ。
当時のバーストベイの中では最大の直径とトライピオとは逆にアッパーフォースを生み出す形状、それとバーストを防ぐロックの異常な緩さが特徴。
黄色のでっかいレイヤー(アタックリング)に空力機能という既視感しかない第一印象には誰もがトライピオの再来を予感したが、こいつは飛行能力を失った代わりに「スタジアムを擦るほどの過剰な大きさ」「スタミナを削る程の過剰な空力効果」というネタ要素を纏めて実用範囲に緩和。すると殆ど真円に等しい形状が圧倒的な受け流し性能と回転の安定性を発揮し、まさかの強レイヤーに躍進した。特にゴッドチップ(爆転のビットチップみたいなもの)を組み替えてロックの緩さを克服した改造は当時最強のスタミナベイとして大会環境で暴れまわり、限定条件付きとはいえ史上最速の殿堂入り(公式戦出禁)を食らったほどである。 - エアナイト
ゴッドレイヤーの特徴を踏襲しつつ、レイヤーに金属を使用して重量化した「超Zレイヤー」のベイ。ブルーメタリックのカラーリングにしろ名前にしろエアロナイトMSに寄っている印象が強い。
基本的な部分はマキシマムガルーダと同じだが、ロックを普通に搭載した代わりに外周部の形状に凹凸や傾斜による引っ掛かりを持たせているのが特徴。
ロックと外周の引っ掛かりがある分ガルーダには無かった攻めの選択肢を持てるが、代わりにガルーダの長所だった受け流し能力が失われているため良くも悪くも大人しい仕上がり。デフォルト改造ではフレームとドライバー(ブレードベース)の背の低さが噛み合わずスタジアムを擦りやすいといういらん原点回帰をしているので、実戦で使うには組み換えが推奨される。
とはいえそれもフレームとドライバーの問題であって、エアナイト自体は普通というか無難に戦えるレイヤーである。
関連動画
関連項目
- ベイブレード
- 爆転シュート ベイブレード(アニメ)
- 珍兵器
- ためにならない(動画投稿者) 上にあるチタントライピオの他にも大量のトライピオ改造を実行している。
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